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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode03 海上都市

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魔王家の卓袱台

~前回のあらすじ~

海の上の町に行く依頼を受けました。

 魔王城。という名の俺の家。

 卓袱台を囲い、四人そろって食事をしていた。

 俺とコメットちゃんとタラは焼き魚と白いごはん。ルシルはチョコレートとクッキー。

 ちなみに、俺だけは箸を使い、コメットちゃんとタラはフォークとナイフを使っている。ルシルは素手。チョコレートとクッキーだし。


 その光景は、一言でいうなら「魔王家の食卓」だ。


 小麦の数倍の値段する白米だが、日本人ならやっぱり白い飯だな。

 異世界転生のフィクション物語だと、醤油や味噌がなくて寂しい思いをするという話はよくあるが、俺の場合アイテムクリエイトを使えば問題ない。

 大豆と塩さえあれば、麹黴やにがりがなくても醤油、味噌、納豆、豆腐、豆乳、おから等を作ることができる。


「おいしいです、これがコーマ様の故郷の味なんですね」


 コメットちゃんは笑顔で魚の骨を丁寧にとって食べていく。

 彼女は俺の湯呑が空になったのを見ると、急須からお茶を注いでくれた。

 ちなみに、魔王城の食事係は俺がいないときは全てコメットちゃんが行ってくれている。そのためか、俺の料理をゆっくり食べては、俺の料理がどのように作られているのか気になっている様子だ。味噌汁の調理法は確かに奥が深いが、焼き魚は本当に川魚を焼いただけなんだがな。


 逆にタラはフォークとナイフを用意してるのに手掴みで豪快に食べている……骨ごと食べるなよ。タラのやつ、ゴーリキと融合して野性味が増したんじゃないか?


「主の作る料理はとても美味です」

「……あぁ、タラの時はいつも生肉ばっかりだったが、やっぱり料理した肉の方がよかったのか?」

「特に意識したことはないです。タラもゴーリキも外ではまた生肉ばかり食べていましたゆえ


 それは元人間としてどうなのだろうか?

 せめて火は通せよ。


「ねぇ、コーマ。チョコレートとクッキーって一緒に食べたらとってもおいしいのよ、大発見だと思わない?」

「あぁ、そうか、それはよかったなぁ、ルシル。じゃあ、今度はチョコレートクッキーを作ってやるよ」

「チョコレートクッキー!? なに、その甘美な響きは!?」


 ルシルが瞳を輝かせている。

 いや、お前、似たようなもの前食べたよな?

 俺のカロリーメ○トのチョコレート味を全部完食してるだろ。


 そんな感じで、魔王家の食卓はいつも通り平和だった。


 食事もある程度済んだところで、俺は今日あったことを三人に話した。

 魔王の情報が広まっていること。

 その情報を詳しく探るため、蒼の迷宮にある町で調査をすることになった。

 

「というわけで、明日から蒼の迷宮に潜ることになるんだけどさ、ルシルは蒼の迷宮って知ってる?」

「知らないわ。そもそも、蒼の迷宮とかって、人間が勝手につけた名前でしょ?」

「それもそうか」


 逆に、俺も自分達が住んでいる迷宮をルシルの迷宮と呼んでいるが、誰かに発見されたら別の名前で呼ばれることになるんだろうしな。


「じゃあ、迷宮の中で人間が町を作ることってよくあることなのか?」


 ルシルは「そうねぇ」とクッキーの間にチョコレートをはさみながら説明を始めた。


「例えば、魔物は出ない。なのに宝箱があって、定期的に宝箱の中身にアイテムが補充される。しかも、その宝箱のアイテムはとても価値の高いものばかり、そんな場所を見つけたらコーマはどう思う?」

「そりゃ、ラッキーと思うな。他の人には黙っていて、ずっとアイテムを手に入れようと思う」

「でも、地上に戻ってアイテムを売りに行っている間に他の人に見つかってその場所を取られたらどうする?」

「そうか。じゃあ、隠すとか」


 いや、それも完璧じゃないな。所有権を主張するには、別の……


「ずっといるのが一番だとしたら、俺はそこにいて、仲間や、それこそ絶対服従という意味なら奴隷にアイテムを売りに行かせるか」

「そういう場所が複数あれば? それこそ10個や20個」

「10人や20人が常にそこに張り付く?」

「それだけ人がいれば、次は取れたアイテムをその場で買い取り運ぶことで中間マージンを得る冒険者や、コーマがそうしたみたいに、迷宮の中で作物を育てようとする人も現れるかもね。人が住むということはそれだけ需要ができるんだから」

「それが、迷宮の中の町の始まり?」

「まぁ、そういう町が昔あったって話よ」


 しみじみとした口調でルシルが言う。

 もしかしたら、かつてルシファーが治めていたこの迷宮にもそのような町があったのかもしれない。

 人がいてこその国なのだ。

 とはいうが、人が集まればそれだけで町になるってことか。


「某が聞いた話では、勇者制度ができる前、誰でも自由に冒険者が迷宮に出入りできたころは、10階層にも町があったと聞いたことがあり申す」

「確かにあそこは安全地帯で広いからな」


 タラの説明に俺は頷いた。

 となれば、迷宮の中に町があるっていうのもあながち突拍子のない話というわけでもないのか。


「蒼の迷宮の町か……どんなところなんだろうな」


 少しの期待と、大きな不安。

 何より与えられた情報が少ないからな。


「海の上の町……か」


 俺がぽつりと呟く。呟いた。呟いてしまった。


「「うみっ!?」」


 その言葉に驚きの声を上げたのはルシルとコメットちゃんだった。


「どうしたんだよ、二人とも」

「海って、あれでしょ! 話には聞いたけど、大きなため池でしょ!?」


 ルシルが興奮気味にくってかかる。


「お前、さっきまでせっかく賢そうなイメージだったのに、一気にバカな発言になってないか?」

「私、一度でいいから海って見てみたかったのよ」

「そうかそうか、じゃあ、映像送信器を持っていくから、ここで――って、てめぇ、なにしやがる!」


 ルシルが俺の箸を持って俺の目を一刺ししようとしてきやがった。


「いいでしょ、アルティメットポーションがあれば治療できるんだし」

「そういう意味じゃない!」

「私は海に行きたいの。それこそそういう意味じゃないわ」


 うわ、駄々っ子だ。駄々っ子がここにいる。


「無理に決まってるだろうが。クリスにどう説明するんだよ」

「じゃあ、向こうについたら召喚石で呼んでよ」

「召喚石で呼べるのは魔物だけだし、個別指定はできない」

「……あ、そうだ! コーマ、魔石頂戴! あと――これも!」


 そう言って、ルシルは俺のアイテムバッグを勝手に探りはじめた。

 そして、取り出したのは、魔石10個と2枚の大きな紙だった。


「何に使うんだ? そんなもの」

「もちろんこうするのよ」


 ルシルはそう言うと、呪文を詠唱する。

 詠唱が終わった瞬間、画用紙と壁が光を放った。

 この光、一度見たことがある。転移陣作成の光だ。

 だが、転移陣は高度な魔法なのにそれほど魔力を消費しないとか言ってた気がするんだが。


「ちょっと構成を変えたから魔力の消費が桁違いに跳ね上がったの……」


 魔石が次々に砕け散っていく。

 そして――画用紙と壁に転移陣が出来上がった。

 その画用紙を鑑定してみると、


……………………………………………………

持ち運び転移陣【魔道具】 レア:★×6


持ち運びの可能なアイテムに転移陣が描かれている。

いつでもどこからでもあなたの場所に。

……………………………………………………


 うわ、画用紙が魔道具に変わった。しかもレア度が結構高いっ!

 アイテムクリエイト以外で魔道具が作り出される瞬間を初めて見た。

 流石は大魔王の娘にして魔法の天才だな。


「オリジナル魔法だと思ったのに。鑑定可能でアイテム図鑑に登録されたってことは、既に試した人がいるのね」


 と残念そうに言った。

 こいつ、本当に天才なのかバカなのかわからないな。天才とバカとは紙一重というけど。

 そして、ルシルは一枚を壁に貼り付ける。


「これを使って、向こうについてから私達を呼んでね、コーマ」

「私達……って、みんなで来るのか?」

「あら、コメットとタラはお留守番?」


 俺はふと、横にいるコメットちゃんを見る。

 すると、コメットちゃんは笑顔を作って、


「私は畑もみないといけませんし、魔王城を留守にするわけにもいきませんから、お留守番で構いませんよ」


 そうはいうが、コメットちゃん、さっきまで尻尾を振っていたのに、今はその動きも止まり、耳が垂れている。

 笑顔を作れても獣の本能は正直のようだ。


「タラはどうなんだ?」

「海とは何かいまいちわからぬ」

「そこからかっ!」


 タラとして知らないならまだしも、ゴーリキとしては知ってろよ。

 生命の生まれた場所だぞ。


「……はぁ、とりあえず、海の町の安全が確保されて、かつ、海の町に獣人が住んでいたら、転移陣を広げるから全員で海に行こうな」


 コメットちゃんもタラも、人化したコボルトの姿というのは獣人とあまり変わらないからな、ばれることはないだろう。

 もしかしたら、獣人の先祖も、何らかの理由で人化した魔物かもしれないな。


 こうして、魔王一家最初の旅行先は海に決まった。

~100万アクセス突破ありがとうございます(読み飛ばし推奨)~


 100万アクセス突破ということで、俺とルシルは闇の中にいた。

 これからメタな会話が繰り広げられる。


「100万アクセスってすごいわね。作者、どれだけ自分の小説を読み込んだのかしら」

「なんで作者一人で100万回アクセスしたことになってるんだよ。むしろあの人は自分の小説あまり読まないよ」


「じゃなかったらあれだけ誤字が残らないだろ」と生みの親の作者に対してかなり失礼なこと言う俺。雲の上で作者が平謝りしている姿が容易に想像がつく。


「で、今日は何? あとがきを利用してお礼?」

「いや、あとがきを利用して、100万アクセス記念でメインヒロインに質問をするコーナーを作ったらしい」


 あの作者はかつてあとがきを利用してアイテムの説明をするという、まぁよくあるような、それでいて少し新しいような試みをしていた。

 だが生まれ持った飽き性とそもそも古いネタが多すぎるという理由から、勝手に始めて勝手に終わらせた。なのに、まだあとがきを利用して勝手なコーナーを作ろうと言うのか。


「それで私を呼んだのね。いいわよ、スリーサイズ以外ならだいたいのことは答えてあげるわ」

「無乳のルシルのスリーサイズなんて誰も興味ないだろ……って噛みつくなっ!」

「あるわよ、少しは膨らんでるもん」

「噛みつき攻撃をするヒロインはだいたいスリーサイズの需要がないロリキャラって決まってるんだぞ!」


 と、話があらぬ方向に行きそうになるので、俺は渡された台本通りに進行をする。


「ということで、登場してもらいましょう! コメットちゃんです!」


 吹き上がる煙幕。煙幕が晴れる前に、


「ちょっと、なんでコメットなのよ! メインヒロインといったら、私か、百歩譲ってもあの女勇者でしょ!」

「いや、ルシルはまだまだ作中に書かれていない秘密があるし、クリスも同じ理由だな」

「あの……それで何を話せばいいのでしょう」


 俺とルシルが話している間に、すでに煙幕は晴れ、コメットちゃんはどうしたらいいのか困っていた。

 グダグダの展開だ。


 ということで、ここからはよくありそうな10の質問が繰り広げられていく。


Q:名前をお願いします。

A:コメットです。


Q:スリーサイズをお願いします。

A:え? えぇぇ?


Q:スリーサイズをお願いします。

A:(スタッフが測定をして、)78、54、79です。


Q:子供のころの夢はなんですか?(コメットの時)

A:いつか素敵な王子様が迎えに来てくれると思ってました。まさか、奴隷になってから王子様が迎えに来てくれるとは思いませんでした。


Q:ずいぶん乙女チックな夢ですね?

A:孤児院で育ったので、男の子なら強くなって勇者や騎士になる。女の子なら王子様が迎えに来てくれる。そういう夢を持たないと悲しくなりましたから。


Q:生き返った時はどう思いました?

A:コメットとしても、グーとしても同じでしたね。コーマ様にお礼が言えることへの喜びで胸が満ちました。


Q:コーマの作ったアイテムの中で一番欲しいと思ったものはなんですか?

A:プラチナリングをコーマ様から……いえ、なんでもないです。


Q:好きな食べ物はなんですか?

A:お肉です。


Q:一番怖いものはなんですか?

A:ハンバーグです


Q:お肉が好きなのにハンバーグが怖いというのは、饅頭怖い的な?

A:グーの時に、ハンバーグに襲われそうになってからハンバーグが苦手です。

(カカオ豆の成分は犬にとっては毒ですし、本物のハンバーグの中に入っている玉ねぎが食べられませんが、それ以前の問題です)


Q:最後の質問です。今、幸せですか?

A:はい。今、とても幸せです(120点の笑顔で)。


 ありがとうございました。

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