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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

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山登りの会話

「お兄さん、何をしてるんですか?」


 無重の羽を見つめていると、フーカが話しかけてきた。

 俺はニヤリと笑う。


「羽から絨毯を作るんだよ」

「羽で絨毯ですか?」

「まぁ、普通は絨毯って言ったら織物だからな。羽からは織物を作れない。羽を織り込むんだよ。そうすることで美しい光沢のある絨毯になるわけだ」


 童話「鶴の恩返し」でも、よく鶴の羽から織物を作っていると思われがちだが、あれも羽を織り込んでいるらしい。

 もっとも、孔雀の羽などは西陣織の材料になるので、一概には言えないだろうな。


「それは楽しみですね。できたら僕にも見せてください」

「あぁ、楽しみに待ってろよ」


 俺はアイテムバッグに羽をしまうと、山登りを再開した。

 山登りは順調だ。途中で土砂崩れがあって何人か巻き込まれそうになり、しかもそれで通常の登山ルートが塞がってしまっているが、別段問題はない。

 これまでの迷宮に比べたらここはまだ楽なものだ。

 恐らく9名の勇者候補全員揃って、今日はクリアできるだろう。


「フーカ、明日はいよいよ骨の迷宮なんだが、お前の目的を聞いていいか?」

「……………………」

「仇討ちか?」


 俺の問いに、フーカは直ぐに答えられない。

 俺たちは無言で山を登った。途中、襲ってくる鳥たちは瞬殺していく。

 暫くしてその思い口を開いた。

 ただし、それは明確な答えではない。


「わかりません」


 明確な答えではないというのが、彼女の答えだった。


「最初は、お姉ちゃんのことを知りたかっただけなんです……わかっています、たぶんお姉ちゃんはもう死んでいるってことくらい。スカルコレクターの目的が骨だというのなら……でも、僕のこの目で確かめたかったんです」

「そっか……」

「……でも、そのスカルコレクターが目の前にいたら、僕はどうなるかわかりません」


 その声は少し震えていた。

 姉のことを思い泣いているのか、自分の中の怒りが恐ろしくて震えているのか、前を歩く俺にはわからない。いや、彼女の顔を見たところでわからないだろう。


「安心してください。お兄さんの邪魔はしません。明日は別行動をしましょう。そうしたら、お兄さんがスカルコレクターに襲われることはありません」

「いやいや、俺もスカルコレクターには用事があるからな。こちとら、生まれたその時からコレクターだ。そのコレクターの名を汚す魔王を放ってはおけないよ!」

「マオウ?」

「……魔法使い! 骨を使うような悪い魔法使いは放っておけないよ! 勇者なら……な」

「そうですね。お兄さんならきっと立派な勇者になれますよ」


 そう言った時、山頂が見えてきた。

 山頂には一方通行の転移陣があった。

 この転移陣を潜れば今日はクリアとなる。


 転移陣を潜ると、レメリカさんが待ち受けていた。


「これが明日の集合場所の地図になります。遅れないでください」

「わかりました、ありがとうございます」


 俺は骨の迷宮の地図を受け取る。

 骨の迷宮は勇者も立ち入り禁止の場所のため、詳しい場所は俺も知らなかった。

 地図を見ると、結構巧妙に隠された場所にあるようだ。よくフーカの姉たちは骨の迷宮にたどり着けたな、と思ったが、まぁ恐らく彼女たちが11階層に駐在しているギルド職員たちを昏倒させたのち、スカルコレクターの部下が迎えに来たのだろう。


「じゃあ、明日に備えて俺たちは帰って寝るか。朝にフリマの寮に迎えに行くからな」

「はい、お兄さん。明日お願いします」


 俺はそう言うと、フーカと別れた。


 そして、翌朝、俺はフリマの寮に行ったのだが、いつも寮の前で待っているはずのフーカがいなかった。

 もしかして、寝坊でもしたのかと寮の中に入っていくと、一階を掃除しているリーがいた。


「コ……コーマ様。ようこそおいでくださいましゅた」

「いや、リー、できればいつも通りにしてほしいんだが」


 俺がここの元オーナーだと知ってから、リーはいつもこんな感じだ。いつも通りにしてほしいんだが、当分難しいだろうな。

 こういう風に敬われるのが悪いというわけではないのだが。


「ところで、フーカを見なかったか?」

「ふ、フーカしゃまなら今朝早くに出て斬られました」

「斬られた!? 誰に」

「出ていかれました」


 どんな噛み方だ。と思ったが……そうか。もう出て行ったのか。

 どこかに買い物にでも行っているのだろうか?

 だが、いくら待っても、フーカが戻ってくることはなかった。


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