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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra03 修学旅行

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寂しいって感情

 俺は昨日六時間、今日六時間の授業を受ける羽目になった。

 もう、なんだろうな。学校の授業って一年受けてなかったけれど、苦痛だ。自分でいろいろと学んでいくのは楽しいんだけど、詰め込み学習的なものは俺にはやっぱり合わない。でも、シグレの学外実習は面白かったな。

 鑑定ではレア度0のせいで調べることができなかった、俺の中での雑草がまさか粉末にすれば解熱剤の素材になるとは思いもしなかったな。

 錬金術の授業も面白かった。ただし、錬金術の講師が「なんで校長はポーションの素材からエースポーションを作ってるんですか?」と言っていた。言われた通りに作ったらそうなるんだから仕方ないだろう。

 その代わり、数学の授業は前回の授業も聞いていないせいでまったくわからなかった。


「……あぁ、半分以上授業についていけなかった……マルジュ、よくあんな暗号みたいな計算解けるな。やっぱりパズルみたいに解くのか?」

「パズルとはちょっと違うよ。数学の基礎は総当たりだよ」

「総当たり?」

「例えば、証明法といっても、演繹法とか背理法、帰納法みたいにいろいろあるでしょ?」

「…………(さっぱりわからん)」

「実際のところ、問題を見て帰納法で解けるかなって思う問題でも、帰納法ではできずに背理法を使わないと解けない問題ってあるんだよね。最初に何を使うか、どの方法が一番有効なのかは経験則が必要なんだけどね」

「んー、つまり、症状がよくわからないが動けない患者に、医者がポーションを使って、ダメなら解毒ポーション、解呪ポーションと順番に使っていく感じか?」

「そうそう、そんな感じ。さすがコーチョー先生、よくわかってるじゃん」

「そんな人が医者をするべきじゃないと思いますけどね」


 カリエルナはツッコミを入れる。おぉ、さすがは将来の校長。見事なキレだ。

 まぁ、サクヤというツッコミがいる以上、本当に必要なのはボケ成分なんだけどな。


「いよいよ明日から修学旅行か。楽しみだなぁ。俺、東大陸の行くのはじめてだよ」

「悪いな、本当なら船で行かしてやりたかったんだけど、それだと往復二カ月コースになりそうだからよ」

「船はいいや。空を飛ぶ船に乗ったことがあるし」


 修学旅行はクラスごとに行き先も日程も異なる。

 俺たち中等クラスの行き先はコースフィールドになった。


 コースフィールドはラビスシティーの南部に広がる草原を国土にしている土地だからな。

 草原が広がるアークラーンと近い環境ということもあり、この国で活かせることを学べるのではないか? 

 という意見は建前で、とりあえずできるだけ遠くに行ってうまい物を食べたいそうだ。

 確かに、俺もカンボジアのアンコール・ワットとエジプトのピラミッド、どちらを見に行くか? と聞かれたら、エジプトを選びたくなる。

 アンコール・ワットとピラミッドのどちらが優れた建造物かという問題ではなく、エジプトのほうが遠いからだ。


 そんな理由でコースフィールドに決まったわけだ。


「じゃあ、明日の朝六時集合な。俺は家に帰って寝るから」


 俺は手を振って、家へと帰っていった。


   ※※※


「ハンカチは2枚入れておきますね。あと麻袋も何かあったら便利ですから」


 コメットちゃんがハンカチやポケットティッシュ、常備薬、着替えなどを俺の鞄に詰めていく。


「いや、コメットちゃん。遠足前の母さんみたいなことをしてくれるのは嬉しいけど、鞄は見た目だけで、アイテムバッグ持って行くから何もいらないよ」

「あ、そうでしたね。すみません、修学旅行のしおりを見ていたらつい……」


 コメットちゃんの犬耳がしゅんと倒れた。


「コーマ、おやつは300円までよ。だから、300円をオーバーするおやつはアイテムバッグから出して置いていきなさい」

「やだよ。300円って遠足の話だろ?」

「そうだったわね。でも、このしおりに、おやつは銅貨10枚まで、お小遣いは銀貨2枚までって書いているわよ」


 ……なんでルシルもコメットちゃんも俺のしおりをそこまで熟読してるんだよ。

 特に、コメットちゃんなんて一昨日、俺が見本のしおりを見せた時からずっと――


 って、もしかして、コメットちゃんも行きたいのか?


 そういえば、コメットちゃん、人間の方は俺より少し年下くらいの年齢だったし、はやくから奴隷になって、


「……コメットちゃんも一緒に行く? 俺が頼めば多分一緒に行けるけど」

「コーマ様、なんでそんなことを……」

「それはもちろん、コメットちゃんのことを大事に思ってるから」

「私、全然準備をしていません!」


 ……そう言うと、コメットちゃんは急いで自分の部屋に行き旅行の準備をはじめにいった。


「あぁ、コメットちゃん! 旅行の服は全部学生服と学校指定ジャージだから、下着だけで……ってもういないか」


「コメットも随分強くなったわね。いろんな意味で」

「あぁ、いろんな意味でな」


 俺が誘った時点で遠慮なんてしなくなったな。もちろん、俺のことを尊敬していることは変わっていないというよりも、月日を重ねるごとに強くなっているし、コメットちゃんには遠慮せずに自分の意見を言ってほしい。その方が俺もうれしいんだけどさ。


 うれしいんだけど、なんだろ……この胸に空いた穴のようなものは。

 これが寂しいって感情なのかな。

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