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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra03 修学旅行

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カリーヌの成長

今回のコーマは少し変態です。

変態のコーマが嫌いな人は読み飛ばしてください。

いろいろと末期です。読み飛ばしても次回はわかるようになっています。

 予選まで残り30分。

 持ち運び転移陣を使って魔王城に戻った俺は決勝に出場するための品を作ることにした。

 飴細工だとキャンディと被るし、だからといって砂糖菓子では芸がない。


「やっぱり、日本の心は和菓子だろ」


 アイテムバッグから芋餡を取り出す。残念なことに、いくら料理スキルがあれども正しい手順で餡子を作ろうと思ったら、とてもではないが時間が足りない。

 そして、小麦粉で生地を作り、型にはめて焼き、中に餡子を詰める。


「お兄ちゃん、何を作ってるの?」


 そう声をかけてきたのは半透明のスライムの妹、カリーヌだ。一緒に他のスライムもいる。

 魔王軍での純粋な戦闘力なら、タラに次ぐ実力の持ち主だったりするが、精神年齢はまだまだ幼く、きっと甘い匂いに釣られてやってきたのだろう。


「魚を焼いてるんだ」

「お魚?」

「あぁ、俺の国じゃゲン担ぎに食べられる魚なんだよ。まぁ、半分はダジャレみたいなものなんだけど」


 俺はそう言って、焼きあがったそれをカリーヌに投げた。

 本来なら火傷するくらいの熱さのそれも、カリーヌにとっては気にするような温度じゃない。


「わぁ、本当にお魚さんだ」

「凄いだろ。たい焼きって言うんだ」


 そう、俺が作ったのはたい焼きだ。

 芋餡たい焼き。

 日本で、手ごろに食べられる和菓子で、ここまで芸術にこだわったものはこれだろ、ということで。


「お兄ちゃん、食べていいの?」

「あぁ、食べていいぞ」

「じゃあ――いただきま――」

「待てっ!」


 俺はカリーヌを止めた。


「俺はたい焼きは頭から食べる派だ。尻尾のところはあえて生地も薄めにして、餡子も入れずにカリカリに焼き上げている。そうすることによって、餡子タップリ食べた後に、そのカリカリの生地で口直しをしたいからだ。だからといって、尻尾から食べる人間を否定するほど器は小さくないけど、でも、カリーヌ、そこから食べるのはどうかと思うぞ」

「え、でもお魚なんだし――内臓から食べたいよ?」

「……カリーヌの焼き魚の好みが意外とツウだということはわかったし、今度魚を焼くときも、カリーヌの分だけ内臓は取らないでおくようにコメットちゃんに行っておくけど、たい焼きには内臓はないから、頭から食べような」


 俺はそう言って、もう一個のたい焼きを半分に割って、二匹の別のスライムに食べさせた。


「うん、わかった」


 カリーヌが笑顔で頷く。

 カリーヌは俺の言うことをよく聞く。ルシルとは違って優秀な妹だ。

 偉いなとカリーヌを褒めようとしたら――彼女は一口でたい焼きを食べた。もう、どこから食べるとかそんなレベルじゃない。しかも、カリーヌは噛まないんだ。たい焼きを噛まないので、原型がそのまま彼女の体の中に入っていき、服の中に消えていった。いや、ここは噛まないで正解だ。噛んでぐちゃぐちゃになったたい焼きが口の中に見えるのはよくない。


 そうだ、そうだった。カリーヌはスライムだ。うん、食事の時はあえて目をそらしていたけれど。

 でも、十分くらいしたら炭水化物だと完全に消化吸収していつものカリーヌに戻るだろう。


「じゃあ、カリーヌ。俺はまた戻るから、留守番ちゃんとしてるんだぞ。俺とルシルとコメットちゃんがいないんだから、タラの言うことをきっちり聞くんだぞ」

「うん、わかった。いってらっしゃい、お兄ちゃん。あ、そうだ。お兄ちゃんに言いたいことがあったんだ」

「ん? なんだ?」

「胸、また大きくなったよ」

「……あ、そうなんだ。」


 え、俺、どう反応したらいいの?

 ここで何て言ったら正解なんだ?


 へぇ、カリーヌも成長期だからな。よし、ここはお兄ちゃんがどれだけ大きくなったか確かめてやるか。何、やましい気持ちはない。俺はカリーヌにとって親代わりでもあるからな、子供の成長を記録するのは親の務めだ。本当にやましい気持ちはないからな。で、どのくらい大きくなったんだ? 服の上からだとよくわからないから服を脱いでみるか?


 ……なんて言えるわけないだろ。


 ヘタレとかじゃなく、俺はカリーヌのことを実の妹と同じように可愛く思っているんだし、そんなことをするつもりはない。

 女性の胸を揉みたければ――そうだな、コーリーちゃんの胸でも揉むさ。揉むほど大きくないけど。……いや、しないよ。さすがにそれは虚しくなる。


 コメットちゃんや、フリマのみんなも頼めば胸を揉ませてくれるんだろうが、恩を笠に着せて好き勝手するほど俺も落ちぶれていない。


「ねぇ、お兄ちゃん、なんで一心不乱に弟たちを撫でまわしてるの?」

「男にはいろいろあるんだよ」


 スライムをひたすらこねくり回す。

 柔らかいな。手が埋没するこの感覚は、パンをこねるとき以上だ。

 あぁ、気持ちいい。ひんやりする。

 スライムたちも気持ちよさそうにしているみたいだし、全員幸せになれるな、これ。


「……ねぇ、お兄ちゃん、カリーヌも触って欲しいな」

「触ってって……カリーヌ、そういうのはあまり言うもんじゃないぞ」

「だって、私もお兄ちゃんにいい子いい子してもらいたいよ」

「あ……いい子いい子ね」


 俺はカリーヌの頭を撫でることにした。

 柔らかいな。他のスライムよりも柔らかく感じるのは、カリーヌが雄か雌かわからないスライムではなく、明確に女の子だと認識しているからだろうか?


「へへへ。嬉しいな」


 カリーヌがとても嬉しそうに笑うので、先ほどまで、邪な感情を抱いていた自分が情けなくなった。


「あ、そうそう。お兄ちゃん、カリーヌね、頑張れば胸を大きくしたり小さくしたりもできるんだよ」

「へ、へぇ、そうなのか」


 俺はかろうじて笑っていた。

 頼む、カリーヌよ、兄をこれ以上ダークサイドに落とさないでくれ。


「一番大きくしようとしたら、カリーヌの頭くらいの大きさになるの。柔らかさも一緒だから――お兄ちゃん?」

「カリーヌ、俺は一体どうしたらいいんだ」


 何かいろいろと限界だった。


「そういえば、お兄ちゃん」

「なんだ、カリーヌ。兄ちゃん、もうダメかもしれない」

「え? お兄ちゃん間に合わないの?」

「あぁ、間に合わないところまで来てしまった」


 ……カリーヌって、年齢でいえばまだ一歳なのに。一歳の女の子になに欲情してるんだよ、俺。

 もういろいろとダメだ。ルシルになんて謝れば……ルシル?


「ヤバイ、間に合わない!」


 俺は焼き上げたたい焼きを袋に入れ、転移陣を潜って急いで会場に戻り、なんとか予選の受け付けに間に合ったのだった。

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