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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Final 蒐集の末

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フリーマーケットのバーベキュー(前編)

「勇者のお兄ちゃん、お肉が焼けてるの」

「ありがとう、アンちゃん」

 アンちゃんに肉が刺さった串を一本貰う。アンちゃんとこうしてゆっくり話すのも久しぶりのためか、俺にくっついて離れない。

 ザードが後ろから恨めし気に見ているが、気にしないようにしよう。

 夜。俺は前から約束していたバーベキュー大会を工房前の庭で行っていた。フリーマーケットの従業員全員に加え、クルト、アンちゃん、ザードが参加している。

「そういえば、クルト。最年少で一級錬金術師に認められたんだって?」

 白髪の少年――クルトの噂は結構耳にするからな。

「はい、全て師匠のおかげです」

「僕だって鍛冶ギルドのサブマスターになったんだぞ。鍛冶師全体の技術向上に貢献しているからな!」

 肉焼き係となっているザードが負けじと自分の手柄を報告してくる。

 謙虚なクルトとはえらい違いだが、こいつはこいつなりに頑張っているようだ。

「ふふふ、ここにいる皆が力を合わせれば、ラビスシティーを手中に収めることができるかもしれませんね。試してみますか?」

 野菜串を食べているシュシュがニコニコと笑いながらそんな提案をしてきた。

 さらりと怖い事を言うな。

「そんなことしたらうちらの仕事が増えて、いい加減過労死するで」

 とリーがやってきてシュシュの頭を小突く。できるかどうかに対しては否定しないんだな。だが、冒険者ギルドのレメリカさんがいる限り、それは不可能なのだよ。

 レメリカさんの秘密をこの場で唯一知っている俺がひとり笑っていると、

「コーマ……」

 とリーが俺を見て声をかけてきた。呼び名がオーナーからコーマに戻っている。

「やっと普通に呼んでくれるようになったな」

「えっと……うちの中でまだ整理がつかんねんけど、コーマって、うちら従業員の中ではやっぱりメイベルが一番好きなんやろ?」

「え? いや順序はつけていないつもりだが……でもまぁメイベルが一番付き合いが長いからな」

 俺が一番好きなのはルシルで間違いないが、従業員の中だとメイベルだな。あ、コメットちゃんはフリーマーケットの従業員に含んでいない。

「なら、うちは別に二番目でも――クリスを入れたら三番目でも構わないから……その……愛人にしてもらわれへんやろか?」

 リーがとんでもないことを言い出した。見た目や言動に反して生真面目な性格の持ち主だったはずなのだが、その性格が災いして考えすぎて凄いところに着地したのかもしれない。

「何を言ってるのかしら、リーは。お酒を飲んでいないのに酔ってるのかしら」

 と突如として湧いて出たファンシーがリーの耳を引っ張ってその口の中に酒瓶を突っ込む。

 リーも未成年なんだから、そんな一気に酒を飲んだら急性アルコール中毒になるぞ。

 一応、この世界で飲酒は16歳から可能だから違法ではないが。

「すみません、コーマ様。リーには後できつく男と女のなんたるやを言っておきますから」

「……あぁ、よろしく頼むよ」

 ファンシーはこういう問題においては俺の知り合いの中で一番大人だからな。

「アンも勇者のお兄ちゃんのアイジンになるの」

「うん、ありがとうな、アンちゃん。でもクルトとザードが泣くから、そういう言葉は意味がわかるようになってから言ってね。あっちでクルトと遊んでおいで」

「もっと勇者のお兄ちゃんと一緒にいたいの」

 うーん、困ったな。そう思ったら、シュシュが、

「アンちゃん、愛人というのは一歩引いたところから見守らないといけませんよ? 独占欲を出してはいけません」

 と、またとんでもないことをアンちゃんに吹き込んだ。

「よくわからないけど、わかったの。あっちでクルトお兄ちゃんと遊んでるの」

 そう言って、ようやく俺から離れた。

 俺ひとりになったと思ったわけだが――

「……ここは相変わらず楽しいですね」

「うおっ、びっくりした。お前、レモネか!?」

 隣からいきなり声をかけられてびっくりした。

「お久しぶりです、コーマ様……エリエール様が正式に引退されて西大陸の業務全てを任されているだけでなく、何故かスウィートポテト学園の財政管理までさせられているレモネです」

 と恨みがましく俺を見てきた。

「わ、悪い。ほら、委員長を無理やり校長にしたのはいいんだけど、全部の仕事を彼女に任せるのは国のお偉いさんとかが黙っていなくてさ。でも今や西大陸で一、二を争う有名人になったお前が補助をすると言ったらみんな納得してさ――というか、よくここに来られたな。仕事は大丈夫なのか?」

「とても大事な用事をメイベルオーナーに命令されまして――一週間寝ずに仕事をして、ようやく戻ってこれました。と言っても明日にはまた西大陸に戻るために発たないといけませんが」

「そうかそうか――で、なんで頭の上に肉を乗せているんだ?」

「さっき肉を運んでいる時に盛大に転んでしまいまして――みんなから私は何もせずに料理を食べていていいって」

 できる人間なのに、ドジっ子は相変わらずか。

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