回復魔法と補助魔法
ルシルに説明をすると、彼女は心底驚いたようだ。
「賢者の石――ね……ちょっと見せて貰ってもいいかしら?」
ルシルも賢者の石に興味があるのか。まぁ、魔術を研究している彼女だ。
膨大な魔力のある賢者の石にも興味があるのだろう。
俺はアイテムバッグから真っ赤な宝石――賢者の石を取り出してルシルに渡した。
「あぁ、いいぞ。一回しか使えないのが欠点だが――ってルシル! 何してるんだよっ!」
ルシルは部屋の隅にあった消火用の水(万が一パーカ人形に火が燃え移ったら即座に消せるようにこの部屋にだけ用意している)に賢者の石を漬けた。
俺は慌てて賢者の石を水瓶から取り出す。
よかった、なんともないな。変に作動して無くなったら困るからな。これはもっと有意義な使い方をしないと。
「コーマ、この水を見てよ」
「水ってただの井戸水――ん?」
俺はそれがただの水でないことに直ぐに気付いた。
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ポーション【薬品】 レア:★★
一般的な回復薬。飲むことでHPが回復する。
ただし、味の保証はない。というか不味い。
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これ、ポーションじゃないか。
どういことだ?
「賢者の石の本来の使い道は触媒よ。無限の力、無限のエネルギーを持つの。そして、この世界の核でもあるの」
「世界の核?」
「コーマ、忘れたの? この世界は72財宝の力を使って作られたの。賢者の石はその要の素材よ」
これが世界の要?
「それほど凄いものなのか? でも材料を見るとピカピカ石以外は代用もあるものばかりだったし……」
「ピカピカ石が何なのかは私にもわからないけど、コーマ。とりあえず賢者の石の存在は誰にも言わない方がいいわ。人間に知られたら戦争が起きる引き金にもなるし、ベリアルが知ればどんな手を使っても奪いに来るわよ」
「……わかった。そうするよ」
俺は賢者の石を素直にアイテムバッグに入れた。
「ところで、コーマ。いやし石は手に入ったの?」
「あぁ、五個程な。一個は今使ったから、残り四つだ。」
「賢者の石の材料ってこと?」
「あぁ――そうだよ」
と俺は白紙の巻物を取り出し、
「アイテムクリエイト」
と唱えた。
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回復の巻物【巻物】 レア:★★★★
回復の魔法書。使用することで回復魔法を複数覚える。
修得魔法【ヒール】【キュア】【クリア】
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ヒールは傷などを治療し、HPを回復させる魔法。
キュアは毒などの状態異常を治療する魔法。
クリアはデバフ効果によるステータスの減少を治す魔法だ。
早速俺が使った。
これで回復魔法も使えるようになったわけだ。
ルシルは既に回復魔法を修得しているから必要ない。
ということで、次は最初の目的である補助魔法を覚える補助の巻物を使う。
回復の魔法書は、白紙の巻物といやし石だけだったが、補助の魔法書はそれに加え、力の妙薬と魔力の妙薬が必要になる。反応の妙薬や技の妙薬は必要ない。
「アイテムクリエイト!」
と魔法を唱えた。
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補助の巻物【巻物】 レア:★★★★
補助の魔法書。使用することで補助魔法を複数覚える。
修得魔法【筋力強化】【魔力強化】【速度強化】
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修得魔法は相変わらず、基礎的な魔法しか覚えないな。
「ルシル、早速使ってくれ」
「わかったわ」
ルシルは頷いて、巻物を読む。
表向きは変わったところは見えないが、
「なるほど、補助魔法ってこういう仕組みなのね。理解したわ。コーマに試しに魔法を使ってみていいかしら?」
「ん、いいぞ」
「じゃあ行くわね。全部強化!」
「って待てっ! 魔力や速度、力が上がっているのは使われた直後に理解したが、なんでいきなり普通なら使えない魔法を使えているんだよっ!」
「え? そりゃ私が天才だからよ。ちなみに、頭の回転率や記憶力も上がっているし、今ならスキルの上達速度も上がっているわよ」
「……お前が相変わらずチートだと気付いたよ」
俺はその後、補助の巻物を作って、自分にも使ったのだが、全部強化なんていう魔法は愚か、三種類の魔法以外何も使えなかった。




