武具と薬の性能
時折思います。このままでいいのかと。
「ねぇ、店長さん、この商品ってプラチナですよね? どうやって加工しているんですか?」
「申し訳ありません、仕入れ先の事情は私にもわかりかねます」
「そこの店員さん、聞きたいんだけど、この解呪ポーションの材料って何が使われているんだい?」
「申し訳ありません、錬金術師のレシピは公開してはいけない決まりになっていますので」
と、まぁ、こういう対応になるわけですが、本当のところ、何もわからないんですよね。
コーマ様の持ってこられる白金の装備、高純度の白金の入手法も、それをどうやって鍛えているのかもわかりません。
本当にわかりません。
リュークさんの店で白金鉱石を大量に買っていく客がいると、エリックさんが話していて、その特徴がそのままコーマ様なのですが、わからないったらわかりません。
コーマ様が持ってこられる薬の出どころも不明です。
「作りすぎ……じゃなくて貰いすぎちゃってな。悪いが店で売ってくれ」
と、少し疲れた様子で私に薬を渡してくださいます。
失言ぽい台詞が聞こえたりしますが、明確には言っていないので、私は何もわからないんです。
そのため、私は商品の出どころがわからないのですが、これだけ高品質の商品だと、お客様が探りを入れてきます。
どこから仕入れているのか? もっと安く買える場所があるのではないか? フリーマーケットと同じように大きな儲けを出すことができないか?
私だけではなく、リーやファンシー、コメットちゃんにまで探りはきます。
何か対策を考えないといけませんね。
ということで、営業時間終了後、私たちは食堂に集まって会議を行いました。
議題はもちろん、商品の入手経路や作成方法の秘匿方法についてです。
「といっても、うちらは何も知らないんやから、秘匿方法もなにもあらへんけどな」
リーの言うことはもっともです。
「そうですね、そっちの心配はしていないのですが、オーナーが仕入れた商品とは別の、他の商品を仕入れしているお店にまで迷惑がかかる可能性もありますし、何か対策を練らないといけません」
「一番簡単なのは、バレない嘘をつくのが一番なんですけど……」
ファンシーは歯切れの悪い口調で言います。
「もちろん、それはできません。店の信用問題にかかわります」
ファンシーも私がそれを許さないことは知っていました。ただ、案として出したのでしょう。
「あの、仕入れ先はオーナーしか知らないと正直に言ってはどうでしょうか?」
「コメットちゃん、オーナーはあまり前に出るのが好きじゃないのよ。自分の事を探られるのも。そんなことをしたらオーナーに迷惑になりますから、それはダメです」
私が言うと、三人の表情が変わった。
三人はコーマ様がオーナーだということは知りませんが、オーナーに恩義を感じているのは私と同じです。
「一番は、オーナーが仕入れる武器や道具、薬と同じ品質のものを別の場所から仕入れることができたらいいのですよ。そして、そこを紹介すれば、私たちはウソをついたことにはなりませんから」
「……同じ品質の物……そうですね、それはいいですね」
でも……コーマ様が持ってくる商品と同じ品質のものを扱う店があるのでしょうか?
それだけが問題です。
※※※
その日、私は店をリーとファンシーに任せ、コメットちゃんとラビスシティーの店を見て回ることにしました。
ラビスシティーはとても狭い町ですが、店の数はとても多いです。しかも入れ替わりも激しく、中には冒険者ギルドや商会ギルドですら把握できていないダーティーな店まであります。
まずは大通りの店を見て回ります。
ラビスシティーは、世界一冒険者の集まる町ですからね。
大通りの武器屋でもその武器の性能は他の国のトップクラスの武器屋にも引けは取りません。西大陸のドワーフ自治領には劣りますが、一流の鍛冶師が集まる場所でもあります。もっとも、近年はその鍛冶師ギルドの実力の低迷が問題になっていますが。
武具の店に行き、私は剣と盾を見ていきます。
「どうだい? メイベルちゃん、うちの武具は」
武具店の店主さんが私を見て声をかけてくださいました。
今の店の前、私が奴隷になる前に薬を売っていたとき、冒険者用に薬を卸していたこともあり、私とは見知った中です。
「はい、相変わらず、いい武器ですね」
「ははは、正直に言ってくれてもいいんだぞ。メイベルちゃんの店のプラチナ製の装備に比べたらうちの商品はまだまだだよ」
そうなんです。この店の武器は本当にいいものが多いのですが、コーマ様が持ってくる武器に比べたら見劣りはします。
それは素材だけの問題ではない。決定的な鍛冶師としての腕の違いがあるのです。
想像はしていましたが、コーマ様が仕入れてくる武具と同じレベルのものを探すという作業はかなり難航しそうです。




