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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

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ひとまず地上へ戻ろう

~前回のあらすじ~

アルジェラを元に戻した。

 本気でどうしよう、アルジェラ。

 流石は俺のとりもちだ。とりもちを扱うための赤色の専用手袋を使い剥がそうとするが、伸びるだけで、剥がれる様子はまるでない。


「コーマさん、はい、これをどうぞ」

「……はぁ、それしかないな」


 俺はクリスから裁ちハサミを受け取り、左手で切ろうとするが――上手いこと切ることができない。この鋏は右利き用だからか。

 左利きの人間はこういうところで苦労しているんだなと思いながら、クリスに頼むことに。


 そして、俺の右袖は綺麗に切られた。

 ……いや、まぁ服には予備があるからいいんだけど、今の服、結構気に入ってたんだよな。

 そう思った、その時だ。


「………………っ!!!」


 全身から汗が噴き出した。

 振り返ると、ベリアルの口から血が出ている。禁止されていることをしようとしたことへの罰ではない、下唇を強く噛み過ぎたことが原因だ。


 そして、ベリアルは踵を返すと、真っ直ぐと歩いて行く。その先には、先ほどまでなかった転移陣が光り輝いていた。


『こほっ、こほっ、久しぶりね、コーマ』


 足元から聞き覚えのある女性の声が聞こえた。

 小さくなっているが、その姿は――


「久しぶりだな、クレイ。調子悪そうだな」


 そう、土の精霊クレイだ。まるで着せ替え人形くらいの大きさになっている。


「……ルシル、一度地上――といってもこの迷宮の中の地上に戻り、村の中にいたみんなの魂がどうなったのか見に行ってくれ。マネットとクリスも一緒に頼む。アルジェラたちは俺が見ているから」


 俺の頼みに、ルシル達は頷いて地上へと向かった。

 そして――俺はクレイと話をすることに。


「クレイ、アルジェラと融合していたようだが、無事に分離できたんだな」

『ええ、私の依代になっていた宝玉を貴方が壊してくれたおかげね』

「……記憶があるのか? アルジェラと融合していた間の」

『もちろん、といっても僅かにだけどね。アルジェラの願いは平穏だったからかも。そういえば、グルースのこと、お礼をまだ言っていなかったわね。どんなトリックを使ったのか知らないけれど、彼はいい父親をしているわ』

「その話は別にいい。それより、俺たちを惑わせたあの偽りの空間はやっぱりアルジェラの仕業だったのか?」

『そうよ。あれがアルジェラの望んだ歪な偽りの平和。そこに自分の居場所がなかったことを、彼女は知っていたのよね。驚いたわ。きっと、アルジェラは気付いていたの――グルースの目的が彼女の神子の力のみだったことに。そして、自分が戦いの引き金にもなったことに』

「平和な世界に神子はいらなかった……って思ってるのか?」


 俺の問いに、クレイは小さく頷いた。

 確かに、あの世界では神子は人の前に決して姿を現さず、干渉もしない存在だった。

 シルフィアの姿を偽ったのもまた、自分の存在を否定するためなのか。


「それで、クレイに聞きたい。こうなった原因は何だ? 教皇グラッドストーンの仕業なのか?」

『それは私にはわからないわ。でも、ひとつだけ確かなことがある』


 クレイはそう言って、転移陣を見た。


『精霊たちは、皆、あの転移陣の向こう側に集まっているわ』

「転移陣の向こう側……サラン達もか」


 レイシアを助けた時に解放されたはずのサランがいなくなったが、やはりこの迷宮からは出ることができていないのか。


『それより、さっきの男だけど、大丈夫なの? 凄い殺気だったけど』

「逆に安心したよ。あれだけの殺気を放ちながら殴り掛かってこないってことは、奴に対する制約は本物だ。俺とルシル、神子のみんなが襲われることはないってことだよ」


 俺は苦笑しながらもそう言った。

 ベリアルが自分の唇を強く噛みしめたのは、今すぐ俺と戦いたいが、できないことへの我慢の表れだったのだろう。

 きっと、今頃はあの戦闘欲を発散するための敵を探しているはずだ。


 その後も俺はクレイから話を聞いたが、結局は目ぼしい情報は得られなかった。

 そして、ルシル達が戻って来た。地上にいた人たちはやはり人形であり、アルジェラの力が弱まったことで人形から魂が零れていた。それをルシルが回収してきたらしい。

 紙袋の中に何かが動き回っている。あれが魂なんだろう。


「とりあえず、一度地上に戻りたいが。ルシル、考えがあるって言ってたよな。教えてくれ」

「簡単なことよ。この転移陣を使うの」


 ルシルはそう言って、恐らくはこのバベルの塔のさらに上へと通じている転移陣を指さす。


「あの転移陣は次元を超えるためのエネルギーを持っているわ。あれを使えば地上へも行くことができるはずよ。ちょっと待ってね、今からちょちょいと細工するわ」

「そんなことができるのか? 次元を超えるなんてそんな真似」

「忘れたの? コーマを日本から召喚したのは誰だったのかしら?」


 あ、そうだった。ルシルは料理に関しては天災級だが、魔法に関しては超がつくほどの天才級だ。


「はい、完了。転移先はこの迷宮の入り口らしい場所にしたわよ」

「入り口か――そういえば見つからなかったが、どこにあるんだろうな」


 まぁ、行ってみればわかるか。

 そう思って、俺は転移陣へと入っていった。

ちょい時間がなくて、更新のみになっています。

感想欄でいただいている誤字修正などは明後日にまとめていたします。

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