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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

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抜かれた剣

 隙の無いスケルトン。

 ですが、何故でしょう、戦う気がまるでないというか、覇気が感じられません。

「スカルコレクター様より、貴君のことを逃がさず連れてくるように言われている。逃げることがあれば、または歯向かうようなことがあれば殺すように命じられている。だから、その場から動かぬことだ」

 そう言うと、スケルトンはあろうことか、その場に座り込みました。

 しかし、彼は隙を見せようとしません。隙がないのではないのです。隙を見せないようにふるまっているのです。

 戦いを望んでいないのでしょう。

「いいのですか? 僕をつれていかなくて」

「つれていく。ただし、期限は決められていないからこちらで決めさせてもらう」

 それは詭弁じゃないでしょうか?

 そう思いましたが、でも会話が通じるのなら、聞いてみたいこともいろいろとあります。

「スカルコレクターは僕に何の用事があるのでしょうか?」

「スカルコレクター様は頭蓋骨を収集なさっている。人族の中でも鬼族の頭蓋骨は角がついていて、まるでユニコーンみたいだと大層気に入っておられる」

「……コレクション……なんですね」

「うむ、スカルコレクター様の唯一にして無二の趣味だ。それ以外は何もないお方だと言っても過言ではない」

「……三年前、鬼族が来ませんでしたか?」

「鬼族の骨から作られたスケルトンがスカルコレクター様の傍にいた。もしかしたらそれが主の言う鬼族かもしれぬ」

 ……鬼族のスケルトン……間違いありません。

「主の家族か?」

「……お姉ちゃんです」

「そうか、姉を助けるために来たのか」

「もう助けられません。お姉ちゃんを助けることができませんでした」

「死して尚縛られる。魂はなくともその骨を供養して救いになることもある」

「それは……もしかして、あなたも――」

 あなたも殺してほしいのでしょうか?

 そう言おうとしたとき、スケルトンが立ち上がり、そして骨の大剣を抜きました。


 そして、その大剣を振り下ろしたのです。

 戦いが始まる、そう思った時でした。


「――来る」

「――え?」


 スケルトンが見た方向を僕が見ました。

 そこにいたのは――


「……お兄さん……うそ、もうここまで」


 お兄さんがそこにいたのです。


   ※※※


「よかった……フーカ、無事だったか」


 二メートルはある大剣を持つスケルトン――今まで見てきたスケルトンとは明らかに違う。

 

【HP18259/18259 MP0/0】


 診察スキルを使いHPを見た。

 HP1万オーバー。もちろん、一角鯨や、ディーネがアルモニーという名の魔王に変身していた時のHPに比べれば低いが、それでも通常では滅多に出会えない相手だ。

 そして、HPだけではない。

 スキルこそないが、相手の雰囲気は百戦錬磨の剣豪の雰囲気を醸し出している。


 この雰囲気、かつてベリアル――いや、ユーリが言うにはあいつはベリアルではなくベリアルの影らしいのだが、ベリアルと呼ぶことにする――と出会った時に感じたHPだけでは計り知れない実力が、あのスケルトンからは感じ取れた。

 もしかしたら、竜化して戦うことも考えないといけない。

 そう思った時だった。


「待っていた――コーマよ、戦え」


 スケルトンが俺に剣を向けた。

 喉も食道も肺もないのにどうやって喋ってるんだ? と思うような低い声で。


「へぇ、俺も有名人になったものだな。どうせなら可愛い女の子に好かれたほうが嬉しいんだけどな」


 冷や汗を流しながらも、俺はアイテムバッグから力の妙薬を取り出そうとした。

 これを使おうと思ったのも久しぶりだ。

 そう思ったとき、口を出したのはタラだった。


「……主、ここは某に任せてもらえませんか?」


 いつも一歩引いたところにいるタラがそう言ったのだ。

 それに激昂したのはスケルトンだ。


「ならぬ、戦え、コーマ!」

「タラ、あいつは俺との戦いを望みのようだが」


 と隣の少年の目を見る。

 その目には、何か強い意志のようなものが感じられた。


「……タラ、何か理由があるのか?」

「……はい」

「力の妙薬は飲むのか?」

「必要ありません。彼とはこの剣のみで戦わせていただきたく――」

「そうか……じゃあ、頑張れ」


 俺はもう何も言わない。


「勝手に話を纏めるな!」


 そう言うと、スケルトンは俺に切りかかってきた。

 だが、俺は剣を構えたりなんてしない。

 俺の一本の剣は、すでに自らの意志で動いていたから。


「貴君の相手は某が致す」


 タラがスケルトンの骨を受け止めていた。

 俺はその横を通り過ぎ、動けずにいたフーカの頭――角の横をポンと叩き、


「ったく、従者が主人を置いて勝手に行くな……って、これ、俺がいつもクリスに怒られていたことか。じゃあ、行くぞ」

「あ……あの、ふたりは」

「タラなら大丈夫だよ。俺たちはスカルコレクターのところに行くぞ」


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