鳥? 島?
勇者試験三日目、四日目も別段何もなく終わった。いや、もちろん別段何もなかったというのは俺とフーカに言えることであって、勇者候補たちからしたら、地獄の行軍だったかもしれない。
666名いたはずの勇者候補も、もうすでに残り9名になっていた。つまりはこの時点で、去年の合格者人数を下回っているわけだ。
その中には、当然俺とタラもいる。
合格者の中に、一応、氷使いの人間がいるかどうか探ってみたが、ぱっと見た感じ、従者を含め、そういう奴はいない。ぱっと見たというのは、いわゆるスキルを見たわけだ。
このスキル鑑定スキル、相手の能力を知る上ではとても便利なスキルだからな。
これを使えば「氷魔法」のようなスキルの存在がわかるってわけだ。
「まさか、迷宮の中で登山をすることになるとは思いませんでした」
「あぁ、この迷宮は特殊だからな」
ここの迷宮は、入口が大きな縦穴になっていて、ロープを使い、一気に最下層まで降りることができる。
そして、その穴を抜けると、そこに山があるのだ。
迷宮の中の山。
こんなものを作るくらいなら外に作れよ、と思うがこの迷宮の名前は鳥の迷宮。
出てくる魔物の大半が鳥の魔物であり、山の中には鳥の巣も多くある。
「島はいいよな。空を飛べて」
思わずつぶやいてしまう。
自由に空を飛ぶ道具が未だに作れていないなぁ。
あるはずなんだよな。
ルシファーコレクションにあったもん。空飛ぶじゅうたん。
竜化したときに生える羽も、空を飛べないしな。
だから思うわけだ。
島はいいな、空を飛べて、と。
きっと、ライト兄弟もこういう気持ちだったのだろうな。それで飛行機を作ったに違いない。
モンゴルフィエ兄弟もこういう気持ちになって熱気球を作ったに違いない。モンゴルフィエのくせになんでモンゴル出身じゃないんだよ! とか小学校の頃にいじめられて空に逃げたくなったとかそういう気持ちだったわけではないはずだ。
「島? 鳥ですよね?」
「誤植じゃないぞ。ほら、島が飛んでるだろ」
俺が指差すと、島が飛んでいた。島といっても、ラ〇ュタのような巨大な島ではなく、岩といった感じだ。
……空飛ぶ岩か。もしかしたらあれに使われているのが空飛ぶ石で、それを使えば空飛ぶ道具が作れるのではないだろうか?
「いえ、お兄さん、あれ、鳥ですよ。翼が生えていますし」
「え? うわ、マジだ! こっちに来るぞ!」
翼が生えている岩がこちらに降下してきた。
空飛ぶ島じゃなくて、空飛ぶ鳥だったのか。空飛ぶ鳥って……
「そのまんまじゃないか! 雷よっ!」
神雷の杖を使った。天をも穿つ雷が空へと延びていく。
ふっ、鳥系の魔物は雷が弱点と相場が――
「お兄さん、全く効いてません!」
「しまった、石系の魔物には電気タイプの技が全く効かないっていうあれかっ!」
鳥の弱点を完璧にフォローしてやがる。
これは新たな生命の進化形だ。
その岩鳥は俺を食べようと、尖った岩にしか見えなかった嘴を開けたが、
「まぁ、普通に殴るけどな」
ワンパンチで撃破した。
岩鳥はそれで死に、魔石と羽と石を残す。
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ストーンフェザー【素材】 レア:★★★
石のように見える羽。雷に対し非常に強い耐性を持つ。
重く見えるが羽のように軽い。羽だから当然だ。
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石だと思ったのは翼だった。なるほど、神雷の杖を弾いたのはこれの効果か。
もう一つ残った白い羽を見て、俺は驚いた。その羽が僅かに浮いていたのだ。
そして、浮かび上がり、飛び去ろうとしている。
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無重の羽【素材】 レア:★×6
大型の怪鳥が持つ、空気よりも軽い物質でできている羽。
これを切り落とされると大型の鳥は空を飛べなくなる。
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空気よりも軽い羽!?
これって、まさか空飛ぶ絨毯の材料になるんじゃないか?
そう思って、レシピを探したら、あった!
浮遊の絨毯。
そんな名前のアイテムが。
とうとう、人類は空を己の物にすることができる……のだろうか?




