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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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エピローグ

 そう簡単に死ぬ奴ではないとは思っていたが……なんの準備もできていないままこいつと出会ってしまったことに後悔する。

 まずはルシルに連絡を取り、竜化二段階まで解放してもらおう。下手すればこの聖地に多大な損害を与えることになるかもしれないが、こいつがいたら下手したらここにいる人全員が皆殺しになる。

 俺が通信イヤリングに手を持って行こうとすると、ベリアルが大きなため息をついた。


「せっかく追い求めていたお前に会えたっていうのに、戦うこともできないとは、俺もついてねぇぜ」


 ベリアルは自分の手についた血を舐めながら恨めしそうに俺を見てきた。


「戦うことができない?」

「あぁ、実はよっ、グリュっ……ぐはっ」


 ベリアルは急にうめいたと思うと、口から吐血した。


「……ちっ、そうだったな。今の俺様は心臓を握られていて、その心臓を握ってる奴が禁止していることをしたら最悪死んじまうらしいんだ。参ったよな。なぁ、お前の……何と言ったか、変な薬でなんとかならないか? 楽しい戦いを約束するぞ」

「全くわからん。だが、そんな薬があってもなくても断る……ほら、とりあえず水でも飲んでおけよ……はぁ」


 足元にある見張りの兵の遺体を見て、俺は手を合わせるとそれをアイテムバッグの中に入れた。

 ここで下手に騒ぎになって、ベリアルの存在がばれるほうが厄介だ。

 こいつは俺と戦うことは禁止されているようなことを言っていたが、殺しができないとは言っていない。実際、こいつによってこの見張りの男は殺されているのだから。


 殺していい相手と悪い相手を決められていると思った方がいいだろう。

 そして、おそらく大半の人間は、殺してもいい相手だ。


「なぁ、ベリアル、答えられることだけ答えてくれ。これをやるからよ」

「あぁ、いいぜ」


 俺がウォッカの瓶をアイテムバッグから取り出すと、ベリアルは快諾して一気に飲んだ。

 酒の匂いが場に充満する。


「どうやってここに来たんだ? 内通者でもいるのか?」

「あぁ、それは簡単だ。そこから、ここまで跳んだんだ」


 そう言って指差したのは、遥かかなたの湖岸。

 うん、それは納得だ。今の俺は無理だが、竜化第一段階の状態で力の妙薬を飲んだら、俺でも跳んでこれる。

 それを見張りの男に見られて殺したのか。それこそ叫ぶ間もなく。

 後で必ず埋葬してやるからな。


「お前はここに何をしに来た?」

「もちろん、俺様が来る理由は戦うためだ。今からこの場所は戦場になるからな」

「……戦場に? まさか、お前、神子の命を狙ってきたのか?」

「神子? あぁ、神子か、あいつらは今のままじゃ戦ってもつまらんだろ」

「じゃあ、誰と戦うっていうんだ?」


 俺が尋ねると、ベリアルは不敵な笑みを浮かべて言った。


「コーマ、知ってるか? 世界はひとつじゃないんだぞ」

「……どういうことだ?」

「世界はな、複数あるんだ。ここよりも上位の世界がな。俺さまも……っと危ねぇ、これは言えないんだったか。ともかく俺様も最近知ったんだがよ」


 俺の心臓が高鳴る。

 ……上位の世界かどうかはわからない。

 だが、ここと違う世界なんて、俺にとってはひとつしかない。

 つまりは、俺が生まれた、地球のあるあの世界しか。


「今から、上位の世界への扉が開かれる。そんなことになったらどうなると思う?」

「どうなるって……」


 想像した。ベリアルみたいなのが地球に現れたらどうなる?

 核兵器で殺せるだろうか?

 いや、仮に地球の軍事兵器がベリアルを殺せたとすると、今度は地球の兵がこっちに攻めてくるんじゃないか?


 それなら、確かにここは戦場になる。

 下手すれば数万人、数十万人の死傷者がでるかもしれない。


 ……いや、そもそも、本当に、本当に――地球への扉を開くことなんてできるのか?

 俺が疑問に思っていると、ベリアルは笑いながら俺に教えてくれた。


「世界の理が崩れる時、現れるのは神の使い、つまりは天使だ。俺はその天使と戦うためにここに来たってわけだ。天使を倒さなければ、世界は滅ぶぞ」


 天使と……戦うだって?

 嘘だろ?

 話が急展開すぎるぞ。


 ベリアルがそう言った時、背後が輝いた。

 輝きは大聖堂の中心から天へと昇っていく。


 光の柱が真っ直ぐ伸びていく。天へと。


「コーマ、見えてるか? あれが世界と世界を繋ぐバベルの塔だ」

「……ベリアル、もうひとつ答えてくれ……」


 俺はさらに鼓動が高鳴る。

 ずっと高鳴りっぱなしで、吐きそうだ。


「なんで、このタイミングで塔が現れた?」


 俺が尋ねると、ベリアルは笑って言った。


「そんなもん、どっかの誰かが塔を蘇らせる鍵を全部集めちまったからだろうよ。六つの鍵をよ――」


 俺はその場に崩れ落ちた。

 俺がいけないのか?

 俺が戦争を終わらせ、六つの宝玉をこの場に集めたのがいけなかったのか?

中途半端な場所ですが、今章はここまで。

次章は、塔の攻略、グリューエルの謎、そしてルシファーに関しても。


でも、その前に、メイベルが主人公の話を1カ月ほど書かせてもらいます。

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