リッチとの戦い
不死生物の弱点は光属性が一般的だ。弱い悪霊に至っては、太陽の光を浴びただけで昇天してしまうそうだが、リッチ相手だと、俺の付け焼刃の光魔法でも意味はあまりないだろう。
俺の中の殺意が膨れ上がる――と同時に、竜化を果たした。
竜化第二段階。
かつて、エントと戦った時に自我を失いそうになった第二段階も、だいぶ慣れたものだ。
もちろん、油断したら意識を持って行かれそうになるけれど、十分戦える。
リッチを殺すだけではいけない。
心臓を抜き取り、同時にリッチが絶命する前にアイテムクリエイトで薬を作り終える。
そのためには、リッチの心臓を鑑定し、レシピを見つける時間も必要だ。
僅かに手元が狂えば、リッチを瞬殺してしまいかねないのに、手加減して戦える相手ではない。厄介だ。
『*************』
リッチが謎の呪文を唱えると同時に、そいつの手に杖が現れ、怪しい光を放つ。
何かするつもりか! その前にかたをつけないと。
そう思った時だった。
後ろから鋭い痛みが。
いったい、何が起きたのか――と思ったら、腹から剣が生えている。
俺はその剣を握りながら、後ろを振り向いた。
「クリスっ! お前って奴は――」
剣を抜くと、血が噴水のように溢れだしたが、すぐにアルティメットポーションで治療した。
と同時に、今後はしっかりと剣を躱す。クリスの剣ではない、
コメットちゃんの剣だ。
さっきのリッチの呪文と光は、魔法の前段階ではなく、催眠魔法だったというわけか。幸いと言えばいいのか、俺は常に破壊衝動に抗い続けているため、催眠に対しては強い耐性を持っていたのだろう。
魔物と戦うことがあるからと、エクスカリバーを持たせていたのが裏目に出た。
コメットちゃんの剣をよけたところで再度クリスが俺に襲い掛かり、その剣を俺のエクスカリバーで受け止める。
すると、今度はコメットちゃんが後ろから斬りかかってきて――
それをタラが受け止めた。
「タラ、お前は無事なのかっ!」
「ええ――精神的な催眠効果です。某はゴーリキがさらに強力な呪いを受けたことがあり、耐性があるようです」
そうか、タラは、ゴーリキがまがいなりにも一週間近くブラッドソードの呪いに抗い続けていたから耐性があるのか。
「タラ、少しの間コメットちゃんとクリスを頼む!」
「わかりました――ですがクリス殿の相手は難しいかも」
「時間を稼ぐだけでもいい」
速攻で終わらせる。
俺がそう決意し、剣を振るったが、再度リッチの杖が光ったかと思うと、杖の先端から炎が溢れだしてきた。
「そんなもん効くかっ!」
エクスカリバーが炎を斬りさき、そして、その剣をそのまま投げた。
腹に剣が突き刺さったリッチの頭を拳で叩き、リッチを仰向けに倒した。
『*************』
何を言ってるのかわかんねぇよっ!
俺はそう言って、右手の拳を広げ、爪を立て、リッチの左胸に突き刺す。
そして、それは出て来た。
鼓動を立てていない、その臓器が。
左手でアイテムバッグから他の素材を取り出しつつ、その臓器を鑑定する。
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不死王の心臓【素材】 レア:★×8
決して死ぬことのない王の心臓。
呪術の材料として使われる最高素材。
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と同時に、俺は追加されたレシピを探る。
って、一体いくつレシピが追加されているんだよ。いろんなアイテム作れるみたいだが、すでにリッチの消滅は始まっていた。
不死の王なんだから、もう少し頑張れ!
そう思い、俺はレシピを探り、それを見つけた。
それがどんなアイテムか吟味している暇もない。すでに不死王の心臓が消えかけている。
「主っ!」
タラの声が聞こえたが、それに応える暇はない。
「アイテムクリエイト!」
俺がそう言うと同時に、腹に激痛が走った。
またかよ、クリス。
そう思ったとき、
「え? コーマさん……あれ、私、一体何を」
どうやら、意識が戻ったようだ。
「クリス、呆けている暇があったら剣を抜いてくれ」
「わ、わかりました」
剣が抜かれたので、俺は二本目のアルティメットポーションを飲んだ。
クリスにはいろいろと文句を言ってやりたいが、その前にこれを見ないといけない。
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魔物化薬【薬品】 レア:★×8
様々な魔物の血肉と魂を混ぜ込んだ薬。
全て飲み終えたら、三日後、魔物へと姿を変える。
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できた。魔物化薬だ。
かなりきつかったが、これがあれば。これさえあれば、魔物化の解除方法がわかるはずだ。
そう思い、俺は通信イヤリングを手に取った。




