裁きの杖を操る兵士達
~前回のあらすじ~
フリードの体重変化だけでダイエット特番ができる気がする。
とりあえず、俺はアイテムバッグから、昨日までに作ったアイテムを取り出した。
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雷の杖【魔道具】 レア:★★★
「雷よ」と唱えると雷の攻撃を繰り出す魔法の杖。
ガラスに描かれた線の数だけ使うことができる。
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雷の杖、40本。
使用回数は5回、回数に限りがあるので練習はできない。
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エレキボム【投擲】 レア:★★★★
留め金を抜くと10秒後、強大な雷を発生させる。
周囲50メートル以内に近付いてはいけない。
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擲弾筒【魔道具】 レア:★★★
爆弾や石を遠くに飛ばすために使われる魔道具。
エネルギーの魔石の質に応じて飛ばせる回数が異なる。
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エレキボム10個と擲弾筒2本。
これは非常に強力のため、使う人は選ばないといけない。
投擲筒は魔石さえ交換すれば何度でも使用できるので、石を詰めて目標に当てる練習をしようと思っている。
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いなづまの剣【剣】 レア:★×6
雷属性の剣。力を込めて振るうことで放電も可能。
また、雷を受け止めることも切り裂くこともできる。
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いなづまの剣3本。
俺とクリス、そしてメアリが使う予定。ただ、これを使うということは否応なく接近戦をすることになった時のため、できれば出番がないまま終わってほしい。
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水蜘蛛改【靴】 レア:★×5
水の上を大地を踏みしめるみたいに歩くことができる靴。
名前だけとはもう言わせない。逆境に打ち勝った。
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雷の護符【アクセサリー】 レア:★×5
雷耐性を高める護符。
冬の静電気が苦手な方にお勧め。
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水蜘蛛改も3人分用意してある。
雷の護符は味方の雷攻撃をくらってもダメージをくらわないために作った。
そして、フリードも用意したアイテムを取り出した。
それは、袋に入った粉であり、
「魔物寄せの粉か」
鑑定を使わずとも、俺にはすぐにわかった。
それでも鑑定すると、こういう結果になる。
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魔物寄せの粉【薬品】 レア:★★★
魔物の好きな香りの粉。使うと周辺の魔物を引き寄せる効果がある。
使い時を間違えたら取り返しのつかないことになる。
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どうして袋に入った状態でわかったのか?
その理由は、これは俺が作ったアイテムだからだ。
俺が作り、フリーマーケットで販売していた薬だ。
その後、フリードが、地上にある有名な魔法ショップで買ったと言ったからさらに確信が持てた。
「これを使い、島に一角鯨をおびき寄せる予定でした。ですが、計画を変更し、北の海にまきましょう」
「一角鯨だけでなく、他の魔物も来そうだな……」
マユの配下の魔物が魔物寄せの粉に引き寄せられる可能性はあるのだろうか?
(大丈夫です、私の下の魔物にはその日、南の海域に避難するように伝達しておきました)
マユから思念が伝わってきた。そうか、それなら安心して現れた魔物を全滅させられる。
ついでに、そのマユの配下の魔物には南の島の周囲を警戒してもらおう。
魔物寄せの粉が一角鯨に100%通用する、という確証はないのだから。
(そんな不安めいたこと言われるとこっちも不安になります)
口には出さないよ。少なくとも、俺が作った魔物寄せの粉は最高品質だ。
むしろ効果がありすぎて驚くなよ。
「引き寄せられた他の雑魚も雷の杖で巻き添えにできるだろ。それより、人員の問題だ。事情を話した上でついてきてくれたのはこっちは5人いたが、そっちはどうだ?
後方支援なども含めてやっぱり30人はほしいんだが」
「ああ、それは……」
フリードはそう言うと、部屋の奥の扉――食堂の扉を開けた。
そこに、40名の男達が座っていた。
そのうちの20人は、船や館、町の護衛をしていた男達だとクリスが教えてくれた。
うん、それはわかる。兵の格好をしているから。
だが、問題は残りの20人だ。
「なんで、全員パジャマなんだ?」
俺は彼らに問いかけた。
そう、彼らは全員やつれた顔のパジャマ姿だった。
だが、やつれていても目には熱い炎のような煌きがある。
「悪いか、兄ちゃん。なにせ俺達、昨日までは寝たきり患者だったからよ」
男のうちの一人が代表して言った。
寝たきり患者?
どういうことだ? と思ったら、クリスが俺の耳元で囁く。
「クルトさんが用意した薬で助かった皆さんです。全員元気になって、事情を話したら島のために戦いたいと」
あぁ、だから寝たきりだったのか。って、そんなことはわかってる。
俺が言いたいのは、こいつらはフリードのせいで呪われて苦しんでいたんじゃないのか?
フリードにはともに戦う人には全てを説明するようにいったはずだぞ。
「俺達はフリードとはそれはそれは古い付き合いでよ、兄弟みたいに育ったんだ」
「兄ちゃん、俺たちは全て知ってたのさ。フリードから直接聞かされた。その上で自分達が呪いを受け入れる道を選んだ。罪をともに背負い、ともに死ぬ覚悟で」
「俺達の分の薬は他にまわすように頼んでな。俺達が死ねば、その分誰かが生きられる」
「愛する家族達のために死ねるなら本望だって思ったんだ」
彼らは言った。彼らだけが、最初から薬を一切飲まなかった。
だから、彼らが一番重体だった。最初からこの島とともに運命を閉じる予定だった。
「でもまぁ、生き延びちまったようだからな。どうせ諦めていた命だ、派手に使ってやろうって思ったわけよ」
「おうよ、あっしらは死兵となって戦うつもりさ」
「ちなみに、この戦いでも生き延びた報酬は、フリードの野郎を一発ぶん殴ることだ」
「ああ、痩せたとはいえ、殴り甲斐のある身体だからな」
男達は豪快に笑った。とてもではないが、寝たきりだったとは思えない。
フリードはかなり人望の厚い領主なんだな。
「よし、じゃあフリードさんと5人は後方支援に回ってもらう。海賊達、兵士20人と生き延びた患者15人は雷の杖で攻撃。俺とクリスは擲弾筒を使ってエレキボムで攻撃。エレキボムが切れ、それでもなお一角鯨が倒れないようなら、その時は接近戦になるかもしれない」
診察眼鏡により、一角鯨のHPを確認。全ての策が尽きたとき、解呪ポーションを使ってアイランドタートルの呪いを解き、戦わせる。
という作戦もある。
だが、それだと万が一の時、アイランドタートルの呪われた肉を食べさせて一角鯨を呪殺する手段が取れなくなる。
いや、そもそもアイランドタートルの肉を食べて一角鯨が死ぬという確証もないのだ。
そして、本当の最後の手段は残してある。
俺の秘密を知る者以外、誰にも言えない最後の手段が。




