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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode15 英雄の証

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エグリザの手紙

 封書を開け、最初に見たのは差出人の名前だった。

 差出人の名は末尾に記されていた。

 エグリザ。

 クリスの父の名だ。

 それだけを確認し、はじめから読み始める。

 最初に書かれていたのは、この手紙は俺一人で読むようにと書いていた。それは暗に、クリスには絶対に読ませないようにという意味が込められているのだろうことは明確だ。だったら差出人の名前を書かなければいいのにとは思ったが、そこは置いておく。

 次に書かれていたのは、俺たちが余計な物を連れてきたことに対する愚痴であった。

 なので、読み飛ばす。

 次に書かれていたのはクリスに対する惚気。

 妻に似ているとか、とても可愛らしく成長したとか、そういう話だった。なので読み飛ばす。

 そして、三つ目にようやく本題に入った。

 つまり、ブックメーカー――リアヌスに関することが書かれていた。

 彼もまた普通の人間よりも多少なりとも長く生きているためか、リアヌスについても調べていたようだ。

 リアヌスはかつて、あのエントとも互角に渡り合ったという化け物だと書かれていた。さすがにそれは俺も驚いた。でも、それだと少し怪訝に思う。エントは竜化第二段階の俺がエントキラーを使い、スライムたちの助けを借りてようやく勝てた相手だ。

 あのベリアルの影ですら、エントを倒すことはできなかった。

 だが、あのリアヌスは竜化第二段階のコーラに押されていた。コーラの強さを見たが、あの時の竜化第二段階の俺よりもずば抜けて強いとはどうしても思えない。だとするのなら、リアヌスが弱くなったのだろうか?

 その理由が次に書かれていた。

 リアヌスの力の半分は、クロード・ブラウン――今のベリアルの影によって奪われたそうだ。その時にスキルも全て奪われているとも。

 確かにあのリアヌスの攻撃手段はげんこつパンチという名のただのパンチだった。

 なるほど、いろいろと辻褄は会ってきたな。

 ベリアルの影の性格の変化もそのあたりに理由があるのだろうか?

『リアヌスの弱点はその性格だ。強い者と戦うためならばいかなることもする。だが、神の力を持たない君では勝てない。ならば、手段は残されている。リーリエ女王をこちらに送り、その後リアヌスの魂だけを彼女の体に戻す。その交渉役は私がしよう。君はリーリエ女王の体に入ったリアヌスと戦って負かし、情報を得るなり言う事を聞かせるなりすればいい。ただし、その場合彼はリアヌスとしての力だけでなく、ブックメーカーとしての全知の力を合わせ持つことになる。一筋縄ではいかないから気を付けろ。クリスティーナは戦いになる前に安全な場所に避難させるように』

 つまり、今、リーリエとリアヌスが同じ体の中にいるからこのような状態になるからと。

「……つまり、全部こっちで解決しろってことか」

 でも、リーリエと戦うのか。

 少しでも傷を残したらイシズに殺されかねないな。まぁ、それはエリクシールを使えば解決か。

「コーマさん、その手紙にはなんと?」

「んー、リーリエとリアヌスの魂を一度あっちに送って、リアヌスだけをリーリエの体に戻す。それなら、少なくとも俺は竜化状態で戦える」

「リーリエちゃんの体は大丈夫なんでしょうか? コーマさんがもし負けたら――」

「大丈夫だよ――こっちには秘密兵器もいるしな」

 と俺はルシルを見た。

 俺の目線を彼女は正面から受け止めた。

「それに、いくら戦闘のプロでも体はリーリエなんだぞ? 負ける理由がない」

 俺はそう言って、手紙を持ってきたラクラッド族のひとりに、もう一度魂をあちら側に送れないかと尋ねた。

 だが、今日の分はもう終わったから明日になると言われた。

 ルシルもそれなら魔力も多少なりとも回復するから丁度いいと言った。

 それなら、今日は魔王城に戻ろうかとも思ったが。

「コーマ、ムラ、トマル。モテナス」

 とラクラッド族が手を上げて言った。

 村に泊まっていけってことか。

「ベッド、ツクル。イエ、ツクル。トクイ」

「そこまでしてもらっていいのか?」

「コーマ、トクベツ。コーマ、アマイモノ、ウマイ」

「そうか、それなら、今夜の宴のデザートは俺に任せておけ。とびっきり旨い菓子を作ってやるからな」

「ミンナ、ヨロコブ!」

 と言って彼は走って行った。

「ルシルたちも手伝ってやってくれ。俺は明日に備えてすることがある」

「わかったわ」

「わかりました。あ、コーマさん、リーリエちゃんに悪戯したらダメですよ」

「しねぇよっ!」

 足を止めて注意するクリスを怒鳴りつけ、ふたりが見えなくなった時、俺はリーリエに尋ねた。

「なぁ、お前は俺が既に知っていることは代償無しで教えてくれるんだよな?」

「そうだよ、コウマくん」

 リーリエは縄で縛られているのに、笑顔で頷いた。

「ならば教えてくれ。今のルシルは――」

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