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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

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コレクターの魂を汚した者の末路

 スライムの魔王。そう呼ばれたのはいつの日のことか。

 俺の魔王軍は、ミノタウロス、ゴブリン、ゴーレム、魚系の魔物、スライムと多種多様いるが、ミノタウロスとゴブリンはルシルが召喚した魔物であり、魚系の魔物はマユの配下、ゴーレムはマネットの配下であり、実際、俺の迷宮で瘴気があつまり形となる魔物はスライムしかいない。

 そして、最初のスライムのうちの一匹が、今のカリーヌとなった。


 だが、あいつらと一緒にいつもいるからこそわかる。

 スカルコレクターは、スライムだ。


「私がスライム? はは、はははは。あんな雑魚と一緒にしてもらったら困るわ。私はスカルコレクター。最強の魔王よ」

「スライムが雑魚だって? 言っておくが、俺はスライムを雑魚だなんて思わないぞ」


 そりゃ、最初はスライムなんてRPGで真っ先にやられる雑魚敵だと思ったが、今は当然そんなこと思わない。

 思うはずがない。


「ルシル、俺とスカルコレクターを転移できるか?」

「わかったわ。あそこに転移するのね」


 ルシルの姿が成長したと思ったその時、俺とスカルコレクター以外の全てが変わった。

 いや、変わったのは俺たちの周りではなく、俺たちの場所だけだ。

 そして、俺たちは迷宮の中にいた。


「……強制転移? まさか、そんな魔法が」

「おぉ、焦ってるねぇ、スカルコレクター。俺の知り合いの最強の魔王さんは、強制転移されてもその次元の壁をぶち破って戻ってきたもんだぜ?」

「次元の壁を――そんなことが」

「可能なんだよ。そんなこともできないのに最強の魔王を名乗ろうなんて片腹痛いな」


 そして、俺は通信イヤリングを使い、ルシルに合図を送る。

 その瞬間、俺の中の破壊衝動が膨れ上がり、俺の姿も一変した。

 体中から赤い鱗が、背中から翼が生えた。

 そして、次の瞬間、俺はスカルコレクターの腹を殴っていた。ぐにょりとした感触――普通なら衝撃に強いはずのスライムの体。だが、俺の拳により、次の瞬間、スカルコレクターは数十メートル先にある迷宮の壁に叩きつけられていた。

 そして、その音を聞いて、彼女たちが現れた。


「あ、コーマお兄ちゃん、何してるの?」


 カリーヌがスライムニ十匹を連れて現れたのだ。


「よぉ、カリーヌ。遠足中に邪魔して悪いな」

「うん、みんなで遊んでたの」

「そうか、カリーヌはいい子だな。ところで、あそこにいる女の姿をしたスライムがいるんだけどさ、俺の敵なんだよな」

「コーマお兄ちゃんの?」

「あぁ、誰かあいつと戦ってくれないかと思ってな」

「うん、わかった。カリーヌが戦ってもいいの?」

「うーん、カリーヌでもいいんだけど、できれば他の子がいいかな。あいつを精神的に追い詰めるには」

「わかった。じゃあ、マルメシくんとオニギリくん行って!」


 カリーヌの号令で二匹のスライムがスカルコレクターに襲い掛かる。


「なんのつもりですか、私相手にスライムなんて……時間稼ぎのつも――」


 壁にもたれかかりながらも、スカルコレクターがそう言った。が、それ以上の言葉が出ない。

 恐らく、彼女は見えなかったのだろう。スライムたちの動きを。


「あぁ、言い忘れたが、うちのスライムたちは一匹一匹が一騎当千万夫不当の強者。そこらのドラゴンなんかより強いし、二対一ならお前が後ろから刺して勝った気になってるタラともいい勝負をするんだぞ」


 果たして、俺の言葉はスカルコレクターの耳に届いただろうか?

 届いたとしても、きっと意味をなさないだろう。


 スライム二匹にいいようにやられているスカルコレクターを見て、俺はアイテムバッグからそれを出した。


「カリーヌ、この戦いが終わったらみんなでこれを食べていいぞ」

「ありがとう、お兄ちゃん。でも、いいの?」

「あぁ、バナナはおやつに入らないからな」


 そう言って、俺はカリーヌにバナナを一房渡したとき、スカルコレクターはいよいよフーカの姉の頭蓋骨にまとわりつくこともできなくなったのか、角の生えた頭蓋骨を放棄し、赤色のスライムと化した。

 うん、思ったよりは持った方だな。

 前にマネットの作ったミスリルゴーレムが、同じように戦って、10秒で撃破されていたからな。


 俺は落ちたシャレコウベを持ち上げてアイテムバッグに入れた。

 そして、ふらふらで倒れるスライムを見た。

 そして、スカルコレクターは全身を震わせて声を出す。


「まさか……こんなに強いスライムがいるなんて……ははは、スライムである自分を貶し、スライムを捨てたと思った私が、スライムにやられるとは思いませんでした」

「俺の大事な部下なんだ。当然だろ」

「……もしも私があなたの部下として生まれていたら――スライムに生まれたことを悔いることがなければ、スカルコレクターにならずに済ん――」


 彼女の言葉は最後まで聞こえなかった。

 俺の拳が、スライムの姿になったことで丸見えになったスカルコレクターの核を砕いたから。


「悦に浸ってるんじゃないよ。お前はコレクターの魂を汚した。そんな奴が幸せに死ねると思うな」

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