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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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十秒の戦い

~前回のあらすじ~

これは勝てないと思った。

「……やばいな、これ、勝てないわ」


 大切なことなので二度言いました。

 逃げる体制を整える。こいつには絶対に勝てない。


「とみせかけて――雷よっ!」


 俺はアイテムバッグから予備の雷神の杖を取り出して、雷撃を放つ。

 だが――張られた水の盾が俺の雷を防いだ。

 あれだけ塩を盛り込んだのに、もう新たな純水の盾を作り出したっていうのか。


 その間に、俺は考える。

 今までの経験上、水の盾を作っている間は、羽根の攻撃が来ない。

 何か、何か方法がないか。


《殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ》


 あぁ、くそっ! 集中して考えたいときには、この破壊衝動が鬱陶しいな。

 いっそのこと、前みたいに完全に封印を解除――いや、そんなことをしたらディーネを倒せたとしても全てを消し去ってしまう。

 あれを制御できる自信は俺にはない。


 そうだ、相手は水の精霊――となれば水の宝玉を壊せばなんとかなるんじゃないか?

 72財宝を失うのは痛いがなんとか――って、水の宝玉はどこだ?


 俺は目を凝らして水の宝玉を探す――連続で雷撃を放ちながら。

 だが――ない。どこにも。


 その時、通信イヤリングが鳴った。

 ルシルからだ。


『コーマ! 聞こえる!?』


 いつもより大人びたルシルの声が聞こえてきた。


「ああ、聞こえるぞ! 雷よ! 絶賛ピンチ中だ。何かいい話か?」

『水の精霊はどうも湖からかなりの力を得ているみたいなの。湖の水がなくなれば弱体化できるかもしれないわ』

「そうか! よし……ルシル! 湖の水を全部転送できるか? 雷よ!」

「無理よ、全盛期ならともかく――コーマ、なんとかして」


 なんとかしてって、無茶言ってくれる。

 でも、せっかくの情報だ。


「雷よ! ……って使い切ったか」

「作戦会議は終わりましたか?」


 水の盾を消し、大きな白い翼を広げる。

 また羽根が来るのか。


 あの翼の大きさから察するに、先ほどの倍の数が放たれかもしれない。

 しかも、あの羽根は鑑定で見れない以上、恐らくは魔力の塊だろうからな。アイテムクリエイトで別のアイテムに作り替えて再利用しつつ打ち消すなんて真似もできない。厄介な――


「では、行きますよ――」


 ディーネの宣言のもと、無数の羽根が無作為に飛んでくる。

 俺めがけて――なら避けやすいのだがこうも狙わずに飛ばしてくると、いくら躱しても躱しきれないぞ。


風の衣(ウインドカーテン)!』


 その声が突如聞こえてきた。

 ルフラの声だ。


 強力な風の結界が俺を包み込んだ。


『聞こえるか、坊主。その結界の制限時間は十秒で切れる。その代わり、可能な限り強力なものにした』


 十秒――それだけあれば余裕で俺の最後の手段を講じることができる。


「サンキュ、爺さん!」


 俺はそう言うと、前に跳んだ。

 風の結界が羽根を逸らしていくが――いくつかの羽根が風の結界を貫いて俺に襲い掛かる。


 再度激痛が走るが――でもここまで来れば十分だ。


 俺はアイテムバッグから、そのアイテムをできるかぎり沢山取り出す。


「くらいやがれ!」


 俺はアイテムバッグから出したそれの留め金を抜く。

 直後、結界が消え去った。

 そして、俺はそれらを投げようとした。


 だが、それよりも先に無数の羽根が俺の両腕に刺さり、投げようとしたそれらはディーネではなく湖の方に飛んでいった。

 

(……9)


 俺の体が地面に叩きつけられた。


(8……)


 ディーネは攻撃の手を止めて笑った。


(7……)


「もう終わりですか?」

 ディーネが尋ねた。


(6……)

 

「ああ、終わりだよ」


 俺は呟くように言った。


(5……)


「そうですか――ちなみに、これはほんの興味ですが、先ほど投げたのは一体何だったのでしょうか?」


 ディーネの翼から抜けた羽根が剣の形になった。


(4……3……)


 俺は左手をアイテムバッグに入れる。

 が、その左手をディーネの剣が突き刺した。俺の腕に生えた鱗がはじけ飛ぶ。

 俺は笑って言った。


「俺が投げたアイテムが何かききたいか?」


(2……1……)


「ただの爆弾さ! ただし、水の……な!」

……………………………………………………

ウォーターボム【投擲】 レア:★★★★


留め金を抜くと10秒後、大きな水球を発生させ全てを飲み込む。

周囲50メートル以内に近付いてはいけない。

……………………………………………………


(……0!)


 直後、湖に大量の水が溢れだし、それが津波となって俺達に襲い掛かった。

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