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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

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骨の迷宮~フーカsideその1~

 フリーマーケット。ラビスシティーで一番の大富豪であるメイベルさんが経営する店。その店の寮はまるで別世界だった。体に負担のかからない寝心地のいいベッド。大きなお風呂。髪がサラサラになる塗り薬。食べたこともない美味しいご飯。そんな寮を持つメイベルさんは大富豪であるにもかかわらず、偉そうになんてせずに、僕に対しても好意的に接してくれました。

 他にもリーさんやファンシーさん、シュシュさんといったフリーマーケットの従業員の皆さんは僕が鬼族であることを知っても何も変わらずに接してくれました。

 この安らぎは、お姉ちゃんがいなくなってからはじめての安らぎでした。

 全部、僕をここに連れてきてくれた、コーマのお兄さんのおかげです。

 コーマお兄さんは凄い人です。

 最初会った時は、勇者候補の印である黄色い布を着けている他は、頼りない男の人だと思いました。

 でも、僕はどうしても勇者試験に同行しないといけません。骨の迷宮……姉の行方の手がかりを一刻も早く掴むために。

 だから、この時の僕は、その頼りなさそうなお兄さんに頼ることにしたんです。

 でも、利用させてもらうからには、どちらの立場が上かわかってもらうために、ちょっと軽くお兄さんを投げ飛ばすことにしたんです。

 ですが――その瞬間にわかってしまったのは僕の方でした。

 投げ飛ばしていると思いませんでした。むしろ投げ飛ばさせてもらっている――そんな手ごたえでした。案の定、お兄さんは空中で体勢を整え、足から着地していました。

 それでも結局変わったのは力の関係だけで、僕がお兄さんを利用しようという気持ちは変わりませんでした。


 それが変わったのはいつからでしょうか?

 フリーマーケットの皆さんと出会ってからでしょうか?

 それとも、お兄さんと一緒に勇者試験に挑み続けているからでしょうか?


 お兄さんを巻き込みたくないと心から思ったのは、それが現実的に見えてきた、昨日のことでした。

 お兄さんが、空を飛ぶ絨毯について語っている時、お兄さんにはしっかりとやりたいことがあるんだなと思いました。

 僕のお姉ちゃんは、僕なんかとは比べられないくらいに優秀な鬼族の戦士でした。スカルコレクターの放った魔物相手に、震えていることしかできなかった僕とは違う、一流の戦士です。そんなお姉ちゃんも、多分スカルコレクターには勝てなかったんだと思います。

 いくらお兄さんが強くても無事では済みません。

 お兄さんには立派な勇者になってもらわないといけません。


 だから、僕は……一人でスカルコレクターと戦うことにしました。

 朝早くにフリーマーケットの寮を出て、転移陣に向かいます。


 10階層は本来立ち入り禁止なのですが、勇者試験中のため、今は昨日の鳥の迷宮の入り口までと、骨の迷宮の入り口までは行くことができるようになっています。実際、昨日合格したと思われる何人かが僕よりも先に骨の迷宮に向かっていたので、怪しまれることなく骨の迷宮入口近くまで行きました。

 ですが、ここからが問題です。骨の迷宮に通じる部屋は現在ギルド職員によって封鎖されています。無理やり突破しようものなら、お兄さんに迷惑がかかってしまいます。誰にも気づかれることなく骨の迷宮の中に入る方法はないでしょうか?

 そう思っていたときです。


「こっちだ、鬼族の娘」


 脇の袋小路から、突如スケルトンが現れました。

 スカルコレクターの遣いでしょう。

 周囲に警戒しながらも、僕は袋小路の通路に入っていきます。

 すると、壁が開き、その向こうに別のスケルトンがいました。

 外開きの扉――しかも内側からしか開かないタイプの隠し扉です。

 その隠し扉はギルド職員によって封鎖されているはずの部屋に通じていて、そして骨の迷宮に通じる階段がありました。


「ついてこい、スカルコレクター様がお待ちだ」


 そう言って、スケルトンは階段を下っていく。


「……あなたはスカルコレクターの部下?」


 僕が尋ねても、答えはない。最初から期待していないが。

 そして、僕はようやく……姉がかつてたどり着いたであろう骨の迷宮の中に入っていった。


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