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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode13 迷宮事変

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プロローグ

本日二度目の更新。ここから新章です。

 私の乗る馬車の窓から木漏れ日が流れるように入ってくる。

 森の国、リーリウム王国。その女王のリーリエちゃんに呼び出されたのは、つい先日のことでした。

 コーマさんと繋がっているはずの通信イヤリングが、どういうわけかリーリエちゃんの手元にあって、これはきっと毎日お話することになるのだろうなぁと思ったら、リーリエちゃんからの要件はとても端的なものでした。


『クリスお姉さま……いえ、勇者クリスティーナ様、リーリウム王国にいらしてください。大切なお話があります』


 本来なら大切な用でもない限り行きたくないその場所ですが、リーリエちゃんの様子が気になり、私はリーリウム王国に行くことにしました。

 もちろん、これがリーリエちゃんの罠という可能性もあるのですが。


「どうなさいました? クリスティーナ様、ため息なんてなさって」


 どうやら私のため息は思ったよりも大きかったようで、御者さんが心配そうに尋ねてきました。


「いえ、なんでもありません。お気になさらないでください」


 私は無理に笑ってそう言うと、豪華すぎる馬車にひとり座り、外を眺めました。

 転移石を使ってカリアナの転移陣に飛べばリーリウム王国にはあっという間に辿りつけたのでしょうが、今日は勇者としての仕事のため、正規のルート――コースフィールド経由での移動です。走ったほうが速いのですけれど、リーリウム王国に入って直ぐに私はこの馬車に連れ込まれたのです。

 この手際のよさはイシズさんかもしれませんね。


 窓の外に木が見えなくなったかと思うと、御者席の向こうに門が見えてきました。

 王都への門です。

 本来ならば入門手続きには数分から数十分くらいかかるのですが、この馬車は一切止まることなく、町の中へと入っていきました。

 そして、馬車はそのまま真っ直ぐ進み、王城へ。


 王城の近くに行くと、跳ね橋が下ろされ、馬車のまま王城の城壁の中にまで入りました。

 本来ならばたとえ貴族相手でも通行書の確認があるはずなのですが、その手続きも一切ありません。

 そして、馬車がとまり、扉が開かれます。


 待っていたのは、メイド服姿の近衛隊長、イシズさんでした。


「遠くからご足労いただきまして、ありがとうございます」


 恭しく頭を下げるイシズさんに、私は「いえ、大したことありません」と答えました。


「それでは、クリスティーナ様、剣とアイテムバッグをお預かりします」

「え? ここで預けるんですか?」

「はい、クリスティーナ様だけを特別扱いできない事情がございまして」


 いつもなら、私は普通に帯剣したまま王城の中に入っているのですが……でも考えてみれば、友達とはいえ剣などは確かに持ったまま入るのはよくありませんね。

 私はイシズさんの言う通りに剣とアイテムバッグを預けました。


「それで、リーリ……女王陛下の用とは?」

「そうですね……その前にこちらにお越し下さい」


 私はイシズさんに案内され、王城内を移動します。一階から地下への移動。

 そこは、私も初めて入る場所でした。薄暗く、じめじめしています。

 そして、その一室に案内されました。

 その部屋は、ベッドだけがある部屋で、頑丈そうな部屋でした。奥に扉があり、別の部屋に繋がっているようです。


「クリスティーナ様、こちらの壁をご覧ください」


 どうしてもただの石壁ですが、何か小さな文字が書かれています。


「……この文字ですか?」

「はい」


 私はイシズさんに言われてその文字を見ました。

 ですが、それは文字のように見えただけの、ただの傷です。


 これは一体何なのか?

 そう訊ねようとしたとき、後ろからガチャリと音がしました。

 いつの間にか部屋の外に出ていたイシズさん――そしてその木の扉は施錠されて開きません。


「イシズさん、どういうことですか!? イシズさんっ!」


 ここでようやく、私はこの部屋が牢屋だということに気付きました。

 外からしか施錠できない扉、食事を出し入れすることができる小さな窓、そしてこの地下という空間。

 紛れもない牢屋です


「クリスティーナ様、大変申し訳ありません。全てが終わるまでこの部屋でお待ちください。何か必要なものがございましたら、持ってまいりますから」

「どういうことですか! イシズさんっ! 誰か! 誰かいませんかっ!?」


 叫べども、私の声は誰にも届いていないようです。

 そうだ、リーリエちゃん。リーリエちゃんがこんなことをするわけがありません。

 私は通信イヤリングを使い、リーリエちゃんを呼ぼうとしました。


「リーリエちゃん! リーリエちゃん、聞こえますか?」

『……クリス……お姉さま。私の大事な人』


 通信イヤリングの向こうからリーリエちゃんの声が聞こえてきました。


「リーリエちゃん、聞いてください。私――」

『すみません、お姉さま。全てが終わったら……ごめんなさい』

「ちょっと、リーリエちゃん? リーリエちゃん!?」


 いくら呼びかけてもリーリエちゃんからの返事はありません。通信イヤリングが切れていました。

 再度接続を試みても、やはりリーリエちゃんには繋がりません。


 そんな、一体なにが。


 私が木の扉を叩きつけます。

 すると、扉の板が割れ、金属質の扉が現れました。そして、その扉はいくら叩いても、決して壊れることはありませんでした。

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