表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

476/742

日本探索

~前回のあらすじ~

鈴子はベースボールチップスカードのファンだった。

「いや、その時代のカードは俺もわからんけど……そういえば、プロベースボールチップスは1973年からの販売だもんな……ってことはこの時代でも売ってるのか?」


 近くにコンビニがないか周囲を探したが、それどころではないと思い直す。


「コンビニはないけど、スーパーならすぐそこにある」

「よし、行こう!」


 俺は鈴子の案内で、今も日本にあるはずの大型スーパーに入った。

 店の自動ドアが開き、野菜売り場が俺を出迎えた。


「おぉ、バナナだ、久しぶりに見たな。鑑定できるってことはあっちの世界にもバナナはあるのか……」


 そして、俺はお菓子売り場に行った。


「うわぁ、なんか見たこともないお菓子とか、パッケージの古いお菓子が勢ぞろいだな。賞味期限の年代が96年か」

「……聞きたいことがある」


 俺がお菓子を見ていると、鈴子が真剣な表情で言った。

 俺も多少浮かれていたが一気に引き締まる。


「……何だ? 言ってみろ」

「一九九九年の七月に恐怖の大王は来たの?」

「……いや、それらしいことは何もなかったな。えっと、ノストラダムスだっけ?」

「そう。じゃあ、二千年になるとコンピュータが止まるというのはどうなった?」

「二千年問題か……それも何も起きなかったな。日本は平和なものだった……らしいぞ」


 どちらも俺が直接見たわけではないからなんとも言えないが。

 とりあえず、ルシルへのお土産に、この時代からも存在した栄養補助食品《カ〇リーメイト》をアイテムバッグへ入れる。


「それ、万引きだよ」

「いいんだよ。どうせ俺の持ってる金はこの時代だと偽札扱いされるだろうしな」


 確か、この時代の千円札は夏目漱石、五千円札は新渡戸稲造だったはずだ。


「一万円札は聖徳太子だったっけか?」

「……福沢諭吉」

「それは一緒なのか」


 あぁ、デザインが変更になったんだっけか。

 どっちにせよ、新札はこの世界では使えないからな。

 そして、お菓子コーナーの一番下の棚に、それはあった。


「おぉ、まじでプロベースボールチップスだ。デザインが違うけど……あぁ、この時代はカードが一枚なんだよな。たしか、ハッピーカードってのが入ってるんだっけ?」

「……ハッピーカードを一枚集めるとカードフォルダが、三枚集めるとサインカードが手に入る。私も三枚集めたことがある」

「マジか……親父が聞いたら羨ましがるだろうなぁ」


 俺はとりあえずプロベースボールチップスを全部アイテムバッグに入れ、他にも気になるものをアイテムバッグに入れていき、店を出た。


「楽しい世界だな……もちろん、数年どころか、たぶん数週間でスーパーの中は魚肉が腐ったりして大変なことになりそうだが」

「……ハエがたかるね」

「いや、蠅はこの世界にはいないんだろ? 他にも街灯の蛍光灯が切れても交換する人もいないしな……」

「……痴漢が出るね」

「人がいないから痴漢は出ないだろ」


 そんなバカな話をしながら、俺と鈴子は歩く。

 そして――俺たちは川沿いの道を歩く。川の向こうには線路があるが、当然電車は走っていない。

 駅の近くまで歩き、そこから商店街に入る。

 その中に、それはあった。


「鳥居か。そういえば、カリアナでも神社は見かけなかったな。全員仏教だったのかな」


 俺は鳥居をくぐり、奥の神社へと向かう。

 社務所があって、おみくじを売っている。そして、階段の奥にある本殿の前には賽銭箱がある。


「目的地はここなのか?」

「……そう」

「ここって言われてもなぁ。御神木は確かに立派だが、ユグドラシルと比べるとしょぼいし……ってどこに行くんだ?」

「駐車場」

「駐車場って、お前、もしかして今から車で移動するとか言い出すんじゃないだろうな? 言っておくが、俺は車の免許なんて持ってないぞ」

「……私もない。それにあそこは、ほとんど毎日車が止まっていないから」


 ……ならば、そんなところに一体何があるんだ?


 鈴子の言う通り、そこには駐車場があった。

 そして、そこにいたのは――


「サラン、ライ、クレイ……」


 三人だけではない。水の精霊と風の精霊だろう。五体の精霊が眠っている。

 そして、その五人の中心に、ピンポン玉くらいの大きさの穴が見えた。


 空間の穴――


 その穴の向こうに見えるのは……ここと同じ駐車場だった。


 だが、全てが同じではない。


「……人がいる……?」


 穴の向こうに見えたのは、犬と散歩をしているお爺さんだった。

 だが、時間が止まっているのか、お爺さんも犬も微動だにしない。


「……鈴子、これは――」

「……日本……本物の日本……私の故郷。私が戻りたいと思い続けた場所」

「鈴子、お前、もしかして……」


 その答えを出すのは性急だと思った。

 もっと別の答えがあるのではないかとも思った。

 だが――俺の中の結論はすでに出ていた。


「日本に戻るためだけに、この騒ぎを起こしたのか?」


 俺の問いに、鈴子は無言で首を縦に振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ