校長の愚痴日記
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守護機械【魔道具】 レア:★★★★
魔力で動く警備人形。侵入者を見つけると襲い掛かる凶悪な魔道機械。
七桁の暗証番号を述べることで停止する。
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アイテム図鑑に登録……っと。
凶悪な魔道機械か……それは恐ろしい。
と、俺は目の前の全身鎧を見て笑うと――
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とりあえず、残骸の部品は全部アイテムバッグに入れることにした。
この程度なら、コメットちゃんでもかすり傷ひとつ負わないだろうな。
「さてと、それでは倉庫に――じゃなくて、資料室にいかないとな」
倉庫の中のアイテムは気になるけれど、先に見るべきは資料室だ。
焦る気持ちを抑えながらも、資料室の扉を壊して開ける。
「あぁ、ここは本当に資料室みたいだ」
考えてもみれば、生徒も入ることがあるかもしれない資料室にエロ本は置かないか。
半分は教科書や参考書のようだ。
そういえば、高校の備品室にもこんな棚があったなと思いながら、とりあえず教科書は全て中身を見てみるが、やはり普通の教科書のようだ。
とりあえずアイテムバッグに入れる。
教科書の判別には、反応の神薬で鍛え上げた動体視力がものをいった。
次は論文らしき資料の山に目を通した。
こっちは期待できそうだ。何しろ、その資料を書いているのがこの学校の校長先生。実質、学園のナンバー2だからな。
俺は資料を拡げて見ていく。
『上司に上手にゴマをする五十の掟』
『校長の愚痴日記』
『生徒と付き合ってもばれない方法』
『エロ本の隠し場所百選』
『脱税ノススメ』
教師もクソなら、校長もクソ野郎だ。
この学園は滅ぶべきして滅んだのではないだろうか?
そう思えてくる。
でも、日記があった。かゆうまみたいに、重要なメッセージが入っているかもしれない。
何しろ、愚痴というのは主に上司に向けられるもの。その上司というのはグリューエル――つまりはベリアルなのだから。
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〇月×日 晴れ
今日の食堂、わしの貝のスープ、殻しか入っていなかった。
食堂のおばちゃんに文句を言ったら、「もう食べたんでしょ」と言われた。
わしはまだ50歳だ。ぼける年齢にはまだ早い。
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〇月△日 曇り
息子が学園の受験に落ちた。学園死ね。
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〇月□日 晴れ
最近、女房の帰りが遅い。息子は受験に落ちてからぐれてしまった。
全く、せっかく校長の権限を使って教員に採用してやったというのに。
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〇月〇日 雨
息子が教員用の部屋に不健全な本を大量に持ち込んだ。
しかも教員全員にまで出回っているようだ。
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△月☆日
弱った。息子がワシの脱税に気付いたようだ。
とりあえず、口止め料として、エロ本を買ってやった。
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△月◎日
エロ本について息子と語り合う。エロ本がここまで凄いものだとは気付かなかった。
来年度に向けて、エロ本学科を新設しようと思う。
今日からこの日記は愚痴日記ではなく、エロ本日記と名付けよう。
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□月
もう日付を記すのも面倒になった。天気もいつの間にか書かなくなったし。
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エロ本学科の創設が原因だ。ワシは学園をクビになることになった。
この学園の人間はクズばかりだ。
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「クズはお前だっ!」
俺は愚痴日記を握りつぶしそうになりながらも、最後の一ページを見る。
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理事長が明日の大規模実験の資料を私に返すように言ったが、どこに置いたか忘れた。
もうどうせクビになる学園だ。去る前に理事長室の扉に落書きをして帰ろう。
ついでに、この学園がクズであることを記したこの日記も、ワシの作った素晴らしい論文とともに資料室にしまってもらおう。
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……明日の大規模実験?
もしかして、それが例の実験じゃないだろうか?
そう思った時、クリス、コメットちゃん、タラから同時に通信イヤリングがなった。
『コーマさん、今、「素晴らしい校長の日記」という本を見まして校長室に――』
『コーマ様、「校長の暴露本」という本がありました。その中に――』
『主、「素晴らしきかな校長生活」という本の中に――』
この学園の校長は、どれだけ暇だったんだろ?
一冊の本を作るのって、かなり大変な作業のはずなのに。




