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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra03 修学旅行

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飴細工体験

 マルジュが言う飴細工の店は、決して一等地とまではいかないけれど、でも人の流れはあり、決して悪い場所ではない。

 ショーウィンドウの中を見ると、様々な飴細工が並べられている。ただし、一色の透明の飴のみであり、その技術は俺の世界のそれに比べると見劣りする。


 まぁ、一色でも綺麗なものは綺麗だけど。

 実際、コメットちゃんはまるで宝石を見るかのような表情で飴細工に見入っていた。


「こーちょー先生、こっちこっち」

「あぁ、うん」


 俺はマルジュに促され、店の中に入った。

 すると、生徒が全員集まっていて飴細工を手に持っていた。

 買ったのだろうな。


 そして、店員の女の子を見る。短髪の少女。年齢は俺たちとそう変わらないように見える。


「あぁ、うちの生徒が失礼したな。話はだいたいマルジュたちに聞いているんだが。俺はこいつらの学校の校長だ」

「あなたが……校長先生ですか?」

「だよな、まぁその反応が普通だよな」


 外見年齢16歳、実年齢17歳。たしかに校長先生には見えないだろう。


「なぁ、表の貼り紙で、銅貨30枚払えば飴細工体験ができるって書いてあったんだけど、とりあえずここにいる15人分頼んでもいいか?」

「は、はい。ありがとうございます……ただ、今は店員は私しかいなくて……」

「あぁ……店を留守にはできないか」

「コーマ様、店主さん、ここは私に任せてください。私が店員の代わりをしていますから。これでももともとはフリーマーケットの従業員でしたから」

「そんな、お客様に働いていただくなんて」

「いいからいいから」


 俺は何か言いたそうにしている店員の女の子を連れて、奥の工房に入った。


   ※※※


 飴細工は砂糖、グラニュー糖を焦がさない程度に煮詰めて飴状にしてから、棒につけて伸ばし、鋏を使って形を整える。

 言うだけなら簡単だが、実際にしてみると難しいんだろうな。


 彼女は一瞬にして兎の形の飴細工を作って見せた。

 それを見て、生徒たちは感動しながらも自分たちも作ってみようとするけれど、できあがるのは怪物のような形の兎だった。


 生徒たちが四苦八苦しているなか、俺は彼女――キャンディから事情を聞くことにした。

 飴細工を作る彼女の名前がキャンディというのも凄い話だなと思いながら。


 彼女の父が病死し、かつてからいた従業員とふたりで働いていたのだが、その従業員が会社の資金を持ち逃げしてしまい、砂糖を買うお金がなくなった。

 そのためお金を借りたのだけれども、新たな従業員も見つからず、彼女の飴細工職人としての腕もまだまだ未熟なため借金を返すだけの売り上げを確保できず、利息が膨らんだのだという。


「こーちょー先生、なんとかならないの?」

「なんとかって、何をしたらいいんだ?」

「こーちょー先生が借金を立て替えてくれたら解決じゃないか」

「一時的な解決にはなるだろうが、それはできないよ。自転車操業が解消されないかぎり、いつか会社はつぶれる……委員長、ちょっと来てくれ。宿に行って事情を説明しないとな。できれば食事をここに運んでもらおう」


 俺はカリエルナを呼ぶと、店の方に向かう。

 コメットちゃんが客の呼び込みから販売までひとりでしていた。

 客入りも、先ほどまでと違って悪くない。


「委員長、販売員できるか?」

「商品の値段なら全部覚えましたけど」

「なら頼むわ。コメットちゃん、これに書いているようにしてくれ」


 俺は客を連れて来たコメットちゃんにメモと小袋を渡す。

 コメットちゃんはメモを黙って読むと、くすりと笑った。


「わかりました、宿の手配に行ってきます」


 コメットちゃんは一礼し、小走りで去った。

 その後、俺とカリエルナは、コメットちゃんが呼び込みをした客たちが去るまで客対応をした。

 そして、カリエルナとふたりきりになる。


「あの、校長先生。なんとかならないんですか?」

「一方的な施しは解決にはならないだろ……カリエルナはどうすればいいと思う?」

「そうですね。返済計画をきっちりと作って、金融業の方に持って行き、借金の返済を待ってもらう……のはダメですね」

「優等生の回答だけど、それだとダメだな。この場合、金貸しはすでにこの店を買う人まで見つけている。借金の返済は金貸しにとってもはやデメリットになっている」

「それなら、他の利息の低いところからお金を借りる……しか」

「まともな金貸しだと、現在のこの店には投資してくれないよ。回収できる見込みが薄い」

「今の状態でお金が借りれないのなら、ならば、お店に付加価値を付ければ。王室御用達とか」

「期日は明日までだぞ。できると思うか?」

「……無理ですね」


 カリエルナは少し逡巡した後、首を横に振った。

 彼女は優秀だ。しっかりと考え、答えを導き出す頭がある。だが、力がない。

 彼女が大陸一番の学校の長という力を得たとき、どんな人間になるのか、今からとても楽しみだ。


「せめて、明日、そういう料理のコンクールなどがあって、そこで優秀な成績を収めることができればいいんですけど、そういうコンクールは前もって書類審査や予選が行われますし、一日で全て終わるようなコンクールなんて……」

「コーマ様、戻りました」


 コメットちゃんが笑顔で戻ってきた。


「お帰り、コメットちゃん。何か嬉しそうだね」

「それが、町で凄い噂を聞いたんです。明日、料理芸術コンテストという大会が行われるそうなんです。しかも、賞金が金貨10枚も出るそうなんですよ」

「「え?」」


 俺とカリエルナは同時に声をあげた。


「今まで、この町では食べ物の美味しさ(や不味さ)を競うコンテストはあったそうなんですけれど、芸術性を競うのははじめての試みだそうで、注目が集まると思います」

「つまり、それに参加して優勝したら――」

「借金が一度に返済できるだけでなく、今後の売り上げ増にもつながるってことか」


 俺はわざとらしく驚き、そう言ったのだった。


 まぁ、もちろん資金提供は俺が行って、交渉はコメットちゃんが行ってのコンテストなんだけどさ。

 ただし、俺ができるのはコンテストの開催まで。

 その審査内容には一切口を出さないからな。

ようやく次章のプロットが出来上がった。


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お魚から人外転生の出世魚物語 ブラックバスからいつかブラックドラゴンへ!

現在、ペースアップ連載中です。

コーマと一緒にこの世界にやってきたブラックバスが実は人外転生した日本人だったら?

という物語で、現在、メイベルやクリス、こっそりコーマも登場しています。

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