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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

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砂漠の真ん中で

 燦々と照り付ける太陽の光が、今は憎らしい。靴の中に入った砂がちくちくする。

 熱気で歪む景色を見ていると、汗が雫となり、目蓋の内側に入り込み、さらに視界を歪ませる。

 ざく、ざくと歩くたびに音を立てて沈む砂の大地。


 俺たちは、今、砂丘のど真ん中にいた。


「コーマ、耐熱ポーションちょうだい。効果がきれたの」


 俺の背中に背負った竹籠の中で、日傘を差したルシルが我儘を言う。

 俺は無言でアイテムバッグから耐熱ポーションを取り出し、後ろに手を回した。


「ありがとう……これ、不味いから嫌いなのよね」


 ……俺はルシルのことを世界一大事に思っているし、彼女のためなら死んでもいいと思っているが、この時ばかりは殺意を覚えた。


 耐熱ポーションを飲むルシルのぐびぐびという音をBGMに、俺は麦茶を飲む。

 耐熱ポーションはもうない。最初はクリスと三人で1本ずつ飲んだが、5本しか用意していなかったため、効果が切れてからは俺とクリスは我慢して歩いている。


「……こ、コーマさん、あそこに綺麗な川が見えますよ」

「クリス、それは恐らく蜃気楼だ。俺には川なんて見えない」

「えぇ、見えますよ。ほら、川の向こうで死んだはずのお父さんが手を振って」

「それは渡っちゃいけない川だ! 戻ってこい!」


 俺は麦茶をクリスにぶっかけた。ここで限界かもしれない。

 アイテムバッグから、あるアイテムを取り出す。


……………………………………………………

ビーチパラソル【雑貨】 レア:★×3


海岸で肌を焼きたくないときに使う傘。

荷物を置くときや、場所取りにも使える一品。

……………………………………………………


 ビーチパラソルを突き立て、その下にクリスを寝かせ、


水障壁ウォーターバリア!」


 と水魔法を使って、水の壁を作り出して、そこにもたれかかる。

 冷たくて気持ちよかったのは、最初の数十秒だった。すぐにぬるくなり、そしてお湯に変わる。

 

 魔法を解除すると、魔法によって生み出された水は重力に従うように砂の上に広がり、吸い込まれていくように消えていった。


「……くそっ、塔の中に入ったはずなのに、なんで俺たちは砂漠の中にいるんだよ……でも、ここが迷宮なのは確かなんだよな」


 魔物の気配を感じ、俺は前方を見つめる。

 そこにいたのは、巨大な赤いサソリだった。

 サソリは俺たちを見つけると八本の足を動かしてこちらに向かって近づいて来た。


 俺はエクスカリバーを鞘から抜いて突撃した。

 尻尾をこちらに向けてくるが、俺のエクスカリバーが全てを一刀両断。


 真っ二つになったサソリは、俺の腕二本分くらいはある鋏と、毒の詰まった尻尾、そして魔石を落とした。

 全てをアイテムバッグに入れながら、再確認する。

 そう、このサソリは魔石を落としたのだ。

 魔石は迷宮の中の魔物しか落とさない、つまりここは迷宮の中である。


 にもかかわらず、空は青く澄み渡っている。天井がない。

 俺とクリスは出口を探して走り回った。ちなみに、力の神薬をほとんど飲んでいないルシルは俺が背負っている籠の中でずっと寛いでいたが。

 今も俺が用意した椅子に座って、クリームソーダを飲んでるし。

 ……いや、俺が甘やかしているんだけどさ。

 俺が全部悪いんだけどさ。

 なんで教育法を間違えた親のような悩みを、この砂漠のど真ん中でしないといけないんだよ。


「くそっ、何かいい方法はないか……ルシル、お前の魔法でなんとかならないか?」

「なんとかならないかって、何をしたらいいの?」

「もう一瞬にして次の階層に行けるような魔法とか」

「そんな魔法ないわよ。一度でも行けば転移できるけど、さすがに何の手がかりもないのに転移できるわけないでしょ」

 そうだよな。

 ベリアルの奴も、俺より先に入ったはずなのにどこにもいないし。


 あぁ、くそっ。

 俺はビーチパラソルの下に戻り、水を一杯飲む。


「ねぇ、コーマ。一度帰ってスライムを呼んできて、あたりを調査させるのはどうかしら?」

「それも考えたんだけどな、あのサソリとか結構強いんだよ。俺やクリスなら楽勝だけど、スライムだと危ないかもしれないし。はぁ……精霊の宝玉がなかったらとっととここから帰るのに……」

「え? コーマって神子を助けるためにここに来たんじゃないの?」

「もしも神子を助けるためだけだったらお前を巻きこんだりしないよ。俺とお前の目標はあくまでも72財宝を集めることだからな……あぁ、そうか……」


 俺はクリスの頬をペチペチと叩く。


「う……ん、ダメです……もう少し寝かせて」

「早く起きないと借金を増やす」

「起きました! って、なんで借金の額がコーマさんのさじ加減なんですか!」


 クリスが文句を言うが、俺はそれを無視する。


「クリス、今すぐ炎の剣を使え」

「え? なんでですか?」

「クリスの剣には火の精霊サランの分身が宿ってるんだろ? サランなら、レイシアや火の宝玉の場所がわかるんじゃないか?」

「あ、それです! さすがコーマさん!」


 クリスが赤い刀身の剣を構える。

 すると、彼女の剣から炎が出て来て、それは人の形になる。

 サランの姿になった。

 と思ったら、


 サランの姿がさらに変形していき、巨大なトカゲの姿になり、大きな口を開けた。


「ね、ねぇ、コーマ、このトカゲ、なんかやる気満々みたいなんだけど」

「奇遇だな、ルシル。俺もそんな気がするんだが――」


 直後、巨大なトカゲの口から炎の牙が現れて、クリスに襲い掛かった。

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