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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra03 修学旅行

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男の会話

「あぁ、ここがユグドラシルの塔だ。元々はただの見張りの塔だったが、ユグドラシルが現れてから観光客がひっきりなしに訪れる名所になった。森に入ると魔物が現れて危険だし、近付けたところで、ユグドラシルの周囲百メートルは高い壁に囲まれて厳重な警備下にあるから見ることもできないからな。遠くから眺めるのが一番ってことでみんなここで聖なる樹、ユグドラシルを見ていく」

 酒場のマスターの説明を聞いているのか聞いていないのかはわからない。

 誰もがあの巨大な大木を眺めていた。

「よう、立派にガイド役できているじゃないか」

「ん、まぁたまにやってるからな。酒場で知り合った姉ちゃんとかつれて」

 下品な笑いを浮かべるマスター。なるほど、適任者だったわけか。

「にしても、学生服っていうのか? なんだ、妙に色っぽいな」

「黙れ、年齢を考えろ。うちの学校の生徒に手を出したらただじゃおかないぞ。具体的に言うと、今の発言を全部お前のおくさんに言う」

「な、やめろ。絶対に言うんじゃないぞ。うちのかみさんは魔王より怖いんだからな」

 魔王より怖い……か。

「そりゃ助かる。それだけ怖ければうちの生徒は安全ってことか」

 生徒の一団に目を移す。コメットちゃんも見事に馴染んでいた。とても楽しそうだ。

 このクラスにはいないが、うちの学校には獣人の生徒も何人かいるからな、受け入れられるのが早かったのだろう。

「コーチョー先生、どこ行ってたんだよ」

「ん、あぁ、宿の確認にな。お前はもうちょっと前を見てろ」

「飽きた」

 飽きたって。

 まぁ、飽きるわな。

「あぁ、みんな。宿の確認が取れた。ちょっと手違いがあって森の憩い亭には行けないが、それよりもいい宿だから安心しろ」

 俺はそう言ってマルジュの体をユグドラシルの方に向けた。


   ※※※


 三十分後。酒場で荷物を持ち、俺たち十五人はそこに向かった。


「……あの、校長先生、私たちは宿に向かうんですよね」

「そうだぞ」

「決して、その見学とかではないですよね」

「ここが今日の宿だ」


 当然だろ? と言った顔で俺は言ったが、マルジュ以外全員が動揺しているようだ。

 マルジュは、


「すげぇ、本当にここに泊まれるのか。こりゃみんなに自慢できるな」


 と、どこまでも度量が大きいことを言った。お前はもう少し緊張しろよな。まぁ、大聖堂に行く時もこんな感じだったしな。

 城門の前で二人の衛兵が敬礼をし、


「スウィートポテト学園中等部御一行様ですね、話は伺っています。どうぞお通りください」


 俺たちは衛兵に迎え入れられ、王城の中に入った。

 そこにいたのは、イシズさんを含めた近衛隊――いや、むしろメイド隊の皆様だった。


「長旅お疲れ様でした。お部屋の用意ができておりますので、そちらにご案内します。その後は、希望者に応じて王城の案内を致します」

『あ、ありがとうございます』


 俺とマルジュを除く、コメットちゃんを含めた全員がそう言って頭を下げてしまった。


 俺の部屋はマルジュと同室になった。

「マルジュは城の中を案内してもらうのか?」

「んー、自由に動けるならそれもいいんだけど、案内なら遠慮しよっかな。それより、コーチョー先生、コメットって子とどういう関係なの?」

「どういう関係か。一応は上司と部下、みたいになるのかな。学校関係とは違う別の仕事の」

「でも、コメットはコーチョー先生のこと好きみたいだよ」

「……知ってるよ。話は変わるが、カリエルナのことどうするんだ? 大陸で一番の学校の校長になっちまえばデートする時間も無くなるだろうし、いろいろと困るだろ。どうする? お前が嫌なら次期校長について考えてやらなくもないが」

 仕返しとばかりに、俺はカリエルナの今後について、彼女の知らないところで話し始めた。

「別にいいよ。いいんちょのことはいいんちょが決めるし、時間がなくてもデートができなくても恋人をやめる理由にはならないんじゃないの?」

「うっ、正論攻めはやめろ。俺の嫌な部分が露呈する」

 マルジュのまばゆい光に目が眩みそうになる。

 くそっ、これだから彼女持ちは嫌いだ。心に余裕があるんだろうな。

 心の神薬みたいな薬はないのか?


 なんだろう、マルジュが大人に見えてくる。


「こーちょー先生、このベッド硬いよね」


 マルジュがベッドのマットレスを押して言った。

 確かに少し硬いが、品質は悪くはない。


「一応国の最高級のベッドなんだから文句言うな。俺が用意したベッドが良すぎるんだよ」

「わかってるよ。俺ももともと孤児だったからさ、基本どこでも寝られるけど、でも寮のベッドは凄いよね……前から聞きたかったんだけど、コーチョー先生って何者なの?」

「俺は俺だよ。何者でもないさ。コーマという名前のただの人間だよ」

「ただのヘタレな人間か」

「ヘタレじゃねぇよ!」

「コメットに気持ちは――」

「うっ……」


 マルジュに良いように言いくるめられながらも、俺たちは豪華な食事をはさみ、まるで古くからの友達かのように話を続けた。


「委員長って胸小さいよな」

「コメットだって小さいと思うよ」


 ふたりに聞いたら怒られるような会話もあったが。

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