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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

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エピローグ

~前回のあらすじ~

塔から脱出できた。

『僕達はずっとそばにいるよ』

『ただ、声が聞こえなくなるだけ』

『精霊の声が聞こえなくても、あなたたちならやっていけるわ』


 ライ、サラン、クレイがそれぞれ別れの言葉を告げる。

 そして、新たな水の精霊と風の精霊も。


 精霊たちの言葉を、大聖堂に集まったすべての人が聞いていた。

 その言葉は速記官によって記録される。それらが清書され、各地に配られ、この大陸に住むすべての人に伝える。


 これから、精霊に溜った力を全て西大陸に還元する。


「……これから、人の力でしかやっていけない。そんなこと、できるのでしょうか?」


 そう問いかけたのは、シルフィアだった。

 それに、ライは返事をした。


『僕たちの声が聞こえなくなっても太陽からは光が降り注ぎ植物を育てる。風は植物の種を運び、鳥を空へと羽ばたかせる。水と大地は生命を、火は人の営みを育む。そして闇はみなに休息を与える。それは決して変わらないし、それは変わってはいけない』


『それじゃあ、行くよ。死んだ植物は生き返らない。大陸の半分以上の植物はほぼ枯れているけど、生きていれば回復できるんだし、湖の中の魚たちも早くしないと酸欠で死んじゃうよ』


 急かすように言ったのは、ミュートだった。

 そして、精霊たちはそれの応えるように光を放った。

 その時、精霊ははじめて多くの人の前に姿を現した。


 小さな小さなその精霊は、己の中のエネルギーを全て放ち、大陸の全てを生き返らせていく。


『さようならは言わないよ。僕たちはここにいるから』


 それが、俺たちが聞いた精霊の最後の言葉だった。


   ※※※


 結局、わからないことだらけだ。天使はどうなったのかも、わからない。

 エリエールも姿を消していた。フリーマーケットダークシルド支店には辞職願だけが置かれていたらしい。ちなみに、現在のフリーマーケットダークシルド支店の支店長は、たまたま近くにいたという理由だけでレモネがしている。


 フリーマーケットダークシルド支店だけではなく、西大陸も上へ下への大騒ぎだった。

 精霊のおかげで多くの植物はその命を取り戻した。だが、それでも枯れたままの植物があった。ミュートが言った、死んだ植物は生き返らないと。つまり、枯れたままの植物は、もう死んだ植物なのだ。


 既に湖や川の漁獲高の減少は報告されている。放っておけば食糧難が起こるのは目に見えている。

 だが――


「……悪い、メイベル。無茶言った」

『気にしないでください、コーマ様。西大陸への見返り要求もない、完全無償の食糧支援をできる店といえば、国家とのしがらみが全くないフリーマーケットだけでしょうから』


 メイベルが動いてくれた。

 総資産の三割を使って、食糧支給を――しかも、食糧を買った都市で食糧難が起きないように調整して行ってくれた。


『それに、コーマ様こそお疲れではないですか?』

「いや、俺は別に疲れてないよ……メイベルが心配している点では」


 俺がしたことといえば、すごい肥料の量産だ。

 と言っても、アイテムクリエイトで作る数は決めている。

 緊急用に100個作り、分配した。そして、俺はそれ以上作らないと決めた。

 これだけあれば、10万人分の一カ月分の食糧は収穫できるだろう。


 西大陸は、現在、国を共和制に移行しようとしている。

 六つの国を六つの州に置き換え、西大陸をひとつの国として統治しようというのだ。

 それは、最初は食糧の配分に関するもめ事を無くすための苦肉の策だったが、それに俺は苦笑せざるを得なかった。


 俺の世界ではイギリスやアメリカなどで普通に存在する合衆国。

 それができあがろうとしていたのだ。


 もちろんはじめてのことなのでいろいろと問題はあるだろうが――それでも彼らならやっていけると思う。


「感慨にふけっているところ申し訳ないが、コーマよ……事務整理は終わったのか?」

「……サクヤ、これが順調に事務整理が終わってる人間に見えるか?」

「見えないな。今日中に終わらせるように。全ては貴様が撒いた種なのだから」

「俺が撒いた種……か」


 俺はすごい肥料を100個作って、それ以上は作らなかった。

 その代わり、俺はレシピを配った。

 自分の学校で、錬金術を学ぼうとする、錬金術のスキルを持っている生徒に。


 そして、彼らにすごい肥料を作らせた。

 それからだ。


「まさか、大陸中から錬金術のスキルのある生徒が集まるなんてな」

「当然だ。貴様の作った肥料はそれだけの意味があったからな。錬金術師だけではない、鍛冶師、料理人、魔術師、戦士、様々な夢を持つ生徒が、このスウィートポテト学園に集まっているのだぞ」

「まぁ、なんだかんだ言って同盟は無事に締結、600年ぶりに誰もが自由に国を越えることができるようになったからな」


 俺はそう言いながら、入学者一覧を見て嘆息を漏らす。

 西大陸は今現在もかなり危ない状況が続いている。


 でも――これだけの子供を見たら、俺はなんとかなるんじゃないかと思ってしまう。


 種は撒かれた。これらの種が実を結ぶとき、きっと西大陸は新たに生まれ変わる。


 そして、そうなったら、きっと精霊たちの声が聞こえるようになるだろう。


 人を導く立場としてではなく、きっと人の友達として。 

エピローグです。

西大陸編はこれで終わり。次回からは、数々の謎を残しながらも、魔王城へと舞台を戻します。

普通にコレクターとして頑張りますのでよろしくお願いします。

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