表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
第三部 世界終焉編 Episode12 骨の迷宮

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

501/742

偉大なる発明品

~前回のあらすじ~

クリスがコーマに賭けた。

 クリスとバカな話をバカみたいに続けると頭がバカになりそうになったので、もうクリスを追い払うことにした。

 まるでぶんぶん飛ぶ蠅のように。五月蠅いと。五月でもないのに追い払うことにした。


「行くぞ、フーカ。クリス、フリマの従業員寮に、ちょっと多めに朝ごはん作ってアイテムバッグの中に入れてあるから、勝手に食べていいぞ」

「え!? コーマさんの作った朝ごはんですか!? 行きます、すぐに食べに行ってきます」


 そう言うと、クリスは全力で走った。全力で、オリンピックで世界新記録を取れるくらい、人ゴミの中を走る。   


「……あの、お兄さん、あの人、本当に女勇者の白光のクリスティーナさんなんですか?」

「ん? フーカ、あいつが勇者であることも白光の二つ名を持っていることも知ってるのか? まぁ、あいつは白光というよりかは薄幸なんだけどな」

「さっきお兄さんが言っていたんじゃないですか、白光のクリスティーナって」


 そういえば言っていた。わざわざ説明口調で言った。慣れない驚き方をしたせいで自分で言ったことすら忘れていた。

 全く、慣れないことはするもんじゃない。次からはクリスと出会えば即座に追い払うようにしよう。なんて言えば、俺が悪者みたいになってしまう。言っておくが、俺はクリスが大好きだ。愛玩動物みたいに可愛いと思っている。

 バカな子ほどかわいいという諺を使えば、俺は世界で一番クリスを愛おしく思っていることになる。

 ただ、朝に会うテンションじゃないんだよな。


「俺、十時間くらいしか寝てないからさ」

「十分寝ていますね」

「たしかに字面だけなら六十倍は寝ているな」


 日本語のギャグは翻訳されないので、フーカがきょとんとした。

 

「まぁ、俺はクリスの相棒で従者で共犯者で債権者で女友達で保護者で元婚約者みたいなもんだ」

「……全くわかりません」

「知り合いってそんなもんだろ? 人の絆なんてよくわからないもんだって」

「知り合いの定義が一度婚約をする必要があるのだとしたら、僕に知り合いはいないことになりますね」

「……そう言われたらそうだな。俺とフーカも知り合いではないことになっちまう」


 そう思うと、俺とクリスの関係ってよくわからんな。

 ルシルとの関係なら一言で言えるのに。「世界で一番大事な奴」って。


「お兄さん、もしかしたら凄い人なんですか?」

「あぁ、凄いぞ。なんだって魔王を退治したことがあるからな」

「……そういうのは勇者になってからしてください」

「ならば、実は俺が魔王だからな」

「……もしそれが本当なら勇者の敵じゃないですか」


 どっちも本当なんだが、当然信じてくれない。信じてくれないことを知っていて話してる。


「まぁ、どっちもウソだよ。俺はただのコレクターさ。何かを集めるのが好きなコレクター」

「………………」


 その時だった。背筋が凍る思いをした。

 フーカの目が、桃色だったその瞳が、まるで氷のような青に、全てを凍らせるような蒼に染まっていた。

 いや、氷は蒼じゃなくて透明か。でも、その冷徹な瞳は氷と表現してしまう。


「ふ、フーカ、俺、何か変なことを言ったか?」

「いえ、すみません。僕、ちょっとコレクターという言葉が嫌いなので……すみません」

「……コレクターが嫌い?」

「すみません、本当にごめんなさい」


 コレクターが嫌い……俺の母さんも常々言っていた台詞だ。

 そんな紙切れなんて集めて何が楽しいの? と親父のカードを見てよく言っていた。でも、母さんはそんな親父のことが好きなわけで、その目には愛があった。だが、フーカは違う。あの目は心の底からコレクターを恨んでいる目だ。


 いったい、何が彼女をそこまで恨ませるのか。


「……悪かったよ。ほら、あそこに当たりの入ってないくじ引き屋があるから、一緒に見に行こうぜ! 大当たりはバナナ一年分だってよ……って本当にあったのか、この世界にバナナが!?」


 西大陸の塔の迷宮の中のスーパーで、バナナを見て鑑定結果が出たとき、この世界のどこかにバナナがある、もしくはかつて存在したと思っていたが、まさかここで見ることができるとは。

 一応、チョコレートバナナ味を作ったこともあったが、あれはバナナ風の味というだけで、本物のバナナは一切使っていないからな。

 これを買い揃えたら、ルシルのDXチョコレートパフェがさらにパワーアップしたものになるな。DXチョコレートバナナパフェになる。


……………………………………………………

バナナ【素材】 レア:★★


細長く、甘い果物。栄養価も豊富。東大陸の名産品。

皮を剥くととても食べやすいという形状であることがわかる。

……………………………………………………


 うん、鑑定で見てもバナナだ。十分黄色くなっていて、美味しそうだな。


「……え? 当たりが入ってないんですか?」

「ああいう店は当たりを最初から抜いているって相場が決まってるんだよ」


 大通りに並ぶ店の中、一回銅貨5枚のくじ引き屋があった。

 大当たりはバナナ一年分、ハズレはバナナ一本か。

 うーん、この大陸でバナナは珍しいからバナナ銅貨5枚はまぁいいか。


「おいおい、兄ちゃん、言いがかりはよしてくれよ。本当にあるんだぜ、大当たりが1枚も。ちなみに、特別賞のバナナ1房は10枚に1枚は入ってるからな」

「1枚って……こんな中に本当に1枚あるのか?」


 箱の中には、500枚はくじ引きがある。

 全部買い占めたとして、銅貨1500枚。15万円か。


「おいおい、誰がこの箱の中って言った? 箱はこれだけあるんだぜ?」


 箱をさらに3箱取り出す。合計4箱になった。


「おいおい、さすがに2000枚は多すぎだろ」

「仕方ないだろ。このくじ引きってのは、くじ引き迷宮にいる苦地虫という魔物が落とす素材でな、ハズレが1800枚、当たりが199枚、大当たりが1枚って決まってるんだよ。だから俺もどれが当たりかはしらない」


 と俺は銅貨5枚を渡して、その中から1枚を引いた。


「でもまぁ、それで引き当てるのが、勇者の力ってもんじゃないか?」


 そう言って、俺は紙のくじ引きを開けた。

 そこには「大あたり」の文字が。


「なっ、なっ、なっ……なんだとぉぉぉぉっ!」


 いや、驚いてるが、こんなの楽勝だぞ? だって、


……………………………………………………

ハズレくじ【雑貨】 レア:★


ハズレです。それ以上でもそれ以下でもありません。

ハズレ以下があるとしたら、それはもう死ぬしかないですね。

……………………………………………………

 が大量に見えるんだから。

……………………………………………………

当たりくじ【雑貨】 レア:★★


おめでとう、これを引き当てたあなたはラッキーマン。

女性だったらラッキーウーマンですね。

……………………………………………………

 がそれなりに見えるんだから。

……………………………………………………

大当たりくじ【雑貨】 レア:★★★


運命に祝福された人だけが見ることができるくじ。

きっとあなたは勝ち組です。

……………………………………………………

 がこの一枚しか見えなかったのだから。

 さすがに2000枚全部を鑑定するのは疲れるが、日々鑑定を繰り返しアイテム図鑑を埋めるために頑張っている俺の敵ではなかったわけだ。


「……おいおい、いきなり大当たりを引かれるって、どうするんだよ、これ――もう売れないぞ」


 泣きそうになる店主――さすがに申し訳なくなってきた。

 本当に悪い気持ちになる。


「お兄さん……どうします?」

「どうするって……さすがにな。悪かったよ、おっちゃん、俺の運が良すぎた。ほら、これ返すから」

「バカ野郎、クジの結果は絶対だ」


 意固地になるおっちゃん。

 でも、一等のないくじ引きなんてもう誰も引かないだろう。


「……あぁ、そうだ! あれを使おう」


 俺はそう言うと、アイテムバッグから、三つのアイテムを取り出す。


……………………………………………………

小型噴水機【魔道具】 レア:★★★★


魔石を埋め込むことで装置の中に溜った水を噴き出すことができる噴水装置。

溜まったお皿の中から滝のように流れる水はとても幻想的。

……………………………………………………

……………………………………………………

魔力コンロ【魔道具】 レア:★★


魔石を使い、火を出す魔道具。

温度調整は弱火から強火まで5段階調整可能。

……………………………………………………

……………………………………………………

雪解けチョコレート【料理】 レア:★★★


ちょっとの熱で溶けてしまう甘いチョコレート。

舌の上で溶ける絶妙な味をご堪能あれ。

……………………………………………………

 小型噴水気をちょっと改造し、魔力コンロを埋め込む。


 いったい、何をしているんだ? という目でおっちゃんとフーカは俺の作業を見ていた。

 その間に、俺は雪解けチョコレートを、噴水の水を溜める場所にいれていく。

 そして、魔力コンロのスイッチを入れた。


 すると、なんということでしょう!

 噴水からチョコレートが噴き出したではありませんか。

 そう、これぞ俺特製のチョコレートフォンデュ装置だ。

 ここまで来ると、組み立てというよりかは改造なのだが、細工スキルを持っている俺にとって、この程度の発明は余裕だ。


 バナナを一本剥いて、アイテムバッグの中から取り出した竹串に刺し、チョコレートの滝を潜らせる。


「まぁ、食べてみろ」


 俺はフーカとおっちゃんに渡す。


「お兄さん、これすごくおいしいです!」

「こ、これは甘い! でもうめぇ! なんだ、このほろ苦いのに旨いのは。いや、待て、確か見たことがある。南の国のカカオから作った菓子だな?」

「さすがだな、カカオと砂糖を煮詰めて作った菓子でチョコレートって言うんだ。おっちゃん、バナナのお礼に、この雪解けチョコレート、10キロ分やるよ。日光の浴びるところに置いたらダメだぞ、本当にすぐに溶けるから。あと、店仕舞の時は噴水のところにお湯を入れて洗ってくれ。洗わずに放っておくと噴水の中のチョコが固まっちまうからな。あと客に作らせるのなら二度漬け禁止、一度口に咥えたバナナはもう一度チョコの噴水を潜らせてはいけないルールにしておけよ。魔石も使ってるが、町の中だと安く売ってるからよ」

「わ、わかった。凄いな、これ。祭り業界の革命が起きるぞ!」


 おっちゃんは大はしゃぎで、看板を掛け直す。

 これが、この世界でチョコバナナができた瞬間であった。


「お兄さん、いいことしましたね」

「そうだな」

「でも、バナナ一年分より、あの噴水の魔道具とかチョコレートのほうが値段が高いんじゃないですか?」

「……そうだな」


 いざという時にルシルをなだめるために作った雪解けチョコレートが無くなってしまった。


「……おっちゃん、チョコレートの代金代わりに、俺にチョコバナナ5本くらい譲ってくれ」


 いざというときのためにチョコバナナを5本貰っておいた。

 クリスとバカな話をするのが疲れるといったのに、それ以上にバカなことをして疲れてしまった。

 

前回が500話だということに感想欄で気付きました。

で、501話、久しぶりに4000文字オーバーだというのに、全く話が進んでいない。

でも、書いていて楽しかった。後悔はしていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ