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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode13 迷宮事変

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初めてのルシル迷宮探索物語 その1

 その日、ラビスシティーの迷宮に一つの転機が訪れた。

 これまで、ラビスシティーの迷宮は十階層より下には、勇者か冒険者ギルドに認められた人間しか入ることができなかったが、その日から、新たに見つかった迷宮にも入っていいことになったのだ。


 ただし、混雑が予想されるので、入場時間を決めて順番に入ることになった。

 そんな中、僕たちのパーティーはなんと初日に迷宮に入ることが許されることになった。

 ちょうど25歳の誕生日のことだった。


 僕の名前はラキア。新進気鋭の冒険者、ランクはBと、一流の冒険者だ。相方のカリナと一緒に迷宮に潜る日々が続いていた。

 去年は結構いいところまで行ったんだけど謎のドラゴンに襲われ、今年も最終日まで残ったんだけど、よくわからないトマトソースの匂いのする魔物に倒されちゃったけれど、でも実力は本物だと思っている。


「ラキアくん、頑張ったもんね」

「本当に頑張ったよ……いろいろな壁をぶち破った気は自分でもしている。でも、師匠たちにはまだ敵わないかな」


 僕が修行のために住んでいた村は、本当に強い人が多かった。中でもふたりの師匠は本当に強かった。ふたりがかりで戦っても一太刀すら入れられる気がしない。そんな過去を懐かしみながらも、僕たちはその迷宮に向かった。当然、他の迷宮に立ち入ることはできない。


 隠し扉と宝箱に偽装された動く床があるそうだが、今は宝箱の偽装は外されていて、穴がぽっかりと開いている状態だ。当然だが、宝箱の中は空っぽ……と思ったら、ゴミが入っていた。悪い冒険者もいるもんだな。 


「カリナ、僕から先に降りるよ」

「ラキアくん、もしかしてそんなこと言って、私のスカートの中を覗くつもりでしょ」

「そ、そんなことしない……そんなことしないよ」


 しどろもどろになりながらも、僕はしっかりと否定した。覗きだなんて、そんな卑怯なことをするつもりはない。あの師匠なら絶対に覗くだろうけど、僕はそんなことはしない。


「嘘だよ。私、ラキアくんのこと信じてるし」

「それって、男として見てないってことじゃないよね」

「あぁ……どうだろね」


 カリナは小悪魔のように笑って、僕を挑発した。こんなんだと、例の計画がうまくいかないじゃないか。

 そう思いながら、穴から下を覗きこむ。高さは三メートルくらいか。飛び降りられないこともないけれど、安全を第一に考え、僕は梯子を使って降りることにした。もちろん、梯子の安全の確認も忘れない。カリナが使うのだからといつもより念入りに梯子の安全性を確認して降り、草地に降りた。


「うん、カリナ、大丈夫、敵の気配もないし誰も――って、カリナ、何してるのさ!」

「え? 普通に飛び降りただけだよ?」

「危ないよ。安全を第一に考えないと」

「大丈夫だよ。ラキアくんに何かあっても私が守ってあげるから」


 それって女の人に言われたくない言葉第一位だよ。はぁ……。

 と、僕は周囲を見回した。


「見て、ラキアくん。地図があるよ」

「本当だ。随分親切な迷宮だね」


 地図を見る限り、十二階層に続く階段はすぐ近くにあるようだ。十一階層に出現する魔物は数種類のゴブリンだけだと書いている。

 普通に三階層や四階層にも出現する魔物だから、ここで敢えて戦う必要はないと思う。


「見て、ラキアくん。あっちにも何か面白いものがあるよ」

「……何、あれ?」


 そこにあったのは、壁にめり込まれた箱だった。

 白金貨を入れてハンドルを回すとアイテムが出てくるってイラスト付きで書いてある。


「白金貨? そんなお金あったっけ?」

「ないと思うよ。一番高いのは金貨のはず……あっちは聖銀貨って書いてあるよ」


 大昔にあった貨幣だろうか?

 んー、わからない。


「アイテムが出てくるってことは、この壁の向こうにアイテムがあるってことかな? それなら、壁を壊せば――」

「ダメだよ、ラキア君。この壁、迷宮の壁だから壊すことができない」

 

 あぁ、そっか。よく見ると、周りに金属の破片などが落ちている。僕たちより先にきた冒険者の誰かが、僕と同じことを考えて壁を壊そうとしたんだろうな。

 取り出し口らしき穴の中に手を入れても――蓋のようなものがあり手が奥まで入らない。


「よし、じゃあ行こうか……どうする? 十一階層の探索をする?」

「十二階層にいっちゃおうよ。ゴブリン退治はいつでもできるし」

「んー、でもみんな同じことを考えているのなら、十一階層にまだ宝箱とか残ってるかも」


 そう思って、最初の部屋を出た時、足に怪我を負った冒険者がこっちに近付いて来た。


「大丈夫ですか?」

「あぁ……悪い、ちょっとへまをうっちまってな。ポーション持ってないか?」

「ポーションは自分たちの分しか……カリナ、いいかな」

「うん、大丈夫だよ。MPも十分にあるから」


 カリナは冒険者の足に手をかざし、


「ヒール」


 と回復魔法をかけた。


「回復魔法か……助かった。これは礼だが、この階層のゴブリンにはあまり手を出さない方がいいぞ」

「え? ゴブリンですよね? ホブゴブリンでもない、普通の」

「あぁ、そうだ。だが、統率が取れている。罠にはめられた。知能の高いゴブリンほど厄介なものはない。悪いことは言わない。ゴブリンに恨みがないなら執拗にゴブリンを追いかけないほうがいいぞ。ハイリスクローリターンだからな」

 男はそう言うと、「俺にはまだこの迷宮は早かったようだ」と言って、歩き去った。


 統率のとれたゴブリンか。確かに面倒だね。

 僕は冒険者さんにお礼を言うと、素直に十二階層に行くことにした。


 十二階層にも同じような地図がある。

 十二階層に出現する魔物は――ストローゴーレムとウッドゴーレムか。

 冒険者の間で藁人形と言われる、藁製のゴーレムであり、ゴーレム族の中では最弱種と言われる。ウッドゴーレムは木製のゴーレムで、木人と言われる。こちらもゴーレムの中では弱い部類だ。


 ゴーレムは基本的に頭はよくない。だから、統率がどうのこうのとかの心配はないよね。

 そう思った時、


「こんな迷宮もう嫌あぁぁぁぁっ!」


 と魔術師らしい女性が泣きながら逃げていった。

 何が……一体何があったのか?


「ねぇ、ラキアくん。私、嫌な気がするんだけど」

「僕もだよ……でも、さっきの女性からした匂いって……あれな気がするんだけどね」

「私、あれあまり好きじゃないんだけど」


 そう言いながらも、今更後には戻れない。

 僕たちが十二階層の扉を開けると――いきなりそこにストローゴーレムがいた。

 人型のゴーレムだ。


「…………っ! この匂い、やっぱり!」

「来るよ、ラキアくん」


 ストローゴーレムが僕たちに殴り掛かってくる。

 手には石が括りつけられているから、殴られたら痛いでは済まない。


 だから、僕はその凶器を無くすために、咄嗟にその腕を切り落とし――それが失敗だったと気付いた。

 なぜなら、その斬りおとされた腕から現れたのは――


 ものすごい臭い匂いと、粘ついた豆、そしてそこから剣に向かって伸びる白い糸だったから。

 腐敗臭とは少し違うその匂いと、その見た目で、僕たちは同時に叫んでいた。


「「やっぱり納豆だぁぁぁっ!」」

藁人形の中には納豆。テンプレですね。

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