表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第一部 東大陸編 Episode01 勇者試験
7/742

ボディーを隠す皮の鎧

~前回までのあらすじ~

俺の夕食がぁぁぁぁ!

 銅貨10枚を先払いして出てきた夕食は、川魚のソテーとサラダとパンだった。

 どれもかなりの量がある。冒険者は身体が資本だからなんだろうな。

 こっちの世界に来てから栄養補助食品《カ〇リーメイト》しか食べていなかったので、素直に味を楽しんだ。

 飲み物はワインが出てきた。初めて飲むワインだが、酸っぱくて苦いな。


「いやぁ、レメリカさん、とてもおいしかったですよ」

「そうですか。魚とはいえ一つの命を残酷に奪っておいてそれだけの感想とは。命に対して失礼だとは思いませんか?」

「ぐっ、いや、そもそもそれに対して文句を言うのは魚を釣ってきた人にであって、俺が命を奪ったわけじゃないでしょ」

「そうですか、あなたは食事を提供してくれた人に文句を言うということですね。金さえ払えば客だから、客の言うことは聞けと?」

「あの……俺、レメリカさんに何か悪いことがしました?」

「いえ? 特に何も。ただ、コーマさんの表情を見ていると、こう、なんというか乙女心が揺り動くんですね」


 それ、乙女心じゃない。S心だ。

 まぁいいや、嫌われているわけでないなら。ただ俺が土下座するだけで済むんだから。

 

 部屋に帰ると、案の定というか、部屋で剣と睨めっこしているクリスがいた。


「おい、クリス! お前、俺の分まで夕食食べただろ!」

「あうっ、すみません、あれ一人分じゃなかったんですか?」

「ここにきて大食いキャラかよ。十分な量だっただろ?」


 実際、俺は残さないように苦労したくらいだ。下手に残したらレメリカさんに絶対怒られるからな。


「すみません、昨日から何も食べていなくて」

「え? お前、もしかして路銀と剣を盗まれたのって」

「一昨日です」


 クリスが恥ずかしさのあまり泣きそうになった。

 一昨日って、そりゃ腹も減るだろうな……。


「にしては奇麗な格好をしているが?」

「あ、それは町に無料で入れるお風呂がありますから。別に臭いとも思わなかったし」

「え? そんなのあるの?」

「はい、追加料金払えば個室での入浴も可能ですよ」

「なんと……それは知らなかった。ってそうじゃねぇ……いや、もういいや」


 もう、なんか怒る気がなくなった。


「で、決まったのか? どっちの剣を使うのか」

「はい、プラチナソードでお願いします!」

「……金貨10枚、払えるのか?」

「え? 金貨10枚ですか? せめて金貨7枚くらいに」

「金貨7枚なら払えるのか?」

「はい、払います! 勇者になってかならず!」


 それって、10万円借りている人間が、競馬で大儲けして20万円返す、と言っているようなものなんだがな。

 でも、まぁ、クリスが勇者にならないと困るのは俺も同じだし。


「じゃあ金貨8枚だ。それが嫌ならおとなしく鋼の剣にしろ」

「わ、わかりました! 宿代込みで金貨8枚、必ずお支払いします」


 さりげなく宿代と飯代をまけさせやがった。いや、全然さりげなくない。


「じゃ、とりあえずこれを飲んで早く寝ろ」


 俺は水筒から、カップに緑色の液体を注ぐ。


「これは?」

「俺特製健康ジュース」

「媚薬……とかじゃないですよね」

「嫌なら飲むな」

「飲みます! いただきます!」


 クリスは俺が出したコップを手に取り、最初に一口飲んだ。


「あ、おいしい」


 そう言うと、一気に俺特製健康ジュースを一気に飲みほした。

 こいつ、味さえよければ、本当に惚れ薬でも簡単に飲むんじゃないだろうか?


 脳内に保存されたレシピの中から、惚れ薬がないかと思って探してみたら、俺が飲む「魅了薬」と相手に飲ませる「惚れ薬」が存在した。

 材料もすぐに揃えられるが、まぁ、今は必要ないか。


「じゃあ、寝るか……襲うなよ?」

「襲いません!」


 まぁ、襲われたら俺的にラッキーなんだけど。

 とりあえず、今は男女の関係よりも勇者と従者としての関係を維持しないといけない。


 クリスは皮の鎧を外してベッドの横に置く。

 皮の鎧を外してシャツ一枚の姿になる。すると、彼女のボディーラインが浮かび上がった。


(クリス、お前、巨乳属性を持ってたのか!?)


 皮の鎧のサイズが合っていなかったのだろうな。ていうかノーブラだよな、あれ。もしかして、3桁あるんじゃないか?

 いかんいかん、俺が興奮するとは。クリス、恐ろしい子。

 少しはルシルに分けてあげればいいのに。


「じゃあランプ消すぞ」


 これ以上は目に毒だ。


 ランプの灯りを消すと、もう横から寝息が聞こえてきた。

 の〇太くんか、君は。

 とはいえ、一昨日から野宿してきたんだろうから、ベッドで寝るのは久しぶりなのだろうし、疲れもたまっていたのだろう。


 明日から勇者試験。

 俺も疲れをとって、明日に備えないと。


「…………!」


 休もうかと思ったら――ベッドに誰か入ってきた。


(おい、クリス! 何してるんだ!)


 こいつ、完全に寝ぼけてやがる。

 ていうか、熟睡したんじゃなかったのか?


「……お父様……」


 寝言をいいながらクリスは俺を抱きしめてきた。

 え? クリスってファザコン?

 それより、何、これ、まさかの抱き枕状態!?


 人間抱き枕?


「襲わない」と言って舌の根の乾かぬ内に襲われた?


 胸の感触が俺の二の腕に伝わってくる。


(あぁ……女の子の身体ってこんなにやわらかいのかぁ)


 って、ダメだ、ダメだ!

 心頭滅却すれば火もまた涼し。

 クリスはあれだ、バカ犬だ。犬が一緒の布団に入ってきただけだ。


 と、さらに俺を抱きしめる力が強くなる。

 

(犬はこんなに柔らかくねぇぇぇぇっ!)


 ていうかこんな状態で眠れるわけない!


「……くそっ、まさか俺がクリスに負けるとは……」


 俺はそう呟くと――ベッドから出て行き、夜の町へと出て行った。




   翌朝



「あぁ、久しぶりによく寝た……あれ? コーマさん、もう起きていたんですか?」


 寝ぐせがひどいな。


「おかげさまでな。ほら、これでもつけてろ」


 俺は鎧をクリスに渡す。


「あ、私の皮の鎧……じゃない?」


 クリスが今、手に持っているのは皮ではなく鉄の鎧だ。

 ただし、質量は皮の鎧と変わらないうえ、防御力も上がった。


「昨日作った」


 素材は白金じゃない。流石に昨日の話を聞いたら、白金は目立ちすぎることがわかったから。


……………………………………………………

鉄の軽鎧【鎧】 レア:★★


鉄の鎧の軽量化に成功。防御力もそれなりに下がった。

防御力か素早さか、二兎を追うものはもっといい素材を探しましょう。

……………………………………………………


「サイズもぴったり。もしかして、私のために?」

「違う、お前のせいで作ったんだ」


 結局俺は一睡もできず、薬草と目覚まし草、そして蒸留水から、

……………………………………………………

睡眠代替薬【薬】 レア:★★


薬を飲むと8時間睡眠したのと同じ効果が得られる。

24時間働けますか?

……………………………………………………

 を作り、服用。残りの時間は酒場でジュースを飲んでいた。


「鎧代もきっちり払えよ。出世払いでいいから」

「はい、ありがとうございます!」


 悪く言えば押し売りになるんだが、


「とりあえず、寝ぐせを治せ。準備ができたら朝食食って、ギルドに行ってくれ。俺も試験の集合時間には行くから」

「はい、コーマさん!」


 朝食のために一階の飯屋に行くと、レメリカさんにとても怒られた。

 なんでも、俺のせいで呼び出しをくらって残業をくらったそうだ。


 くそっ、レメリカさんの手を煩わすことになるとは思わなかった。




 ただ、一件、自分の店を開いただけなのに。

~惚れ薬~

惚れ薬の歴史は古いです。そして、ギャグアニメでは必需品の品ですね。

特に昔のギャグアニメには必ず出てきます。

だいたい、惚れ薬は薬として出てきますが、古くはチョコレートなどが惚れ薬として使われていたと聞きます。チョコレートのフェネチルアミンというのが恋愛物質みたいですね。他に、アルコールも惚れ薬として使われていますね。あとは、黒マムシも。


甘みで女性を喜ばせ、アルコールで正常な判断能力を失わせ、黒マムシで精力を活性させる、みたいなものでしょうか? そんな単純な話?

とかあるけれど、人間が他人に惚れるというのは結構単純なものなのかもしれません。


一番の惚れ薬は恋人の手料理とか聞きますが、ルシルの手料理を食べてみてください。きっとあなたの胃袋どころかハートを射止められることでしょう。

物理的な意味で。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ