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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra02 笑顔の値段(メイベル外伝)

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閑話 安全祈願

 フリーマーケットに、今日もコーマ様は様々なものを仕入れて下さいました。

「コーマ様、なんですか? これ?」

 コーマ様が持ってきたのは、様々な形の平たい木でした。特徴としては、いろいろな形に曲がっている板です。

 ……ハンガーでしょうか?

「これは棍棒の一種なんだ」

「これが棍棒ですか?」

 棍棒といったら、殴打用の武器ですよね?

 これで殴るのでしょうか……まぁ、持てないことはないですが。

 掴み心地は悪くないのですが、でも殴る武器と言われてもいまいちピンときません。

「そうだな、ここで使うにはちょっと狭いか。屋上に行けばわかりやすいが、時間はあるか?」

「は、はい!」

 屋上とは、フリーマーケットの従業員寮の屋上のことです。

 貯水タンクがあるだけではなく、家庭菜園もしている従業員の憩いの場です。

 といっても、一番の憩いの場は2階のリラクゼーションルームですが。あのお風呂はもう最強です。リンスにシャンプー、石鹸、そして化粧水……そうです、あの化粧水は最強です。もう、あれを使ったらこの店から離れられないというくらいに。

 もしかして、従業員のみんなが残ったのは、オーナーへの恩返しが理由ではなく、この従業員寮の生活から抜けられなくなったからかもしれません。

 私はそう思いながら、階段を駆け上がりました。

「コーマ様、お待たせしました」

 コーマ様はすでに屋上で待っていました。

「あの、この従業員寮はコーマ様が建てたのですから、コーマ様は別に普通に階段を使っていいと思うのですが」

「いやいや、二階より上が、男性の立ち入りを禁止場所に設定したのは俺だからな。さすがに言い出しっぺの俺が破るのはよくないだろ。あ、屋上はセーフな! 建物の外だし」

「……建物の壁をコーマ様がよじ登る姿を、誰かに見られたくないだけです」

 ここが女性しかいないことは、知っている人は知っていますからね。そこの壁を登る若い男性……冒険者ギルドに通報されていないでしょうか?

「あぁ、それは大丈夫だろ。よじ登ってないし」

「え?」

「一回ジャンプしただけだから」

「ジャンプって……ここまで跳んだんですか?」

「あぁ。クリスもこれくらいは跳び越えることできるぞ」

「クリスさんも……」


 ……これが勇者とその従者の力なんでしょうか? だとしたら、私は永遠にそんな仕事はできませんね。


「それで、コーマ様、ここで何をなさるんですか?」

「ん? あぁ、ちょっと見せようと思ってな。これの使い方を――」


 コーマ様はそう言うと、その変わった形の棍棒を投げたのです。


「コーマ様、何をっ!?」


 大変です。木の板とはいえ、しっかりとした重さのあるもの、人にぶつかったら大変です。

 そう思ったら……


「あれ?」


 その棍棒は綺麗な孤を描いて綺麗に戻ってきて、コーマ様の手に収まりました。


「これはブーメランっていう名前でな、扱うのは結構難しいが、道具を使わない飛び道具の中での滞空時間はなかなかのだし、動き方も独特だからな、慣れたら結構いい武器になる。一応、金属製のものとか、いろいろな形の武器も用意したんだが、でも受け損ねたら自分を傷つける恐れがあるし、迷宮の中は狭すぎて使えないだろうが。うーん、とりあえず、スーあたりに売ってみて様子を見るか」

「スー様は器用ですからね。変わった武器が好きな方ですから、試しに購入なさると思います」

「だな。俺の国じゃ、子供の玩具だったのに、まさかここまで威力のある武器だとは思わなかったよ」

「玩具だったのですか? このブーメランが?」


 私は金属の刃のついたブーメランを見て驚愕しました。

 どう見ても子供が扱うようなものではありません。


「あぁ、俺の世界ではな。結構面白いけど、なかなか手元に戻ってこなくてな。メイベルは使わない方がいいぞ」

「使いません」

「あ、でも店に飾るのはいいと思うぞ。ある国ではこれはシンボルに使われていてな。手元に戻ってくる武器だから『またおいで下さい』とか、旅に出る人には『安全に戻ってきてください』という意味で使われるようになってな」

「安全に戻ってきてください……ですか」

 私はブーメランを見て、小さく呟きました。

 コーマ様の故郷の国がどこなのかはまったくわかりませんが気にしたらいけないような気分になったので尋ねませんでした。


 そして――


   ※※※


「ねぇ、店長さん。あれは売ってないの?」

 勇者のスー様が尋ねました。


 ブーメランを一度購入なさったスー様はブーメランを見て気に入ってしまい、店中にあるブーメランを買い、妹のシー様と一緒に様々な用途に使っているそうです。


 そのスー様が見つけたのは、店の入り口の目立たない場所に置かれた木のブーメランです。

「すみません、スー様。あれは売り物ではないんです。一種のお守りのようなものでして」

 私はその意味を説明すると、スー様は納得するように頷きました。


 私は今日もブーメランに御祈りをします。

 お客様がまたいらっしゃるように。

 そして、コーマ様が安全に帰ってきますように……と。


すみません、やっぱり本編はじめられませんでした。

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