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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode14 贖罪の村

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森の中の鳥

「まさか、こんなところにレア草が生えているとはな」

 村から南西に約三十キロにある洞窟の最奥――天井にぽっかりと開いた穴から太陽の光が差し込み、その場所にだけ草が生えている。

 洞窟の中の養分をたっぷりと蓄えた水色の草――それはこんな名前で呼ばれていた。

……………………………………………………

洞窟草【素材】 レア:★★★


深い洞窟の最奥に差し込む光の中でのみ育つ草。

土属性の成分を持つため、錬金術の材料として使われる。

……………………………………………………

 ここを見つけたのは偶然だった。

 というか、普通に天井に空いた穴――俺はその穴から落ちてしまった。浮かれていたんだよな、きっと。

 まさか、ルシルのほうから俺に結婚話を持ち出してくれるとは思わなかった。

 あとは指輪の用意だな。指輪か……どうせならオリハルコンを使いたいよな。宝石はルビーにしようか。きっとルシルの目の色と合うだろう。

 っと、今は魔法書だな。

 洞窟草は二十本ほど生えていたので、五本ほど採取させてもらった。

 さらにアイテムバッグから何も書かれていない巻物――白紙スクロールを取り出し、

「アイテムクリエイト!」

 と唱えた。草が消え失せ、白紙の巻物に文字が自動的に書き込まれる。

……………………………………………………

大地の巻物【巻物】 レア:★★★★


大地の魔法書。使用することで土魔法を複数覚える。

修得魔法【土矢アースアロー】【土壁アースウォール】【大地剣アースソード

……………………………………………………

 よし、できた。土矢って威力あまりなさそうだけど、でも魔法は覚えることに意味があるからな。

 まずは俺が使ってみる。

 書かれた文字を黙読するが、心がまだ浮ついているのか、内容が全く頭に入ってこない。

 でも、それでも大地の巻物は効果を発揮したようだ。

 巻物は白紙に戻り、自分のスキルを見てみると、「土魔法:Lv3」が追加されている。

 これをルシルが使えば、きっと土魔法:Lv10を覚えるだけでなく、派生魔法も手に入るだろう。

 白紙に戻った巻物と洞窟草を使って再び大地の巻物を作り、アイテムバッグに入れた。

 あとは火属性と風属性だな。火属性は俺は覚えているけど、ルシルはまだ覚えていない。こんなことなら俺が使わずにルシルに使わせたらよかったと思ったけれど、過ぎてしまったものは仕方ない。

 とりあえず洞窟から出るか。

 普通に跳んで天井の穴から出るのも手段だけど、せっかくだし正規の入り口を確認しておきたい。

 風は流れているから出口はあるはずだし、洞窟の中にはそこでしか採れない素材があるかもしれない。

明かり(ライト)

 光魔法で光球を生み出し、俺は洞窟の入り口を目指して歩き始めた。

 洞窟には様々なトラップがあったり、魔物が現れたり、人が普通に通るのは困難な場所があったりなどすることもなく、ただただまっすぐ伸びた鍾乳洞のような洞窟を進み、出口――いや、入口にたどり着いた。

 普通に森の中にある横穴があるという感じだ。まぁ、自然にできた洞窟なんてこんなものだろう。

「さすがにこのあたりには何もないよな」

 この大陸って魔物もいないから、索敵スキルもあまり役に立たないし。

 そうだ、ルシルのために木の実でも探すか。あいつのことだ、きっと今頃ケーキのレシピを見て何を作るか考えているだろう。あのケーキ作りの本にはフルーツタルトみたいなものも載っていたから、ルシルがそういうケーキを作りたいと言い出した時に備えて木の実を採取しよう。

 そう思い、頭上を見上げ、俺は気付いた。

 木の上に鳥が止まっていることに。

「……あれ?」

 ただの鳥ではない。鳩に似たその鳥に見覚えがあった。

 俺はアイテムバッグから虫取り網を取り出し、一気に跳んで網で鳥を捕獲した。

「暴れるな……いい子にしてろ」

 と俺は暴れる鳥から、その脚に結わえ付けられた紙を解く。

 そして、中身を確認して俺はやっぱり、と思った。

 それは先日開拓村から別の開拓村に送ったはずの手紙だった。伝書鳩代わりに放たれた鳥がこんなところでサボっていた。

「全く、ルシルみたいな奴だ……」

 確か、この鳥が行く町は南西の方角にあるって言っていたから、方角は正しいのにな。

 このままにするのもあれだし、村に連れて帰るか。

 とりあえず、捕獲用の網から檻に鳥を移し、その中に餌を入れる。

「俺が作った鳥用の餌だからな。病みつきになっても知らないぞ」

 と笑いながら言う。もちろん、実際に調理したわけではなく、アイテムクリエイトで作ったのだが、それでも美味しいことは間違いない。

 実際、その鳥は餌を全力で食べ――その匂いにつられて他の鳥まで寄ってきた。

「……え?」

 それを見て俺は絶句する。

 なぜなら、餌を求めてきた鳥は九羽いた。

 その鳥は全て俺が捕まえた鳥と同じ種類であり、その九匹全てに手紙が結わえ付けられていたから。

 そして、手紙を解いてみると、やはりその全てが開拓村で書かれた、別の開拓村に宛てられた手紙だった。


 つまり村から放った手紙が一通も届いていないということになる。


「……ただの偶然なのか?」


 南西の方角を見詰めるが、そこは鬱蒼と茂る森が広がっているだけだった。

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