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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode15 英雄の証

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ラクラッド族のスウィーツパーティー

 ラクラッド族の試練は過酷を極めた。


 俺がラクラッド族の見張りに試練を受けると伝えると、村の中まで案内された。村に入るための試練のはずなのに、村の中に入って試練を行うというのは妙な話だと思ったけれど、それがルールだというのだから仕方ない。

 ラクラッド族の村は、藁でできた犬小屋サイズの家が並んでいる。

 ラクラッド族にとって家の中というのは寝るためだけの空間らしいから、部屋もひとつしかないそうだし。

 で、現在。ラクラッド族三十人が俺を取り囲んでいた。

「シュークリーム三十二個完成!」

 俺が巨大な切り株の上にシュークリームを三十一個並べると、ラクラッド族三十人が一斉に食べ始めた。

「アマイ! ウマイナコレ!」

「モウナクナッタ! モットタベタイ!」

「アマイモノモットタベタイ」

「クリームガタベタイ」

「コーマ、私はアイスクリームが食べたいからアイスを作ってよ」

 ラクラッド族に混じってルシルがシュークリームを食べながら言った。

「アイスクリーム、ナンダソレ、アマイノカ?」

「甘いわよ。甘くて冷たいの。とっても美味しいんだから」

「アマクテツメタイ? ソレタベタイ! コンドノシレン、アイスクリームダ!」

 ……試練って本当に甘いものを食べたいだけの方便なんだよな。

 別にいいんだけど。

 アイテムクリエイトでアイスクリームを作り出す。ウエハースを乗せているのはサービスだ。

「ツメタイ! アマイ!」

「サクサク、オイシイ!」

「ホカニナニヲツクレル?」

「私に任せておきなさい。コーマが作った甘いものは大抵食べたことがあるんだから。コーマが一番得意なのはスウィートポテトなの」

「ポテト? イモナノニアマイノカ?」

「そうよ。あぁ、このあたりの芋は糖分があまりないのよね。コーマ――」

「こんなに食べると太っちゃいますね」

 ウエハースにアイスを乗せながらクリスが言った。

 くそっ、クリスまでスウィーツパーティーに参加しやがって。

 俺もつまみ食いをしながら、和洋中、様々なお菓子を作った。

 結局、試練と言う名のスウィーツパーティーは38品作ったところで終わった。

 いったい、あの体にどうやってあの量のスウィーツが入るのやら。

「シレン、ゴウカクオメデトウ!」

「コーマ、ナカマ! ジユウニムラニハイッテイイ」

「イツデモキテイイ。アマイモノツクレ」

 と、ラクラッド族からの信頼を得た。

 クリスもまた、俺の仲間ということで認められ、そして、

「ルシルサマ、ムラノカジツ。モッテイケ」

「コレ、ムラノタカラ。ルシルサマニササゲル」

「うん、ありがとうね」

 何故かルシルはラクラッド族の皆にあがめられていた。

 いつの間にか女王様が座るような椅子が用意されて、そこにルシルが座っている。あいつが崇められる理由なんて皆目見当がつかないんだが、もしかしたら、ルシルの中の魔王の娘としての力を見抜いたのかもしれない。

 なんで村の宝なんて貰っているんだよ。

 でも、村の石って言っても、ただの光っている石なんだよな。

……………………………………………………

ピカピカ石【素材】 レア:★×9


自分の力で光る石。永久に光り続ける。

エネルギー源が何なのかは謎。

……………………………………………………

 ……すげっ!

 素材なのにレア度が【★×9】だ。

 でも、これから何を作れるかわからないな。レシピも何も追加されていないし。

「綺麗だけど、これ、なんの石なの?」

 ルシルが光る石を見詰めて言う。

「ケンジャノイシノザイリョウッテキイテル。ソレイガイシラナイ」

「賢者の石!?」

 俺は思わず叫んでいた。

 賢者の石の材料――それが正しいのなら、【★×9】というレア度も納得だ。

「本当に貰っていいの? 村の宝なんでしょ?」

「ヨル、ヒカル。マブシイ、ネムレナイ」

「……それって要らない物を押し付けてるだけよね……まぁそういうことなら貰っておくわ」

 ルシルはげんなりした表情で、その貴重な石を俺のアイテムバッグに入れた。

 本当にそんな扱いでいいのか? 村の宝。

「それで、フーカとジューンはどこにいるんだ?」

 俺はラクラッド族のおやつを作りに来たわけじゃないからな。

「オニノムスメ、アナノナカ」

「ジューンノシンシツニイル」

「コーマモネムリニキタノカ?」

「ネタイナラ、ジュンビスルゾ?」

「いや、別に寝たいわけじゃないけど」

「ネナイトアエナイゾ」

「ジューンとオニノムスメ、アナノナカニイル。ネナイトアエナイゾ。ツイテコイ」

 ついてこいって言われてもな。

 俺が聞いた話だと、この村で呪いをかけてもらえば眠ることができ、眠っている間は年を取らない。それを起こすために俺が来たわけで、俺が眠るためではない。

「イマ、オニノムスメトジューンノタマシイ、ココニナイ。タマシイナイトオキレナイ。ヨビニイケ」

「え? 魂がない?」

 案内された場所――そこではフーカと黒いフードを被ったしわしわの爺さんが眠っていた。この爺さんがジューンなのだろう。

 ふたりの状態を診断する。

【魂消】

 とあった。魂が消えている?

 とりあえず、エリクシールを使ってみる。

 だが――

「目を覚まさない……」

「コーマ、無理よ。魂がないんだから目を覚ますわけがないわ」

「ルシルちゃん、魂がないってどういうことですか!?」

 クリスが驚いて尋ねたが、ルシルは淡々と説明した。

「どうやら、この場所は魂を抜いて別の場所に移す祭儀場みたいなもののようね……」

「魂を抜いて別の場所に――魂ってそんなに出し入れ自由なものだっけか」

 この世界に来ていろいろと不思議な現象に出くわしてきた俺だけど、さすがに今回はいろいろと反則だろうと思った。

「ソレデ、コーマ、ネルカ?」

 俺の心情などわかっていないだろうラクラッド族のひとりがそう尋ねた。

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