無敵の土
~前回のあらすじ~
エクスカリバーが飲み込まれた。
……七十二財宝のひとつ、エクスカリバーの消失。そのことよりも、今の意味不明の防御法の方が俺を驚かせた。
そして、その本質を、俺は想像した。
土。
古くは四代元素のひとつであると言われる。
四大元素――この世の全ては四つの元素によって構成されると言われる。その四つとは、水、風、土、火だ。
単純な土ではない。
それは固形の象徴である、四大元素の中の中心にあるといわれる。
アルジェラの土の力は、その名の通り土だけでなく、全ての鉱物――いや、固形物を吸収する力がある可能性がある。
もちろんあくまでも可能性だが。
それなら、別の性質の攻撃でいくか?
アイテムバッグから神雷の杖を取り出し――俺は首を振る。
神雷の杖の威力は絶大だが、だからこそこれを使えばアルジェラは、命を落とす可能性がある。
「コーマ、雷はダメよ」
「わかってる……アルジェラの命を考えると――」
「そうじゃない、彼女の今の状態は、レイシアの時とは違う。融合状態がかなり進んでるの。きっと、前に融合したことがあるせいね。今の彼女の状態は象徴になっている。雷との相性は最悪と言ってもいいわ」
……そうか、土はある意味電気を逃がす場所の象徴だよな。
全く、雷と物理攻撃がダメってどんな無理ゲーだ。
ならば、俺に残された攻撃法は――数種類の魔法とアクアボムか。
「水弾!」
まずは試しに――と水弾を使うことに。
勢いよく飛んだ水の弾がアルジェラの手前で止まった。
すると、今度はその水が凍りつき、氷の刃になって俺に飛んできた。
「火炎球!」
咄嗟に唱えた魔法により、氷の刃と相殺した。
「コーマ、土は水の流動を止める象徴であり、土と水が一緒になれば冷気の象徴でもあるの」
「土と水で冷気って、庭に水を撒いて温度を下げるみたいなあれか。畜生、そういうことは先に言ってくれ! ちなみに、火と土の相性は?」
「土と火では乾きの象徴ね。あまり効果的じゃないと思うわよ」
「干物を作るのによさそうな情報どうも……」
ならば、攻撃方法として残されているのは何かあるか?
光魔法は、アンデッド相手だと有効だが――それ以外の相手にはただ眩しくさせるだけの攻撃だ。
何か方法はないか?
「コーマ、早くしないと、こっちも持ちこたえられないよ」
現在、シルフィアゴーレム二体がすでにアルジェラに倒されている。
残り三体か。
「コーマさん、それなら複数の属性を合わせてみたらどうでしょう?」
「属性の組み合わせ――ってそんなの簡単にできるか!」
俺が怒鳴りつけたその時――シルフィアゴーレムの一体がものすごい勢いで俺の横を通過し、壁に激突した。
まさか、今のもアルジェラが――と思って振り返ると、そこで俺が見たのは――
「中々硬いが、まぁ俺様の敵じゃねぇな――」
「ベリアルっ!」
ライオン頭の巨漢の男――最強の魔王ベリアルだった。
ベリアルは俺を見つけると、にっと笑い、脇に抱えた二人の少女を俺とクリスに投げた。
「ウィンディア様、アクアマリン様!」
クリスがウィンディアを受け止めた。
そして、俺はアクアマリンを受け止める。
アクアマリンの体調を確認するが、大丈夫だ、気を失っているだけだ。
そして、ベリアルは二つの球――
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精霊石【魔道具】 レア:★×8
精霊の力を宿しやすい石。一定量の石を錬成することで精霊玉となる。
組み合わせる素材により、宿る精霊が決まる。
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を俺に向かって投げた。恐らく、水の宝玉と風の宝玉の成れの果てだろう。
「……お前、この短期間にふたりを正気にもどしてくれたのか?」
「短期間って、俺様にしては時間がかかったと思ったんだがよ。殴っても再生する水に、殴っても手ごたえのない風、どっちも中々骨が折れる戦いだ。まぁ、楽しかったぜ」
自慢げに語るベリアルを見て、今回はこいつが味方(?)でよかったと心底思った。
「まぁ、俺様も対処法をグリュ――ペっ」
ベリアルは口から血を吐きだし、
「あいつから聞いていなかったらもう少し時間がかかっただろうがな」
「対処法――!? 何か知っているのか?」
「あぁ、そいつは土の神子だよな。普通の属性攻撃はまず効かないだろうよ。唯一有効的なのは風属性と闇属性だろうが――」
ベリアルはルシルの方を向いてそう言った。ルシルに頼れと言っている。
そうだ、ルシルの闇の魔法なら有効だろう。だが――
「もしもコーマ、お前があの嬢ちゃんの力を借りようっていうのなら、俺様はそこの嬢ちゃんを殺すぞ」
ベリアルは睨み付けるようにそう言うと、その拳をクリスに向けた。




