凶悪なサタンの力
済みません、何故か最近、最新話が反映されていなバグが連続して起きています。
「コーマ、これが最後の戦いよ」
ルシルが言った
「最後って、お前――」
「ベリアルの言う通り、世界を渡る力を得るにはルシファー、ベリアル、サタンの三人の力をひとつにし、元の天使の力を取り戻さないといけない。でも、取り戻すのは私でないといけないの――だって、私の力をベリアルに渡したら、コーマの神の力を封印することができなくなるもの」
「でも、ルシル。お前、ベリアルとサタンの力を取り込んだら今度こそ、お前――」
今度こそ、全くの別人になってしまうんじゃないか?
そんな懸念が俺を襲った。
だが、ルシルは笑顔で首を振る。
「大丈夫。私は変わらない。私のままよ」
「全部信じていいんだな」
俺はエクスカリバーを抜き、ベリアルに構えた。
「ええ。さっき魂の杯とベリアルの間に契約を交わした。ベリアルを殺せばその力は魂の杯に移される」
それと、とルシルはベリアルを見た。
「――コーマ、ベリアルに毒を盛ったわ」
「毒……そんなもので僕を殺せるとでも思ったのか、ルシファー」
「そう? それにしては苦しそうよ、ベリアル」
確かに、ベリアルは息も荒く、顔色も悪い。
「こんなのちょっと休めばすぐに良くなるよ」
「休む暇を与えると思うなっ!」
俺はエクスカリバーを持ち、ベリアルに斬りかかった。
ベリアルは後ろに飛んで俺から距離を取る。
「そうだね。ならば、こっちも助っ人を呼ぼう」
とベリアルが取り出したのは、四つの召喚石だった。
「それで何を呼ぼうって言うんだ? どんな魔物でも俺の手にかかれば――」
「殺せるものなら殺してみな」
と投げた石から現れた三人を見て、俺はその剣を落としかけた。
召喚石によって現れたのは四人ではなく三人。
「おいおい、召喚石は見たことがある魔物をランダムで召喚する石だろ! なんでピンポイントでこの三人を選んでいるんだよ」
「ははは、コボルトと人間の魔人なんてこのふたりだけだし、メデューサも今や絶滅危惧種で彼女が最後のひとりなんだよ? でも一個不発だったなぁ。どうだい? 君にこの三人を切れるのかい?」
「…………サタンの力か」
と俺は三人を見る。
俺にとって大切な三人だ。
「コメットちゃん、タラ、メディーナ……ということはもうひとり召喚しようとしたのはカリーヌか」
三人は苦しみ、ベリアルの力に抗おうとしているが、ベリアルがどこからともなく闇色に染まる剣を取り出し、三人に持たせた。
「ああ。ゴブカリくんとマネットくんは元ゴブリン王と現役の魔王だからね。サタンの力が通用するかわからないから放置しているよ」
とベリアルは笑いながら言った。
「ルシル! 三人をすぐに転送してくれ――」
「さっきからやっているわ。でもできないの!」
とルシルが言ったとき、タラが俺に斬りかかってきた。
完全に自我を失っている。
「悪い、タラ!」
俺はエクスカリバーの柄でタラの鳩尾を攻撃した。が――
タラは気を失う素振りを一切見せず、再度俺に斬りかかってきた。
「がっ」
肩に傷を負う。
「無駄だよ。全ての痛覚は遮断している。彼らはその命を失うまで君を襲い掛かってくる」
とベリアルが言った、その時だった。
目隠しを外したメディーナを見た――その直後だった。
右腕と左足が動かなくなる。見るとそこが石になっていた。
メデューサの石化能力か。
一瞬しか見ていないはずなのに……
「キュアストーン!」
ルシルの声を聞いて、俺に手足の感触が戻った。
「コーマ、大丈夫!?」
「大丈夫だ」
と思った時、背中に激痛が走った。
「……コメットちゃん、君は悪くない」
と俺は背中から感情なく俺を刺した彼女を見た。
くそっ、いったいどうしたら――どうしたらいいんだ。
流れていく血の温度を感じながら、俺はどうしたらいいかと思った。
その時だった。
「コーマお兄ちゃぁぁぁんっ!」
天井からそんな声をあげて、カリーヌとスライム軍団が落ちてきた。




