コーマVS鈴子
~前回のあらすじ~
コーマの影を倒した。
俺の影が消え、再び俺の影に戻った。
そして、俺は鈴子を見た。
「鈴子、悪いがお前の用意した俺は倒させてもらったぞ。観念しろよ」
「……あなたは大きな失敗をした」
「え?」
何のことかわからなかった――が……俺は足元を見る――すると、そこに転がっていたのは、
――ウォーターボム!?
何でこれがここに!?
さっき、俺の影がアイテムバッグに入れたはずの……いや、待て、俺の影を倒して影が消えた。
それなら、アイテムバッグはどうなる? 決まってる――消える。
中に入れた、俺のウォーターボムを残して。
俺は咄嗟に後ろに飛んだが――溢れる水が俺を襲ってくる。
ちょっとヤバイ――そう思った時――
「氷結!」
凛とした声が響き、目の前にまで迫っていた水が凍り付いた。
「おいおい、それは魔法の杖じゃないぞ」
「仕方なかったでしょ、杖を出す暇なんてなかったんだから」
振り返ると、そこにいたのはクリスと、彼女に負ぶられた、中学生くらいにまで成長したルシルだった。
ルシルが魔法の杖のように振りかざしているのは、杖ではなくてチョコレートバーだった。
麩菓子の上にチョコレートコーティングしたお菓子だ。もちろん、かなり長い。
「ルシル! 扉の解析はお前に任せた! 俺は鈴子を気絶させることに専念する!」
「わかったわ! クリス、あっちよ」
「はい、ルシルちゃん!」
俺は氷の上に立つ。
ウォーターボムから溢れた水は、地中の水とともに一瞬のうちに凍り付き、電気は地中へと流れて行ったようだ。
ちょうど氷が滑り台のように滑らかに凍り付いていた。
俺はそこを滑り、鈴子に向かって大きく飛んだ。
「火炎球!」
俺の手から火の球が放たれる。
もちろん避けられるだろうが、今は日本に繋がっている扉から鈴子を離すことが優先。
まずは攻撃を繰り返し、相手を扉から遠ざける!
俺の放った火の玉は、俺の狙い通り、鈴子に飛んでいき――鈴子が避ける間もなく直撃した。
「って、避けろよっ!」
思わず叫んでいた。
え? 今の攻撃が避けられないってあるのか?
自分で言うのもなんだが、今の火炎球、かなり手加減してたからかなり遅かっただろ?
「…………」
俺の魔力じゃ、相手を殺すほどの力はない――が気絶くらいはさせられるだろう。
火傷のあとも後で薬で治せるだろう。
そう思ったが――
鈴子は平然とした様子で立っていた。
「……何かした?」
「……ただのウォーミングアップだよ、バカ野郎」
俺の魔力が弱いのはわかっていたが、さすがに無傷は恥ずかしかった。
でも、そうはいっていられない。
「ちょっと痛いかもしれないが我慢しろ!」
俺はエントキラーを構え、その側面で鈴子を叩きつけた――が……
――すかっ
攻撃が避けられた?
空振りに終わるエントキラー。
いや、魔力はともかく動体視力は反応の神薬を飲んで、成長している。
にもかかわらず、鈴子が避けるところなんて見えなかった。
……何かトリックがあるのは間違いない……よな。
でも、そのトリックを見破ったからといって、物理攻撃無効、魔法攻撃無効の相手にどう戦えと言うんだ?




