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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

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突入!

~前回のあらすじ~

ルシルを呼んでクリスの魂を捕まえた。

 魂が残っていたのは、約2割の人間だった。魂の入れ違いがないように、魂は可視状態にして、虫かごの中に入れて魂の持ち主の横に置いた。そのうち、俺が魂を戻したのは、クリスとサクヤのみだ。


 意識を取り戻したクリスがベリアルと出くわしたときの驚き様は、ベリアルを大きく喜ばした。俺のようにビビッて動かなくなるのかと思ったら、いきなり剣を抜いて斬りかかったのだから。

「私が倒せるとしたら不意をついた一撃だけだと思ったんです」

 とクリスが言った。だが、その一撃もベリアルは余裕で受け止めてられて、

「いいねぇ、その殺気、俺様の好みだ。もう少し強くなったら戦ってやるぜ」

 と言わせるだけになった。

 ……ベリアル、俺とは戦えないがクリスとは戦うことができるのだろうか?

 まぁ、今すぐ戦う気がないのは救いである。


「これはどういうことだ、コーマ。一体、何が起こっている。そして、そいつらは誰だ?」


 クリスよりもサクヤのほうが混乱しているようだ。まぁ、クリスはすでに考えることを放棄しているだけなのだが。


「俺にもわからない。ただ、さっき、光の柱が天に伸びたと思ったら、魂が抜けてしまったらしい。俺は幸い外にいたから助かったので、とりあえず、魂の専門家であるこいつを呼んだわけだ」


 俺はそう言ってルシルの頭にポンと手を置いた。タラはルシルの護衛であると紹介、そしてベリアルは……あいつとの関係はよくわからないが、今のところ敵じゃないと説明しておいた。


「私がいなかったら魂が抜けたまま廃人になっていたところよ。感謝しなさい」

「……それは、礼を言わせてもらおう。それで、シルフィア様はどうした? どこにいる?」

「それは……」


 俺は、サクヤに、シルフィア達がいると思われる部屋を案内。サクヤが言うには降神の間という名前の、教皇が神と語らう場所らしい。

 どうしても入れないことを見てもらった。


 サクヤも扉を壊そうとしたのだが、やはりびくともしない。


「くっ……一体どうすれば」


 サクヤが膝をつき、石床に拳を叩きつけた。主を守れない悔しさがこみ上げたのだろう。

 俺もどうしたらいいのか全く分からない。

 いっそのこと、建物が壊れるのを覚悟して、大規模な攻撃をしてみるか……そう思ったら、


「……これは迷宮化してるわね」

「迷宮化?」

「そうよ。迷宮の壁と同じ強度になっているわ。迷宮化している以上、入口がどこかにあるはずよ。手分けして探しましょ」

「そうか、わかった。コーマ、魂は私とクリス殿以外にもまだあるのだろ? まずはその者たちに魂を戻し、協力してもらわないか?」

「いや、ダメだ。ここにいるのは多かれ少なかれ、西大陸の重要人物なんだろ? そのうちの八割の人間の魂が抜け、国の代表の神子が行方不明になっていると知られたら何が起こるかわからない。今でこそ平和に向かって歩き出していたが、つい最近までは戦争をしていた間柄、禍根が残っている状態だからな、下手したらトップ不在のまま新たな戦争がはじまるかもしれん」

「……それもそうだな。だが、時間はあまりないぞ」

「わかっているよ……だからこっちもなりふり構っていられないな」


 今日一日、神子が外に戻らないと知られたら、ここで何かが起こったくらい誰でもわかるだろう。

 ここは空飛ぶ孤島なのはこの場合、幸いだな。


 となれば、まずは入口を探さないとな。

 でも、周辺の壁や床、天井は調べたんだけど、それらしいものはなかった。


「あぁ、もう、七めんどくせぇ、ようは迷宮の壁をぶち壊せばいいわけだろ? なら俺様がぶっ壊してやるよ」


 すると、ベリアルの体が変化し始めた。

 こいつ、まさか――


 ベリアルの体が徐々に大きくなっていく。着ていた服が破れ、全身を金色の毛に纏わせた。

 獣化――俺の竜化と同じベリアルの切り札。


「喰らいやがれ!」


 ベリアルの拳が

 壁の向こうには虚無が広がっていた。


「よし、これでいいな。じゃあ、俺様は先に行くぞ」


 ベリアルは人間の姿に戻ると、上半身裸のまま虚空の中に入っていく。

 俺たちも後に続くか。


「サクヤはここにいてくれ。一日経っても俺たちが戻らなかったら……その時は任せた」

「待て、私もともに――」

「いや、サクヤとタラはここにいて、正規の入り口を探してくれ。この先が本当にシルフィア達がいるという保証はない。もしかしたら全く別の場所に通じているかもしれないからな。それに、援軍を頼んでいる」

「主、無茶はしないでください」

「わかってるよ、タラ。この状況はコメットちゃんに伝えておいてくれ。いつでも出陣できる準備を頼む」


 俺はタラにそう言うと、


「クリス、ルシル、まずは俺が行く。安全が確認できたら通信イヤリングで――」

「私も一緒に行きますよ、コーマさん。あの時みたいに一人でどこかに行かれたら困ります」

「そうね、あの時のように待ってるだけは私も御免だわ。それに壁も修復がはじまってるからコーマの連絡なんて待ってられないわ」

「え、何言ってるんだ、わざわざ三人で一緒に入る必要なんて――」

「「問答無用よ(です)!」」


 クリスとルシルはそう言うと、俺の両手を引っ張り――三人揃って虚空へと吸い込まれていった。

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