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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode13 迷宮事変

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エリエールの心の刃

 イシズもそうだけど、こいつもこいつで無茶をしやがる。

 でも、こっちはトリックを見抜けたからといって、それで解決するというわけではない。いや、トリックがわかったからこそ、俺の悩みはさらに増す。


 体の半分まで食い込んだ剣を抜くも、今回はエリエールの体に傷は残らない。

 最初から彼女にダメージを与える攻撃ではなかったから。


「エリエール、お前、体の中になんてもん仕込んでやがる! 絶対使い方を間違っているだろ!」

「こうでもしないとコーマ様を止めることなんてできませんもの」

「…………それが壊れたら、お前は確実に死ぬぞ」

「それはもとより承知していますわ」


 俺は自分の剣を見る。

 銅の剣を作る時、水の代わりにアルティメットポーションを使えばできる剣。

 鍛冶レベル10の俺だからこそ作れた剣を見る剣。

 その剣を見る。


……………………………………………………

癒しの剣【魔法剣】 レア:★×5


斬った相手の傷を癒す魔法の剣。

斬れば斬るほど回復していきます。

……………………………………………………


 斬れば斬るほど回復する剣。これを使ったため、俺の今の攻撃はエリエールを傷つけることはなかった。

 そして、エリエールも同じトリックを使っている。


「お前、癒しの剣の刃を自分の体の中に埋め込んでるのか!」

「……さすがですわね、その通りですわ」


 その通りですって、おいおい。思いついてもそんなことしないだろ。

 剣を飲み込んだのか?

 手品師みたいに?

 さすがに柄は入らないだろうから、刃の部分だけ埋め込んでいるんだろう。


 癒しの剣は肉体は傷つけられないが、非生命体は斬れる。

 俺の癒しの剣でエリエールの体の中の癒しの剣だけを折ることは可能だ。

 でも、そうすれば癒しの剣の癒しの機能が失われ、エリエールの体の中の剣がそのまま彼女の体を蝕む。

 剣を取り出してから薬を使って治療しても間に合わないだろう。

 それなら、無理やりエリエールの口の中に手をつっこんで剣を抜けば――って、剣がどこまで体内に入り込んでいるのかわからない。さっき斬った感覚だと、胸の当たりまで剣が入り込んでいるから、口の中では無理か。

 それこそ、俺が竜化し、かつてクリスにそうしてしまった時のように、爪で直接彼女の腹を突き刺し、そして直接剣をえぐり取ったほうが彼女の生存率は上がる。


「…………くっ」


 自分が情けない。人間をやめるなんて言いながら、俺はエリエールを殺さないで倒す方法を考えている。

 さっきもそうだ。エリエールに致命傷を負わせないように戦っていた。彼女を殺そうと思って戦っていたら、最初から――

 そう、最初からエリエールを殺す気で戦っていたら、こんな時間を


「もう考えるのはヤメだ!」


 そして、俺は魔法を唱える。


雷剣サンダーソード!」


 かつて、蒼の迷宮で覚えたこの魔法を。

 俺の癒しの剣に雷が帯びる。そして、俺はその剣の留め具を外し、刃を抜いた。

 手で直接刃を握り、そして――


「行くぞ、エリエール!」


 俺は竜化し、一気にエリエールの腹に突き刺した。


「…………っ! いやぁぁぁぁぁっ!」


 今までにない激しい激痛がエリエールを襲っただろう。

 当たり前だ。俺の雷属性の癒しの剣はエリエールにはダメージを与えず、彼女の体内の癒しの剣にのみダメージを与え、そして剣を折った。


 癒しの剣は彼女の体内を傷つけるが、俺の癒しの剣がそれを癒し続ける。

 そして、癒しの剣にほどこした雷が彼女の体を自由に動けなくする。


 俺はそのままエリエールを部屋の外に蹴飛ばした。


「う……こ……」


 意識はまだあるようだ。だが――


「体内の剣を除去するまで、剣は抜くなよ。抜いたら死ぬからな。体の痺れは数分で抜けると思う」

「こ……コーマ様、お願いです、それより先には――」


 彼女はそう呟くと、そのまま雷の痺れに耐え兼ね、気を失った。

 ボス扉が開く。

 そして、俺はゆっくりと扉の先に向かった。


 大切なものを失わないために。

 それ以外の全てを失うことになっても俺は前に進む。

昨日言っていたお知らせですが、

「お魚から人外転生の出世魚物語 ブラックバスからいつかブラックドラゴンへ!」

が書籍化決定しました。アイテムコレクターのスピンオフ作品です。

詳しくは活動報告で。

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