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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode13 迷宮事変

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転移陣の受難

またクリス編です。


 音が聞こえません。

 サイモンさんが何をしているのか、全くわかりませんが、壁を叩いても、横にずらそうとしても、全く動きません。

 迷宮や、リーリウム王国の地下の壁とまるっきり同じです。


 そして、ここでじっとしていても、何もはじまらないことは、私にもわかっています。


 一体、誰がやってきたのかはわかりませんが、サイモンさんなら舌先三寸で相手を言い包められると思います。

 本心で言えばここでサイモンさんを待ちたいのですけれども、私は前に進むことにしました。

 誰かがいる気配はありませんが、サイモンさんが私をこの部屋にやったことに意味があるのだとすれば、この先に脱出する手段があるはずです。ですが、そこは普通の部屋で、何もありません。


(あれ? 私、閉じ込められた?)


 そんな……こんなことなら、コーマさんから、ルシルちゃんが作った持ち運び転移陣を貰えばよかったです。

 転移石は貰っていますけれど、これは転移陣がなければ意味がありません。


 困りました。サイモンさん、もしかして私を閉じ込める場所を間違えたんじゃないでしょうか?  だとしたら、サイモンさん焦り過ぎですよ。

 外から出してもらうまで待たないといけなくなります。


 まぁ、幸い、水や食料は1年分くらいアイテムバッグのなかに入っていますけれど……


「……やっぱり困りますね」


 トイレに行きたくなったどうしようという問題があります。

 防水の皮袋はありますけれど、それを使った場合、使ったものをどこに入れるかと言う問題があります。

 アイテムバッグの中には入れたくありません。食べ物も入っているんですし。

 コーマさんはいつもなんでもアイテムバッグに入れる癖がありますけれども、あの無神経さだけは私も見習い――たくはないですね。


 はぁ……と私は壁に手を当て、ふと壁に何か違和感をかんじました。

 全部光っている壁ですけれど、一部、光の加減が少し違うというか……よく見ないとわからないのですけれど、少し違います。


 私はその壁を触ってみました。

 感触も少し違います。

 それに、少し触ってわかったのですけれど、この壁、動くようです。


 もしかして、いえ、もしかしなくても隠し扉のスイッチでしょう。

 サイモンさんは間違えていなかったようですね。さっきちょっとだけ疑ったことを許してくださいと心の中で謝罪し、私はその壁を押し込みました。すると、ガコンという音が鳴り――


「え?」


 床が空きました。

 途端に私の体が自由落下をはじめました。

 あぁ、そういうパターンですか……と、私も落ち着いたものです。

 まぁ、コーマさんと一緒に旅をして、こういう風に穴に落ちるのも慣れっこですね。最初に落ちたのは、あぁ、そうです。蒼の迷宮で34階層から35階層に落ちたんでした。あの時も私は――


「多段ジャンプ!」


 空気を蹴りあげて、私は落下速度を軽減しながらも、下へと降りていきます。

 こんな深い穴、侵入者を殺すためだけの穴だとは思えません。


 そう思って暫く下りていくと、それが見えました。


 まず、穴の底にあるのは大量の鉄の針。

 そして、壁の一部に横穴があいています。


 私は多段ジャンプで穴の反対側の壁まで跳び、その壁を蹴って穴の中に入りました。

 そして、その横穴の奥に、ようやく私は見つけました。


「あった……転移陣」


 これと転移石さえあればラビスシティーへも、そしてコーマさんの魔王城にも移動できます。

 でも……


「この転移陣はどこに通じているのでしょうか?」


 サイモンさんが誘った先。こういう風に隠された転移陣。

 これがどこに通じているのか――調べないわけにはいきませんね。


 私はそう意を決して、転移陣の中に飛び込みました。

 すると、転移先は――


「また迷宮ですか……」


 そこは迷宮でした。壁が光っています。

 しかし、ここがどこの迷宮なのかはわかりません。

 ラビスシティーの迷宮なのか、それとも前にリーリウム王国にあったような迷宮なのか、それともさっきまでいた遺跡の中なのか。もちろん、私の知らない第四の迷宮の可能性もあります。


 まぁ、これがわかっただけでも十分ですね。調査は一度、ラビスシティーに戻ってからにしましょう。

 そう思い、振り返りました。

 すると、光を放っていた転移陣が急にその光を失い――


「え?」


 私は急いで転移陣に飛び込もうとしましたが――転移陣は光を失って、中にはいっても通れなくなってしまいました。

 ……困りました。本当に困りました。どうしましょ。


「……とりあえず、トイレとして使える場所を探すしかないですね」


 声に出して言って、さらに恥ずかしくなった私は、顔を俯けて前に向かって進みました。

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