思い出した秘密兵器
~前回のあらすじ~
クリスの魔法剣が不発に終わった。
「クリス、まだ戦えるか?」
「もちろんです! 私だって、たまには頭を使って戦います!」
よし、普段頭を使っていないことを冷静に分析できているあたり、クリスにはまだ余裕があるな。
でも、クリス、何か作戦があるのか?
「さっきは炎を使って失敗しましたが、今度は考えています!」
そう言って、クリスは炎を避けながら、それの後ろに回った――サランの氷像。
そうか、絶対に溶けないサランの氷像ならばレイシアの炎を防げると思ったのか! 確かに誰でも考えつく手段ではあるが、クリスにしてはよく考えて――
「この氷の力を剣に乗せたらどうでしょうかね?」
不敵に笑ったクリスは、プラチナソードで氷像を突いた。
すると、サランを纏っていた氷がプラチナソードの刀身にまとわりつく。
「……うそっ、クリス、完全状態じゃないとはいえ、私の全力の魔法まで剣に纏わせたの!?」
ルシルが驚きの声をあげる。そして、クリスは氷を纏わせた剣で、飛んでくる炎を叩き切った――てウソだろ、叩き割った炎が氷の礫になってるぞ。炎を凍らせるって本当にルシルの魔法と同じだな。
「ふふふ、これで負ける気がしません!」
「クリス! 後ろだバカっ! 流水剣!」
俺は咄嗟にエクスカリバーを抜き、流水剣で応戦をした。
後ろからクリスに襲い掛かろうとしたサランに対し。
「え?」
「お前、本当にバカだろ! ルシルの氷をその剣に集めたら、サランの封印が解けることくらい理解しろ!」
「あぁぁぁぁぁ、忘れてましたぁぁぁぁっ! すみません、すぐにこの剣で――」
「こっちは俺に任せろ! お前はその剣でレイシアの相手を頼む! でも直接レイシアを斬るなよ、下手したらレイシアが死ぬ」
「死ぬっ!? ……わ、わかりました!」
さて、俺の相手はサランだ。
「珍しくクリスも頭を使ったみたいだし、こっちも頭を使わせてもらうぞ」
といっても、俺の頭というのは、えてして、アイテムを使うってことなんだけどな。
「せいやぁぁぁっ!」
気合を入れ、水を纏ったエクスカリバーでサランを遠くに吹き飛ばす――がサランはくるりと一回転し、天井にへばりつく。
精霊だから上も下も関係ないのか、それとも蜥蜴だからなのかはわからないが、天井を這うその姿は妙に様になっている。
さて、何かあったか?
炎対策、精霊対策のアイテム。
何かないか?
あぁ、もう、こういう時はアイテムバッグの中を整理しておけばよかったと常々思う。
ただの炎ならば、酸素を消せば炎を消せるが、精霊の炎はエネルギーの塊。水の中でさえ燃え続ける可能性がある。
となれば、鉄の箱の中に閉じ込めるとかいう手段も通じない。
「コーマ、もう一度私が封印しようか?」
「あぁ、それしかなさそうだな……」
勢いよく飛び出しておいて、ルシルに頼るのは格好悪いが、そうは言っていられないか。
「頼む……いや、待てよ」
俺はアイテムバッグからあるアイテムを取り出す。
すっかり忘れていたこのアイテムを。
「どうやって使うかしらないが、とりあえず喰らいやがれ!」
俺はそう言うと、アイテムバッグからごつごつした石を投げた。
もちろん、ただの石ではない。
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封霊石【素材】 レア:★×9
精霊すらも封印することができる石。
複数の精霊を封印した場合、その力は融合される。
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……そう、メディナが封印されていた森で発見した封印石を集めて作り出したアイテムだ。
結局使い方がわからないままここまで来たが、サランを封じることができるか。
俺が投げた石はサランの大きく開けた口の中に入っていき――すっぽり収まった。
(食われたぁぁぁぁぁっ!)
おいおいおいおい、【レア:★×9】がこの程度か!
【ぐるるるるるっ】
サランは唸り声をあげると、俺に再度跳びかかってくる。
「流水剣」
くそっ、またこれかっ!
サランの爪が俺に届こうかとした――その時――サランの体が一気に小さくなり――
赤色の水晶球が残った。これは、もしかして火の宝玉か?
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封霊石(壱)【素材】 レア:★×9
一種の精霊を封印している封霊石。
複数の精霊を封印した場合、その力は融合される。
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いや、違った。見た目は似ているが違う。
よし、これならレイシアに融合しているサランも封印できるんじゃないか?
いや、ダメだ。今はレイシアとサランは完全に融合している状態。
これを使えばサランだけではなくレイシアまで封印してしまう。
「クリス! こっちは片付いた! お前は……って、何やってるんだぁぁぁっ!」
クリスのプラチナソードに、炎と氷の両方がまとわりついて、何か暴走していた。
夏風邪を引きました。
喉が痛い。




