クリスVSレイシア 一回戦
~前回のあらすじ~
レイシアとクリスが戦うことになった。
クリスとレイシアの戦いがはじまった。
クリスが使う武器は炎の剣――ではなくプラチナソードだ。
確かに炎の精霊と同化した相手に、炎の剣を使うのは得策ではないが、プラチナソードでなんとかなるものなのか?
いや、今はクリスを信じ、あいつが時間を稼いでいる間に突破口を作らないと。
「ルシル、さっきみたいにレイシアを凍らせることはできないのか?」
「五分五分ね。炎の魔力がさっきとは桁違いだけど……でも……仮に凍らせることができた場合、人間のほうは死ぬと思うわよ」
「……ぐっ」
アルジェラの時は、彼女の魂を死者の杯に封じることで分離させることができた。
正直、アルジェラの時も大きな賭けだった。
そもそも、魂を封印するには、魂の強い力が必要だ。ゴーリキの忠義の心、コメットちゃんの愛情、そして、アルジェラのグルースへの依存。だが、ここまで精神が壊れてしまった彼女を殺した時、果たして彼女の魂を魂の杯の中に封印できるかわからない。
レイシアが次々と炎をクリスに向かって放つ。
クリスはさっきからその攻撃を躱している。明らかに防戦一方だ。
やっぱり俺が変わったほうが――いや、クリスは何か考えがあるって言っていたし、今のところ全ての攻撃を見事に躱している。
「そうだ、あれだけ炎でバンバン攻撃しているのなら、MP切れで動けなくなるんじゃ」
「精霊ってそもそも存在自体が魔力の塊みたいなものだから、具体的に言うと、一回の攻撃でMPを2000消費するとして、MPは少なくとも一千万はあるでしょうから、5千回は撃てるわね」
「……5千回か……一秒間に3発くらい撃ってきてるから、30分くらい防げばMP切れになるのか」
「自然にMP回復することを忘れてない? 一秒間にMP1万は回復するんじゃないかしら?」
……MP切れに期待するのは無理か。
いや、そもそもMP切れそうになったら攻撃方法を変えてくる可能性だってあるしな。
って、本当に攻撃方法を変えてきた。
MPを節約するんじゃなく、MPを一気に放出する形で。
無数の炎の球がレイシアの前に現れたのだ。
あれは避けれないぞ――っ!
助けに行こうとした俺の服をルシルが掴んだ。
「コーマ、大丈夫よ」
ルシルは自信満々の笑顔で言った。
「あの子の目は死んでいない」
それはどういう――と俺の助けが遅れ、火の球がクリスを襲った。
だが――
「これを待っていました!」
その時、クリスの剣が火の球を一気に薙いだ。
そして、彼女の剣を炎が覆った。
魔法剣――クリスのスキルだ。
クリスの魔法剣のスキルレベルが上がったとは聞いていたが――あいつ、あんな強大な炎まで自分の力にするほどにまでなっていたのか。
確か、ユーリと戦っていた時は、魔法剣レベル3だったが……今は魔法剣レベル7になっている。
「私はコーマさんと一緒にいるために、対魔法用の魔法剣を鍛えに鍛えたんです」
「ちなみに、私もかなり協力させてもらったわ」
ルシルが「ふふん」と自慢げに胸を張った。
なるほどな、ルシルが「あの子の目は死んでない」とか言ったのは、これを知っていたからか。
「そして、レイシアちゃん、覚悟してください! あなたの最高の技をそのまま返してあげますから!」
クリスはそう言うと、剣を振るった。
先ほどの炎の球の数十倍の威力の巨大な球がレイシアを襲う――が――
レイシアの胸が光ったと思いきや、その炎が光の中に吸い込まれていった。
そして、炎は消え、平然と立つレイシアだけが残っていた。
「あれ? 全然効いていません」
「バカクリス! 炎の精霊に炎の攻撃が効くわけないでしょ!」
ルシルが叫んだ。
「あ、そうでした! すっかり忘れていました!」
クリスは涙目になりながら、さらに勢いを増した炎の球を避けたり切ったりしていく。
……でも、今、レイシアが炎にの球に飲み込まれたとき――見えた気がする。
レイシアの弱点が。




