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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

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日本への送還

~前回のあらすじ~

ユグドラシルの杖と種を使って――

 ユグドラシルの杖の加工を始めた。

 杖の柄の部分の加工をする。

 煮沸した水の中に、ユグドラシルの杖を浸す。本来なら水に12時間浸したあとに30分ほど煮沸するのがいいのだが、俺の木工スキルのおかげか、ゆっくりとだが杖が曲がっていく。ちなみに、沸騰したお湯の中に直接手を入れているが、竜化第二段階の影響か、熱いのは熱いが耐えられる。


 そして、丸めた柄の中央に取り付けたのが、ユグドラシルの種子だ。


 雷の杖に、トパーズを付けたら雷鳴の杖になるように、きっと、これでエネルギーが上がるはずだ。

 ただし、こんなアイテムは今まで存在しなかったのだろう。

 鑑定をしても、それが正しい効果を発揮しているかどうかはわからない。


「ルシル、これならなんとかなるんじゃないか?」


 俺は真ユグドラシルの杖(仮名)をルシルに放り投げた。

 ルシルはそれを手に取り、


「……全然ダメね。種子は魔力を内に籠めるものだから、魔力を高めるようにできていない……でも、私なら――」


 とダメだしの後に、何か呪文を唱える。すると、ユグドラシルの種子の光が杖中に広がっていく。


 それを見ただけで、俺はわかった。

 杖が、生まれ変わった。


「コーマ、この杖の名前を考えてるの?」

「一応、真ユグドラシルの杖と名付けようと――」

「なら、私が名付けるわね」


 俺の意見は無視か。


「ルチミナロッド、そう呼ばせてもらうわ。私が一生使うに相応しい杖よ」

「……そんなに凄いのか?」

「かなり限定的だけど、全盛期の半分くらいの力は使えると思うわ――」


 そして、ルシルは杖に力を籠めると――ルシルの姿が成長した。

 ……彼女を見るのは三度目だ。


 一度目は、俺がこの世界に来てすぐに。

 二度目は、俺がルシファーに飲み込まれている時に。


 大人の姿になったルシルを見て、俺は直感的に思った。

 72財宝を集めたらルシルの力が戻る――その可能性はかなり高いのだと。

 こうして、72財宝のふたつを組み合わせるだけで、ルシルの力の半分が戻ったのだから。


「……ルシル! 杖の光が薄くなってるぞ!」

「わかってるわよ! 時間が無い――詠唱省略でこの子を飛ばすから――」

「わかった! 鈴子! 舌を噛まないようにしろよっ!」


 自分で言いながら、逆バンジーじゃないんだから、とツッコミを入れた。

 ルシルが杖を回しながら、鈴子が座る魔法陣の周囲の陣に杖をついていく。


「……あぁ、鈴子、日本に帰ったら何を食べたい?」

「……テリヤキバーガー」

「日本食じゃないんだ!? いや、確かにあの味は日本独自だけど。でも、ワックは俺の時代だと日本から撤退してるぞ?」

「……ウソっ!?」


 ……おぉ、鈴子がはじめて一番驚いた。まぁ、もちろん嘘だけどな。


「オッテリアが規模拡大してな」

「……モズじゃないの」

「あぁ、モズのテリヤキバーガーも旨いよな……」

「……あれは神」

「でも、モズならオニオンフライだな。なんでオニオンフライってワックやオッテリアにはないんだろ?」

「……オニオンフライ?」

「え? お前の時代ってオニオンフライなかったっけ?」

「……わからないけど、なかったと思う」


 そうか、軽くジェネレーションギャップだな。

 モズと言えばオニオンフライだと思っていたのに。


「日本に帰ったら何をするんだ?」

「……読みかけの漫画、全巻制覇」

「はは、そりゃいいや」

「……あと、お父さんとお母さんに会いたい」

「そうか。辛いかもしれないぞ」

「……理解してる」

「なぁ、浦島太郎は玉手箱の話とか、そういうことを全部知ってたら竜宮城から帰ったと思うか?」

「……そういう例えはいらない。全部……全部理解してる。それでも私は日本に戻りたい」

「そうか……じゃあ、元気でやれよ」

「……光磨、あなたこそ」

「おう、俺は元気にしてるって親父たちに伝えてくれ」


「コーマ、準備ができたわ」


 ルシルが言う。そうか……準備ができたか。


「ルシル、頼む」

「うん――送還!」


 詠唱も何もない、味気ない魔法。

 ルシルの一言に鈴子の姿は一瞬にして消えた。

 光の粒子になる訳でもなければ、うっすらと姿が消えるわけでもない。

 彼女の痕跡など最初からそこになかったように。


 ……無事に日本に帰れたか? とは聞かない。


 なぜなら、彼女は日本に帰ったのだから。


 ルシルが俺に再封印を施し、俺の姿は人間のものに戻る。

 これで全部終わった。


『さようなら、鈴子』

「一緒にいかなかったのか? ミュート」

『まぁね。ニホンがどんなところかは知らないが、彼女の話だと、精霊の存在しない世界なんでしょ?』

「そうだな、お前はきっといい研究材料になるだろうな」

『それは嫌だなぁ。人の心を見るのは好きだけど、心の中を見られるのはあまり好きじゃないし――でも、ニホンに行ったほうがよかったかな』

「まぁ、日本は平和な分欲深い人間も多いからな。人間の欲が好きなお前には楽園かもしれないぞ」

『そういう問題じゃないよ。日本に繋がったことで、あいつが復活するからね』

「……あいつ?」

『じゃあ、コーマ、お休み。僕はもう寝るよ……僕の力、ほとんどさっきの戦いで無くなっちゃってさ――もう眠いんだよね』

「おい、待て! あいつって誰なんだ」


 俺の問いに、ミュートはその名を述べた。


『天使……だよ』

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