表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11.5 塔の迷宮・後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

436/742

プロローグ

新章スタート……ですが、

【前章のあらすじ】

六カ国全ての神子と会い、戦争を終わらせたコーマ。

ようやく西大陸の全ての国が同盟を結び、平和に向かって歩き出すと思ったその時、巨大な光の柱が出現した。

 光の柱が天へと上ったと思ったら、それは霧散するように消え去った。

 そして、空には何事もなかったように雲が静かに流れているだけで、何の変化もない。


「……どうなったんだ? 失敗したのか?」

 今すぐ建物の中に戻りたいと思った。

 中に残っているクリスやサクヤ、神子のみんなが心配だ。

 だが、中から声が聞こえないことに鑑みてみれば、今のところ大きな騒ぎに結びついていないと思う。

 それなら、ここで情報を手に入れることを優先したほうがいい、ということもあるが、単純にベリアルに背中を向けるのが怖かった。

「見えなくなっただけだ。コーマ、覚えているか? 俺様とお前が戦った時のことだ。俺もお前も、破っただろ、次元の壁って奴を」

「次元の……壁」

 俺は呟くように言った。

 次元の壁を破ったのは三回。

 一度目は、ルシルの転移魔法によってベリアルを飛ばしたとき。こいつは転移されることを抵抗し、次元の割れ目から現れてルシルに傷つけた。今はこうして平然と話しているように見えるが、あの時のことを思い出すと今でも腸煮えくり返る思いだ。

「お、いい殺気だな。戦えないのが残念だ」

 と茶化すように言ってきた。くそっ。

 そして、二度目、俺の中の封印が解けたとき、暴走した俺がベリアルをやっつけたとき。ベリアルを倒したと思っていたが、この様子を見ると、次元の壁の向こうとやらに飛ばされたのだろう。

 そして、三度目もまた暴走した俺によるものだ。あの力により、俺は次元の壁とやらを突き抜け、気が付いたらアークラーンの山の中で、記憶を失っていた。

 俺が思い出すと、

「あれと同じだ」

 と言った。

「待ってくれ、ベリアル。俺は次元の壁を確かに破ったと思うが、でもあれとは別だろ? あれは転移魔法による空間にねじ込んだだけじゃないのか? 異世界の次元とは全く違うだろ?

 俺は気が付いたら全く違う場所にいたから、てっきりそうだと思っていたんだが。

「あぁ、それは転移魔法っていうのが……なんだったかな。グ――あいつが言っていたんだが、難しいことはわからんな」

 こいつに難しいことを聞くのは無駄ということか。

 でも、わかったことはある。


 六つの鍵が揃って塔が現れた。

 塔は異世界に通じている。

 このままだと天使が現れる。


「それにしても、バベルの塔か……」


 塔の名前を思い出し、俺は言った。

 たしか、俺の世界にもそんな名前の塔を作る神話があったような気がするんだよな。

 くそっ、勉強不足でわからない。


「とりあえず、シルフィアたちに相談するか……あぁ、でももう同盟の会議がはじまっているかもしれないな」

「はじまってるわけないだろ。おそらく、ほとんどの奴らは二本の足で立っていられない状態だろうからよ」

「――え?」

「俺様は耳がいいからよ、わかるんだよな。中の奴らの心音がかなり弱いからな」


 俺はそれを聞いて、ベリアルに背を向け走り出した。

 建物の中に入る。


 そして、俺が見たのは、倒れている人々だった。そして、その奥に――彼女がいた。

「クリスっ!」

 クリスが倒れていた。そんな、体力と胸の大きさだけが取り柄のバカまで倒れているなんて。

 口に手を当てる。呼吸はしているようだが、意識はない。

「魂が抜けているんだろうな」

「魂が?」

「……あぁ、引き寄せられているんだろうよ、塔の向こう側に。天地逆転しているわけか」

「天地逆転? よくわからないが、俺たちは外にいたから平気だったってことか」

 尋ねながらアイテムバッグからエリクシールを取り出す。

 これなら、治るんじゃないかと思って。

「いや、あの塔の効果は湖全体に広がっていた。そもそも、この湖は塔を作るために作られたみたいだからな」

「……じゃあ、なんで俺たちは無事なんだ? 魔王だからか?」

「……知らん!」

 ベリアルはそう言い切った。

 くそっ、肝心なところでこいつは……。

 そう思いながら、エリクシールを一滴、クリスに垂らす。

 クリスの頬に零れ落ちたエリクシールは、彼女の顏に染み込むように吸い込まれていくが……彼女の表情に変化はない。

 やはり魂の再生は無理か……いや、ルシルならば……あの時コメットちゃんの魂を見つけ出したあいつならもしかしたら。

「ベリアル、さっき言っていた天地逆転ってのは今も続いているのか?」

「ん? いや、塔が見えなくなったと同時にそれも消えたな。あれは空間が繋がったときの反動みたいなもんだからよ」

 そうか……。辺りを見回すと、俺たち以外、動くものがまったく見当たらない。

 サクヤたちも気になるが、まずはやっぱりあいつに相談か……と俺は通信イヤリングを手に取った。

本編再スタートです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ