海の家の持ち運び転移陣
~前回のあらすじ~
海賊と仲良くなった。
小船で移動すること1時間。手漕ぎボートかと思ったが、動力部分を見て違うとわかった。
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魔動スクリュー【魔道具】 レア:★★★
船にとりつけ、回転して船を加速させる推進装置。
じっと見ていると船酔いも加速します。燃料は魔石。
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魔道具が全ての船に取り付けられていた。オンオフのレバーがついている。
舵を取る機能はないので、回転させるときは一度停止しているらしく、さっき俺と出会ったときはその回転作業中だったようだ。
凄いなぁ、こんなのもあるのか。
ならば労力は必要ないだろうと、俺はゆっくり寝させてもらうことにした。
まぁ、寝込みを襲われる可能性も少しはあったので、一応警戒はしようと思ったけど、その心配はなかった。
ていうか、眠れなかった。
海賊のお姉さんの目を治療したことで神扱いされて、ずっと話しかけられて眠れなかった。
まぁ、予想通りというか、こいつら、悪いやつらじゃないんだよな。
「あんた達、なんで海賊なんてやってるんだ?」
「ん? あぁ、これを手に入れるためだよ」
男達が出したのは小瓶だった。
「実はこのあたりの風土病があってね、それに効果のある薬なんだよ」
「この薬は一部の人間が独占していてな、こうでもしないと手に入らないんだよ」
「まぁ、一時的に治めるだけで、飲み続けないと効果がでないんだがな」
そう言っているが、風土病?
俺は薬瓶を見て疑問が浮かぶ。
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呪い抑止薬【薬】 レア:★★
呪いの進行を一時的に止める薬。効果は5日~10日。
効果が出ている間は症状は治まるように見える。
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病気じゃなくて、呪いじゃないのか?
呪い抑止薬の効く病気ということも考えられるが、症状を見てみないとなんともいえないな。
解呪ポーションで治療できるかもしれないが、風土病ということは、病気を治しても、すぐに再発するかもしれない。
それなら、むしろ抑止薬のほうが5日~10日の間は安全ということでいいのかもしれないな。
ちなみに、俺も呪い抑止薬は持っている。
たぶん、俺が作ったら、最高品質のため10日分の効果はでるだろうが、とうぜん根本的な解決にはならない。
「ところで、あたい達に聞きたいことってなんなんだい?」
「あぁ、まぁ、一番気になってるのは、魔物だな。とんでもない魔物、伝承に残ってるような魔物について知りたいんだが」
「魔物ねぇ。伝説級の魔物といったら、巨大亀がまずは一番だね」
「巨大亀? それはどこにいるんだ?」
「あれと、あれ」
海賊のお姉さんが指さしたのは、二つの島だった。
って、それって――
「そう、この海にある二つの島は、二つとも魔物の背中の上にあるのさ」
「巨大亀の上に町があるっ!?」
漫画やアニメで島と思ったら亀の上だったってネタはよくあるけど、そこに大勢の人が住んでるのか。
亀○人も吃驚だな。
「片方は死んでいて、片方は眠り続けている。私達が行くのは死んでいる巨大亀の背の上だ」
「え? 魔物って死んだら消滅するだろ?」
「あぁ、だが、魔物が死んでもアイテムは残る。そのアイテムこそが、我々の島、亀の甲羅なんだ。中に空気が溜まっていて沈むことはない」
浮島なのか。手足と尻尾を出すための穴は完全に塞がれていて安全らしい。
「でも、なんでその魔物は死んだんだ? 寿命?」
「伝承では一角鯨に殺された、って言い伝えは残ってるけどね。それが事実かどうかはあたいにも、いんや、誰にもわからないよ」
「一角鯨……」
そっちも調査対象だな。
ギルドからの調査の一つはそういう魔物の調査だ。
ルシファーがかつて竜としての姿で現れたように、魔王=強い魔物としての認識がされているのかもしれない。
いや、むしろその逆か……。
ギルドがそういう風に仕立てあげようとしている可能性がある。
「まぁ、俺もそのほうが都合がいいんだがな」
「何か言ったか?」
「いや、なんでもない」
そして、小船は進む。島も目前に迫っていた。
にしても、妙だな。
この島、魔物のドロップアイテムなのに、なんで鑑定眼で名前が見えないんだ?
まぁ、索敵眼鏡でもこちらからは魔物の気配はないから、本当に死んでいるんだろうが。
「海賊なのに、堂々と港に停泊するのか?」
桟橋に停泊して小船を縄で固定しているお姉さんに尋ねた。
「このあたりに暮らす連中は全員仲間だよ」
「そうなのか?」
海賊の島かと思ったが、そうではないらしい。
島の北側には海賊とは縁のない人が多く住んでいる。
この南側は浅瀬のため、大型船が入ってこれないとか。
「でも、こんなに堂々としてていいのか?」
「そもそも、広い島じゃないからね。本気で攻めてくるならどこに隠れようとすぐに見つかるからね」
むしろ、開けた場所にいたほうが不意打ちされる心配はないと彼女は言った。
そういうものなのだろうか?
「で、あんたはこれからどうするんだい?」
「あぁ、先にまだ聞きたいことがあるんだけど、この島には獣人は住んでるか?」
「獣人? あぁ、数は少ないがいるよ」
「そうか、実は俺の仲間を3人ほどこの島に呼んで休ませたいんだが、海から近くていい家ってあるかな?」
「仲間を呼ぶ? 構わないが、どうやって連れてくるんだい? この場所には定期船はないよ?」
「あぁ、それは気にしないでくれたら助かる」
訝し気な目でお姉さんは見てきたが、
「ま、あんたのことだ。なんか手段があるんだろうね。ついておいで、今は使われていないがいい場所があるよ」
お姉さんは他の男達に薬を運ぶように言うと、俺を案内してくれた。
俺は水蜘蛛改を足から外してアイテムバッグにしまい、彼女についていった。
小船の上からもみえていたが、住居は全て木製なんだな。
まぁ、その理由はだいたいわかる。石が少ないんだろう。
亀の甲羅の上に土が積もってできた陸。掘っても石は出てこないのだろうが、木は生えている。
迷宮の天井や壁からの光で植物が育つというのは俺も実験済みだしな。
飲み水はどうしているのか? と聞いたら、なんでも亀の甲羅には海水の浄水作用があるらしく、島の中央から湧き水が出てくるらしい。
本当に、人が住むのに適した魔物なんだな。
もしかしたら、本当に人を住ませて人が増えたところで海中に連れ込んで餌にする魔物だったのかもしれない。
「ここは自由に使ってくれていいよ」
「あ、あぁ……って、ここって海の家?」
「あぁ、海の見える家だよ」
いや、そういう意味じゃないんだけどな。
開放的な木造住宅。
あるのは複数のテーブルと椅子と厨房。
奥には扉のついた部屋があり、おそらくそこで眠ることができるのだろう。
まさに海の家!
焼きそばやラーメンでも作って販売したい海の家だ。
扉をあけて中を見ると、ベッドが3つある、そこそこ広い部屋。
「まぁ、ちょうどいいな。ありがとう、お姉さん」
「あたいのことはメアリでいいよ」
「ああ、じゃあ、俺はコーマって呼んでくれていいよ」
「よし、コーマ。じゃあ、あたいはまたあとで来るから、今は仲間を呼んでやんな」
そう言い、メアリは海の家を去った。
誰もいないのを確認して、俺はベッドの横の壁に持ち運び転移陣を壁に貼る。
すると、転移陣が輝いた。
そして、転移陣からルシルが現れた――上下さかさまで。
「え?」「え?」
ルシルがベッドの上に倒れた。
上下逆さで倒れたのであれが丸見えだった。
真っ白のあれが。
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魔蜘蛛絹の下着【雑貨】 レア:★★★
魔蜘蛛の糸から作った布素材の下着。
ただの布きれと思うなかれ。履き心地がとてもいい。
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