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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

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エピローグ

 フリーマーケットの寮の一階で、明日の料理を


「お兄さん、今までありがとうございました」


 桐の箱を持って、フーカが頭を下げた。

 箱の中にはフーカの姉の骨が入っている。他にも、スカルコレクターの屋敷の地下で見つけた鬼族らしき人の骨を全て入れたアイテムバッグをフーカに持たせている。


「もう帰るのか?」

「はい、お爺ちゃんが心配しますから。でも、みんなの供養が終わったらまた来ますね」

「爺さんがいるのか? そりゃ心配させたらダメだな。ほら、これ土産だ。道中食べろ」


 俺はパンやクッキー等の詰め合わせを、フーカのアイテムバッグの中に入れるように言う。


「何から何までありがとうございます」

「まぁ、候補とはいえお前は俺の従者だったからな。従者の面倒を見るのは主の務めだろ?」

「……お兄さんに出会えてとてもよかったです。その時までにお兄さんが勇者になっていたら、僕を一番に従者にしてくださいね」


 もう一度笑顔で頭を下げるフーカを見る。


「勇者になれるのは最短でも来年だけどな。それまで会わないつもりか?」

「あ……そうなりますね。じゃあ今のは無しでお願いします」

「うん、いつでも来い。あぁ、メイベルには……」


 今はメイベルは店だからな。

 俺から伝えておこうか、と思ったが、やっぱりこういうのは直接別れを告げた方がいいか。


「あ、いえ、メイベルさん達には昨日の内に挨拶を済ませています。お兄さんだけが顔を真っ青にして意識を失っていたので。勇者になれなかったのがそんなにショックだったんですか?」

「あぁ、あれはもう勇者とかそういう次元を通り越して恐怖が具現化しているとしか思えない惨状だったよ」


 俺は遠い目を浮かべ、何も思い出さないようにした。

 とりあえず、豚様の顏は当分見れないな。

 ウィンドポーンの養豚王ニコライのことを心から尊敬する。豚様のお世話を毎日しているなんて。


「じゃあ、気をつけて帰れよ。知らないおじさんについていくんじゃないぞ」

「もう、僕は子供じゃないんですから」

「おやつは300円までだぞ」

「300エン?」

「こっちのことだ。ほら、これも持っていけ」


 俺はアイテムバッグからバナナを取り出してフーカの鞄に入れた。バナナはおやつに入りません、だ。

 そして、フーカは何度も俺にお礼を言って立ち去った。


 まぁ、フーカの足なら二カ月もあれば大陸のどこにあっても往復できるだろう。この一週間、毎日、力の神薬を飲ませたからな。

 彼女は気付いていないだろうが、実は俺に出会う前の倍くらいの力になっているしな。


 笑顔で立ち去るフーカと入れ違いに、鬱陶しい笑顔で入ってくるひとつの影が。


「えへへ、聞きましたよ、コーマさん。勇者試験落ちたんですよね」

「お前はやけに嬉しそうだな、クリスよ」


 クリスの奴、俺が試験に落ちたと聞いてからずっとこの調子らしい。


「これで、コーマさんは私の従者を辞めれませんね。私がいなければコーマさんは勇者じゃないんですから」

「……優位性があるみたいに言ってるな。タラが勇者になったから、俺は別にタラの従者として迷宮に入ってもいいんだぞ?」

「タ、タラくんの従者ですか……でもいいんですか? それっておかしいと思いませんか? タラくんはコーマさんの配下なのにその従者になるって」


 少し焦ったようにクリスが言った。

 俺は別に従者とか勇者とかそういう関係性は気にしていないし、タラも配下として命令していることもあるが、家族として接しているから気にしないんだけどな。


「クリス、もしかして俺にずっと従者でいてほしいのか?」

「……え?」

「ほら、今まで俺がお前の借金を理由に従者を続けてきたけど、もしかして、お前、俺に従者を続けて欲しいのか?」

「な、何でそうなるんですか!? そりゃ、他の従者さんを雇おうと思ったらお金はかかりますし、新しい従者さんがコーマさんみたいに料理が万能ともお金を貸してくれるとも限らないけど、だからといってコーマさんに従者を続けて欲しいなんて思ってませんよっ!」


 クリスが慌てて言う。

 そうかそうか、クリスは俺に従者でいてほしくないのか。


「よし、わかった。じゃあ俺、従者辞めるわ。今日からクリスは赤の他人ってことでひとつ」

「え?」


 クリスはそう言って固まった。

 だが――彼女が固まるのはこれからだ。


「あぁ、すみません、失礼します。おや、コーマさん、お久しぶりですね」


 そう言って入ってきたのは二人組の男だった。

 その顔には見覚えはある。


「教会で会った時以来だな」


 この二人組、実は以前、コメットちゃんがいた孤児院の修道女シスターにお金を貸していた借金取りで、俺とは面識があったりするんだが、今朝、このあたりを歩いているところを見るまですっかり忘れていた。そして、彼らを見て俺は、二人がここにいる理由に対して気付いていた。


「ところで、クリスティーナさん。貸していた金貨10枚、利息を含めて金貨11枚、返済期日は昨日までだったのですが、返済の目途はできていますか?」

「……あ」


 クリスはそう言って、今度こそ固まった。

 そして、暫くし、首だけを回して、真っ青な顔で俺に言った。


「……コーマさん、お金……」

「貸さないぞ。俺は従者でもなんでもないからな」

「おやおや、返済できないと? 困りましたね。それでは契約に従って、その剣を頂きますね」

「ま、待ってください、剣だけは……剣だけは――コーマさぁぁぁぁぁんっ!」


 その後、クリスが泣いて土下座し、俺に従者を続けて欲しいと懇願した。

 そして、クリスの借金はさらに金貨11枚増えたのだった。

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