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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode03 海上都市

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水着だらけの海水浴

~前回のあらすじ~

クリスが海賊退治の依頼を受けた。

 さて、何事もなくルシル、コメットちゃん、タラを呼ぶことに成功した。

 ルシルが怒っているが、コメットちゃんは顔を赤らめているが、俺の左頬が赤く腫れ上がっているが、何事もなかった。


「これが海の香りですか……不思議な感じですね」


 コメットちゃんが鼻をピクつかせて言う。

 コボルトとしての嗅覚が残っているのだろうな、ルシルはまだ感じていないらしい。


「迷宮の中だから風が吹かないのが残念だけどな」


 そう言って休憩室の扉を開けた。

 ルシルを先頭に、コメットちゃん、タラが外に出てきた。

 そして――


「……うわぁぁぁぁぁぁ」


 広がる海を見て、ルシルが感動に打ち震えていた。

 コメットちゃんも同じようだが、タラだけはきょとんとした顔で海を見つめていた。

 タラには感動の心はないのか。


「凄い、コーマ、水浸しよ!」

「床上浸水して掃除が大変だと思う主婦のような感想を言うな!」

「あたりがビショビショよ」

「もっと表現がおかしくなった。通り雨に振られて濡れ鼠になったような感想だな」

「コメットちゃんとタラはは濡れ鼠じゃなくて濡れ犬ね」


 確かに……人化していなかったら、全身を震わせて水を飛ばす二人の姿が容易に想像できる。 


「ところで、泳ぐか? 一応水着は作ったが」

「水着?」

「あぁ、泳ぎに適した服だ」


 そう言って、俺は三人分の水着を取り出す。


「えっ、コーマ様、それ、まるで下着みたいですが」

「俺の世界じゃ普通の水着だぞ?」


 普通のビキニタイプの水着だ。

 流石にTバックタイプだったり、ヒモパンだったりはコメットちゃんには履かせられない。

 頼んだら彼女なら絶対に履いてくれる。でも、そんなの無理やり履かせるようなら、俺は魔王じゃなくて小悪党に成り下がる。

 うん、頼むときはもっと彼女がノーと言える日本人になってからだ。日本人じゃないけど。


「私のはこれ? いいわね、黒くていいデザイン。コメットちゃんより露出も少ないし」


 コメットちゃんの水着を見て、ルシルは安心して従業員室に入っていく。

 コメットちゃんもルシルの後についていき、扉が閉められた。

 鍵がかかる音が聞こえる。


 あ、タラの水着は普通にブリーフタイプの水着な。

 俺はトランクスタイプ。

 ちなみに、全ての水着は【ランク★】の通常アイテム。

 あぶない水着とか魔法のビキニみたいに、戦闘に使える水着はまだ作っていない。

 でも、作ってみたいとは思うよな。ビキニアーマーとか。

 クリスにはよく似合いそうだ。


「じゃあ、俺達はここで着替えるか」


 俺が言うと、タラは頷き、毛皮のズボンに手をかけた。


……タラって、今の姿は美少女のような美少年なんだよな。


 いつも上半身裸なので女の子と間違うことはまずないのだが。

 それでもこうしてズボンを下ろすと、タラが男だと再認識――



 うん、暫くタラのことはタラ兄さんと呼ばないといけない気がしてきた。

 一体、そんな大剣、どこに隠し持っていたんだよ。

 タラとしてでかいのか、ゴーリキとしてでかいのか、それとも二人ともでかかったのか。

 くそっ、大きければいいってもんじゃないぞ。


 着替え終わってもルシルたちが出てくる様子はないので、俺は浮き輪を膨らませることにした。

 タラに泳げるか? と聞いたら、湖を3日かけて泳いで横断したことがあるということなので、問題ないだろう。

 それはタラとしてか? ゴーリキとしてか? と聞きたかったが、まぁ、後者だろうな。

 あの人、人間の規格を完全に無視してるから。


 ルシルはイメージ的に泳ぐのが苦手そうだ。

 コメットちゃんはわからないなぁ。犬かきとかは得意そうだけど。


 浮き輪を膨らまし終えたころ、封じられた天岩戸が開いた。

 最初に出てきたのはコメットちゃんだった。


 うぉ、タラがどこかになにを隠していたように、コメットちゃんも着やせするタイプだったのかな。

 出るところがそこそこ出ている。普通にCカップはあるんじゃないだろうか?

 くそ、鑑定眼がアイテム限定なのが辛いぜ。


「あ……あの、似合ってますか」

「コメットちゃん! 一周ぐるっとその場でゆっくり回ってくれないか?」

「え? あ、はい」


 そういい、コメットちゃんはゆっくりと回っていく。


「ストップゥゥゥっ!」


 俺はそこで止めた。

 うわ、尻尾の付け根あたりが膨らんで、尻尾が水着から出ている。

 うわ、なんだ、俺、尻尾属性なんてあったのか!?


 やべぇ、すごくもふもふしたい、あの尻尾。


「あ、あの、コーマ様、やっぱり尻尾の部分、穴開けたほうがよかったですか? コーマ様からいただいたものに穴を空けることができなくて」

「いや、グッジョブだ、コメットちゃん!」


 俺が涙を流して親指を立てる。

 異世界に召喚されてよかった。

 ありがとう、ルシル、召喚してくれて。


「コーマ、なんで泣いてるのよ」

「おう、ルシルも着替え終わったか。いやぁ、ルシルも想像通りよく似合って……ぶふっ……いや、よく似合ってるぞ、るしる……ぶはっ」


 やば、思ったよりツボに入った。

 だって、ルシルの水着……スクール水着だしな。

 しかも、名札付。

【3-2 るしるちゃん】

 と白い布に油性マジックで書かれている。

 やばい、想像以上に似合っている。


「どうしたの? もしかして私の水着姿に興奮してる?」


 ルシルはニヤニヤと笑って俺を見てきた。

 あぁ、ある意味お前のその姿で興奮してるんだがな。

 言わないよ、せっかく気に入ってくれたんだし。


「じゃ、海に入るか。とはいえ、砂浜はないから、水に入るといきなり底のない状態になる。コメットちゃん、泳ぎの経験は?」

「ありません」

「ルシルは?」

「ないわ」


 ない胸を張って自信満々に言った。

 浮き輪を用意して正解だな。


「じゃあ、浮き輪を渡すから、それを付けて離さないようにな」


 こうして、俺たちはそれから、海で泳いだ。

 楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

 そして……


「おおい、コーマ!」

「あ、メアリさん! いい物件ありがとうございます」


 俺は海の中から手を振ってこたえる。


「気にすんな! そいつらがあんたの仲間か?」


 問われたので、俺は三人を紹介、コメットちゃんに関しては「グー」の名前で紹介した。

 今後、クリスと会った時にコメットちゃんがいた、とか話されたら困るからな。


「村を案内したいんだ。ついてきてくれないか」

「わかった。じゃあ、タラ、二人をよろしく頼む」


 そう言い、俺はタオルで身体を拭くと家の裏手で着替えて、メアリと一緒に村へと向かった。

 メアリを見るコメットちゃんの目が少し厳しそうだったのは……気のせいだと思いたい。

本日最後の更新です。


明日からは通常の予約投稿更新に戻ります。

ブックマーク数5000人、評価200人、それぞれ突破しました。

ありがとうございます。

本日から読み始めた皆さまも、初投稿から読み始めた皆さまも、

異世界でアイテムコレクターをこれからもよろしくお願いします。


あと、今回の海水浴の裏話は、いつか閑話で書こうと思います。

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