石灰石と貝殻を使って
「レメリカさんっ! そういえば、レメリカさんがサタンの力を封印しているって言ったけど、全然封印できてないじゃないですかっ! みんな操られまくりですよっ!」
俺が恨みがましくレメリカさんに言った
レメリカさんに食って掛かるなど俺にとっては自分の首に糸のこを当てて引っ張るようなものなのだが、仲間が危ない目に合ったとなると言わないといけない。
「申し訳ありません。こっちも忙しかったもので――」
「そうですか――忙しいのなら仕方がありません。文句言ってすみませんでした――なので音速で飛んできて人の頭を踏みつけるのは勘弁してもらえませんか?」
いつの間にか俺は地面に倒れ、頭を踏まれていた。
目でルシルとカリーヌに助けを求めるが、楽天的なふたりですら首を振って介入を拒否していた。
「やっぱり忙しかったって、世界崩壊を食い止めようとかしてたんですか?」
「いえ、パーカ人形を集めていました」
……おいっ! って文句は言えないか。世界が滅びるとなれば、俺もその前にパーカ人形を集めたいと思っているだろうし。
でも、レメリカさんなら世界崩壊すら食い止められそうな気がするんだけどな。
「無事全種類制覇しました」
「なんですとっ! シークレット、シークレットも手に入れたんですか?」
「シークレットはふたつ目で出ましたよ」
「是非、詳細な情報を!」
「そんな場合ではないでしょ? さて、ベリアル」
とレメリカさんはベリアルを見て言った。
ベリアルは苦笑して言う。
「なんだい、レメリカさん」
「あなたはもう終わりです。大人しく負けを認めたらどうですか?」
「僕はまだ戦っていないよ。ラスボスが戦わずに終わりなんて、拍子抜けもいいところじゃないかな?」
とベリアルは苦笑して言った
そして、彼の頭から角が生えた。
変身する気だ――その変身は見たことがある。
ベリアルの影――リアードがかつて使っていた獣化――そんなのベリアルにされたら確かに勝負がわからなくなる。
とその時、最初に動いたのはリエルだった
「隙だらけです」
と手から光の槍を取り出してそれをベリアルに向かって投げた。
こいつ、変身中でも空気を読まずに平気で攻撃するタイプかっ!
敵だと厄介だが、味方だと頼もしすぎるっ!
そして、リエルの攻撃は変身しようとして動けないベリアルに真っ直ぐ飛んでいき――
「そいつはいけねぇな」
とそれをリアードが受け止めた。
「強い奴と戦って全力で打ち砕くっ! それが戦いってもんだろっ!」
「お前は味方でもなんでそんなに厄介なんだよっ!」
と叫んだ時、ベリアルの体が膨れ上がった。
このままでは押しつぶされるっ!
「ルシルっ! 転移魔法は使えないのかっ!」
「待って、解析がまだ終わらない――」
と叫んだその時、瞬間的にベリアルの体が巨大化――俺の体がドーム状の壁に押し付けられ――
※※※
気付いたら俺たちは全員、穴の上にいた。
「ギリギリセーフね……コーマ」
「ふぅ、危なかったね、コーマおにいちゃん」
「ギリギリセーフって、レメリカさんとリエルはっ!? それにスライムたちもいないぞっ!」
「あのふたりなら私たちが逃げ出す前に既に別の空間に逃げていたわよ――アイテムバッグの中みたいな空間ね」
「弟たちも壁に潰されたくらいじゃ死なないし――」
とカリーヌが穴の中を見下ろすと、ものすごいスピードで壁を這うようにスライムたちが上がってきた。
「……レメリカさんとうちのスライムたちがチートすぎるな……もう俺たちこのまま家に帰って寝たら全部解決してるんじゃないか?」
「そうはいかないわよ。これ、あの天使たちからの手紙よ」
と俺はその手紙を見た。
『そちらはお任せしました。ルシファーをひとりの天使に戻してください。私は私たちがするべきことをしておきます。レメリカ』
一番厄介なことを押し付けられた。
こんなのあんまりだ。もしかして、レメリカさん、パーカ人形をさらに集め直しているんじゃないか?
だとしたら頑張ってもらおう。
シークレットがダブったら是が非でも交換してもらわないといけないから。
「それにしても、ベリアルもバカよね。このまま事を荒立てて私たちがひとりの天使に戻らなければ、この世界そのものが滅びちゃうのに」
「――というより、ベリアルもあんな巨大化したら穴から出てこれないんじゃないか? あと、リアードがいない……があいつはもういいか」
無視しよう、無視。
きっとベリアルと戦っているんだろう。
「コーマ、どうするの?」
「そうだな――とりあえず生き埋めにするか。前にも言ったが、なんかもうそれが一番手っ取り早い」
と俺はセメントの材料になりそうな石灰石や貝殻を取り出した。




