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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

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フーカの拳

 転移陣を潜ったとき、俺が見たのはなぎ倒される木々と、巨人族ジャイアントの姿だった。

 巨人族ジャイアントの弱点はその大きさによる的の大きさ。


 ならば――


「雷よっ!」


 轟雷の杖を振るった。極大の雷が巨人族ジャイアントの姿のスカルコレクターに降り注ぐ。

 これでどうだ!

 と思ったが、スカルコレクターが手を伸ばした。

 雷がスカルコレクターの手のなかに吸い込まれていくように入り、腕が弾けた。

 が――すぐにその手は再生する。


 スライムの倒し方は核を潰せばいいだけだが、逆に核を潰せないときついな。

 十中八九、核は巨人族の頭蓋骨の中だろう。


「タラならどう戦う?」

「樹を登り、頭に飛び移り、砕くのがよいでしょう」

「あぁ……でも周りの樹が根こそぎ薙ぎ払われてる……とすれば?」

「ならば、空を飛びます」


 空を飛ぶ、つまりは一回のジャンプで相手の頭まで行く。

 俺やタラの脚力ならそれも可能だが、ただし、欠点もある。

 俺もタラも、空中で動きを取ることができない。クリスなら多段ジャンプのスキルがあるのだが、こんな時に限ってあいつはこの戦いに不参加だ。

 このままスカルコレクターが西へと進めばラビスシティーにいる人も気付き、クリスも出張ってくるんだろうが、そこまで行けば時間オーバーだ。

 でもまぁ、一応通信イヤリングでクリスを呼んでおくか。


 ラビスシティーの人間がいる前で、俺は本気で戦えない。

 いや、それを言うなら、10メートルはある巨体だ。

 もしかしたら、双眼鏡などですでにラビスシティーから監視されているかもしれない。


 頭の上に飛び乗れば、俺が戦っているところを見られるかもしれない。

 それなら、竜化して戦うか。それなら見られても問題はない。


 そう思ったときだった。


「お兄さん、僕に何かできることはありませんか!」


 フーカが俺たちの後を追って現れた。


「フーカ、待ってろって言っただろ……」


 と言って、俺はフーカを見て考えた。

 フーカがここにいたら竜化することもできない。追い返そうと思ったが、ふとあることを閃いた。

 

「飛ぶよりも飛ばす方がいいか」

「……え?」

「確か、落下傘――は作ったことなかったか」


 アイテムバッグから布と紐、リュックサックを取り出し、


「アイテムクリエイト」


 と唱えた。


……………………………………………………

安全落下装置【雑貨】 レア:★★


空から落下するときに使う道具。

紐を引っ張るとパラシュートが開き、ゆっくり落下することができる

……………………………………………………


「え? お兄さん、今の魔法……?」

「気にするな。よし、サイズはあってるな」


 俺はフーカにリュックを背負わせ、紐を握らせた。


「いいか? 落下が始まったらこの紐を引っ張るんだ。絶対に忘れるなよ。気も失うな。気絶したら死ぬからな」

「え?」

「お前が手伝いたいって言ったんだ。姉ちゃんの仇討ちをお前にさせてやるって言ってるんだよ」


 そして、俺は人として最悪の答えを出す。


「お前を空へと飛ばしてスカルコレクターを倒す」

「え?」

「普通に投げたら回転がかかるからなぁ。板に乗せたほうがいいだろうな」


 俺はアイテムバッグから板を取り出して、その上にフーカをうつ伏せに寝かせた。

 そして、聖銀の篭手のはめられた腕を前に出させる。


「左手は紐に――届くな。いいか? 落下がはじまったら絶対にこの紐を引っ張るんだぞ。逆にそれまでは引っ張るなよ」

「あの……お兄さん? いったい何を」

「軽く結び付けておくが、この紐を引っ張ったら解けるようにしているからな」


 フーカを板に結び付けて固定する。

 そして、


「タラ、手伝ってくれ」


 俺はタラとともに板を持ち上げた。

 そこで、フーカは俺たちが何をしようとしているのか、ようやくわかったようだ。


「あの、これ、僕じゃなくても、そのタラさんでも――」

「いや、俺もタラも下からいろいろとフォローをしなくてはいけないからな。安心しろ、俺の作った聖銀の篭手があれば余裕だからな。それと、頭蓋骨を貫いたら、これを置いて来てくれ」


 そして、俺はフーカにそれを託し、タラとともに彼女が乗った板を飛ばした。

 スカルコレクターを狙って。


 悲鳴を上げないフーカは大したものだと思う。

 それでも、当然スカルコレクターはフーカに気付く。

 それを叩き落とそうとしたが、


「雷よ!」


 俺の雷が、スカルコレクターの手を砕いた。


「お兄さん、このままだと」

「わかってる! タラっ!」


 タラもまた同時に動いていた。


「幻夢剣!」


 タラが叫ぶと同時に、タラが持っていた剣と同じ、だが大きさだけは数十倍もある剣が現れ、スカルコレクターの足を切り裂いた。

 あいつ、いつの間にそんな技を覚えたんだ。


 そして、それによりスカルコレクターの頭の位置が修正され――


 フーカの拳がスカルコレクターの頭蓋骨を貫いた。 

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