蠱毒の産物
強制融合薬を完成させた俺はグラウンドに戻り、アイテムバッグから魔物進化薬を取り出す。
これで、残りの素材は緋の血晶石と死霊王の心臓だ。
そう思っていたら、大きな赤色の石を持って、タラがやってきた。
「主、緋の血晶石をお持ちしました」
タラが持ってきた。
緋の血晶石……これがそうなのか。
名前を見てある程度は想像していたが、ひどいアイテムだな。
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緋の血晶石【素材】 レア:★×7
魔蠱と呼ばれる魔物を閉じ込め戦わせる部屋の底の血が集まり、結晶となった。
魔物の強い怨念と怒りが篭っていると言われる。
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魔蠱とは、蠱毒の一種のことなのだろう。
蠱毒というのは、一定の種類の動物を狭い部屋に閉じ込め戦わせ、最後に残った一頭が神獣となる。その毒はとても強力なそうなのだが、この緋の血晶石は蠱毒の副産物なのだろうか? それとも、最初からこの緋の血晶石を作るために蠱毒を作り出したのだろうか?
本当に魔物の強い怨念と怒りが篭っているのなら、それを強制融合薬で混ぜ合わせた場合、何が起こるのか。
とても恐ろしいことになる予感がするとしかわからない。
ともかく、材料が三つ揃った。
これで、残りはひとつだ。
死霊王の心臓。死霊王――おそらくリッチと呼ばれる魔物の心臓だろう。
果たして、そのようなアイテムがこの学園の中に残っているのだろうか?
残っていたとしても、もうすでに腐っていて使い物にならないのではないだろうか?
「コーマさん! 持ってきました! 死霊王の心臓です!」
「おぉ、クリス、あったのか……っておい!」
確かに、クリスが持ってきたのは死霊王の心臓なのだろう。
ただし、余計な物までくっついている。
そこにあったのは、何枚もの札で封印された鉄の箱だった。
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封印の御札【魔道具】 レア:★×5
邪な物を封印するための御札。
複数枚貼れば、累乗的にその効果を高める
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「コーマさん、この中にリッチが閉じ込められているそうですよ」
「リッチか……んー、生きてるのか?」
「死んでいると思いますよ。死霊の王というくらいですから」
「いや、そういう意味じゃなくて、封印を解いても動くのかってことを聞いているんだよ」
札を解いたら、ゾンビじゃなくて干からびたリッチがいました……ならまだしも腐っていました、みたいなオチは嫌だぞ。
はぁ……とにかく開けてみるか。
そう思い、札を触った時、
「ぐあっ」
思わず悲鳴を上げてしまう。手に衝撃が走った。
「コーマ様っ!」
「主っ!」
ふたりが俺に駆け寄ってくる。
大丈夫、もう大丈夫だ。
「……封印された? 俺の力が?」
俺の邪な力が封印されたというのか?
魔王としての、ルシファーの力が、あの一瞬の間だけ封印され、そして激痛が走った?
「クリス、俺の代わりに札を剥がしてくれ。コメットちゃんもタラもコボルトだから、触って無事であるという保証がない」
「わ、わかりました」
クリスはおっかなびっくりといった感じで、まずは札を指先でつついてみる。
声をあげないということは、触っても何もおきなかったのだろう。
札をさらに剥がしていく。
一枚、また一枚と。
そして、最後の一枚を剥がし終えた時、
「……………………」
何も起きなかった。
静寂が空気を支配する。
「本当に中でミイラになってるんじゃないのか?」
せめて心臓だけでも無事に残っていたらいいんだが。
そう思った時、鉄の箱がはじけ飛んだ。
そして、中から現れたのは、法衣を纏った骸骨。
死霊の王、ノーライフキング。
それが目の前にいる。
迷宮で兵が変化して生まれたまがい物じゃない、正真正銘の化け物だ。
【HP1254357/1254357 MP8452/8452】
どうやら、箱の中に閉じ込められていたことによる弱体化もない。
よし――
「ルシル、聞こえるか?」
俺はそう言うと、彼女に言った。
『どうしたの?』
「封印解除第二段階だ」




