リアード爆誕
すみません、最近最新話が投稿しても反映されておらず、気付かずに翌日最新話を投稿してしまう事件が発生しています。先日分、差し込みで投稿していますのでご確認ください。
「カリーヌ!? なんでここにっ!?」
今回の戦いに関して、俺はカリーヌには何も言っていないはずなのに。
「コメットお姉ちゃん、タラお兄ちゃん、メディーナお姉ちゃんが、戦いたくないよって叫んでたから急いできたのっ! みんな! お姉ちゃんたちを止めてっ!」
カリーヌの命令で、スライムたちがタラたちの手や足に纏わりついていく。
元々、スライムたちはタラたちと互角の力があった。タラとコメットちゃんを止めることはできるだろう。だが――
「みんな、メディーナの目を見るなっ!」
と俺は叫んだ。が、手遅れだった。
メディーナの目を見たスライムたちが次々に石へと変わっていく。
だが――
「コーマお兄ちゃん、みんな喜んでるね」
とカリーヌが言った。
石になって喜んでいる?
そう言われて、石になったスライムたちを見る。元気に動き回っていた。
「コーマ、あのスライム……ストーンスライムに進化してるわ」
「んなアホな……」
と呟いた直後、一匹のスライムがメディーナの目に覆いかぶさった。当然そのスライムもストーンスライムになるが、目を隠されたメディーナはもう他の者を石にする力は無くなって、スライムたちに押し倒されていた。
でも、どうしてだ?
なんで、スライムたちはサタンの力が通用しないんだ?
でも、これは好都合だ。
「カリーヌ! スライムたちに命令してタラたちをそのまま穴の上に連れて上がらせてくれっ!」
と言うと、カリーヌの命令を聞かぬ間にスライムたちはタラたちを連れて穴の上に上がっていった。
そして、形勢は再び逆転。
コメットちゃんが突き刺した闇の剣を抜いて捨てた。闇の剣は大地に吸い込まれるように消えていく。
「どうしてだ……どういうことだ……何故」
ベリアルが先ほどよりも辛そうな表情で言った。
「何故、たかがスライムに僕の力が――それに、ルシファー。一体僕に何を――がはっ」
ベリアルがその場に頽れ、嗚咽をした。
迷宮の光に照らされ、ベリアルの影が大きく浮かび上がると、その影が膨らんだ。
「……がはははっ、俺様の出番のようだな」
とその声が響き渡る。
そして、影の中からそいつは現れた。
ライオンのような髪型の、毛皮を纏った巨漢の男。
「ベリアルの影……厄介な奴が現れた――というか、前より強くなっていないか?」
奴が放つ怒気に、俺の体の鱗が逆立つ気がした。そんな情けない逆鱗があってたまるか――と力を入れ直すが、影の中から現れたベリアルの影は俺を見てにっと笑うと――
「コーマ、俺はもうベリアルの影じゃねぇ。そこの嬢ちゃんのお陰で全部思い出した――」
とベリアルの影は周囲に放っていた怒気をベリアルに向けた
「よくも俺様の可愛い生徒たちを化け物に変えやがったな――俺様はお前を許さねぇ」
と言った。
「ベリー……そうか。クロードとしての記憶を取り戻したのか」
「クロードだけじゃねぇぜ。リアヌスとしての記憶もある。そうだな、俺様のことはリアードと呼んでくれ。魂の融合って奴だ。それはお前の得意分野だったよな? グリューエル理事長殿」
「ほざくなよ、ベリー。君の魂は僕が握っていることを忘れるなよ……君を消滅させることくらい――」
「あぁ、確かに俺様の魂の半分はお前が握っていたな。でも、もう半分が戻ってきた。その嬢ちゃんがお前に飲ませる形で、俺様に渡してくれたんだ」
と言ってルシルを見た。
魂の杯に入っていたリアヌスの魂を、ルシルはそのままにしてベリアルに飲ませていた。それによりベリアルの中にいるベリアルの影として動いていたリアードにその記憶と力を取り戻させた。
俺たちに協力させるために。
「勝負ありのようですね、ベリアル」
と穴の上から新たな声が聞こえてきた。
そして、現れたのは二人の女性だった。
ふたりは足場を全く使わず、最高速度で落下してきた。にもかかわらず、地面に静止する。着地音一つ立てずに。
そのふたりを見たら俺はもう何も言えない。
「……レメリカさん」
ひとりは俺が最も恐れる元天使の人間――レメリカさん。
そして、もうひとりはかつて俺が逃げるしかできなかった相手――
「……リエル」
彼女の名前を呼ぶことが、俺にできる精一杯だった。
バベルの塔を崩壊させた本物の天使がそこにいた。




