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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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HP9億の化け物

 とうとう最後の宝玉かと思うと感慨深く思うが、


「最後の宝玉が胃液塗れかぁ……」


 俺がげんなりした口調でつぶやく。にしても、野球の硬球くらいある宝玉を吐き出すって、大変だよな。

 吐き出す瞬間の顏は忘れてあげないと……写メに撮ってツイッターで拡散でもされたら一生外に出られなくなるくらいの顔だった。


『ウィンディア嬢ちゃんの名誉のために言わせてもらうと、宝玉は胃の中にあったわけではなく、融合状態にあったわけじゃから、胃液塗れってわけじゃないぞ。外に出すというイメージが口の中から出るイメージになったから口の中から出てきたわけじゃ』


 ルフラがフォローをする。まぁ、胃の中にずっと宝玉があったなんてなったら、食事をするときも大変だしな。


「ああ……そうか。外に出すイメージが口からでよかったな。クリスだったらしたから出てくるところを想像していたかもしれないな」

「そんな想像しませんよ!」


 ここぞとばかりにクリスを怒らせながら、俺は再度ウィンディアを見る。


【HP120/120 MP821/821】


 おぉ、操作状態も消えてるし、MPも通常状態に戻ってる。

 これは、今度こそ成功か?


 HPもMPも満タンだし、いずれ目を覚ますだろう。

 ウィンディアを抱き上げて、安全な場所に連れて行き、戦争も終わらせよう。


「よし、終わったな……」


 そう呟いた――その時であった。

 ゾクリと背筋に悪寒が走った。


 振り向くと、ウィンディアの口から出た水が――だんだんと膨らみ、人の姿を取っていく。

 その時、俺が感じていたのは恐怖だった。

 俺は咄嗟にウィンディアをクリスに放り投げた。


 クリスが咄嗟にウィンディアを受け止めるであろうその瞬間を見届ける暇もなく、俺はアイテムバッグから雷神の杖を抜き、


「雷よ!」


 と叫んでいた。

 杖から伸びた雷が天を貫き、雷が空から降ってきた。


 だが――その雷が水の塊に直撃することはなかった。

 水の盾が雷を弾いていたから。


「水で雷を防ぐって……んなバカな」


 水は電気を通す――そんなの常識だろ?


「雷を水で防ぐのはそんなに意外ですか?」


 その声は――今までのウィンディアの声ではなく、男か女かわからない中性的な声だった。

 男か女かも――どちらかといえば女性のような姿になった水の塊は白い髪、白い肌を作り出し、一糸まとわぬ姿でそこにいた。

 男か女かを決める例の部分には何も生えていないし、何も空いていない。

 そして、白い翼を見て、俺はそいつの正体についてある憶測を立てた。


(天使……なのか?)


 天使の姿をした魔王?

 だが――それよりも、俺を混乱させたのは、


【HP900000000/900000000 MP38151823/39800000】


 というそいつの並外れたHPだった。

 HP……9億……だと?


 そんなのありか……と思った次の瞬間、俺はその水の盾によって防がれ、帯電していた雷を見て、


「ルシル、俺の封印を解除してくれ! 今すぐ」


 次の瞬間、帯電していた雷が俺めがけて飛んできた。

 俺に、神の雷が当たる。

 避ける暇すらない。


 すさまじい電撃が体中を駆け巡り――


《殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ》


 その殺意の怨嗟をBGMに俺は前を見据えた。

 ルシルの封印解除があと零コンマ数秒遅ければ、それと雷耐性のスキルがなければ危なかった。

 自分の技で死ぬところだった。


【竜化状態が第二段階になりました】


 スキル、叡智の効果により、システムメッセージが俺の脳裏に流れた。

 破壊衝動抑制率は99%。

 確かに、声は聞こえるが、殺意は俺をほとんど支配していない。


 軽く戦闘意欲が向上しているくらいだ。


「コーマ、大丈夫!?」

「コーマさん、平気ですか?」


 後ろから聞こえるルシルの声が若干大人びている。成長しているのだろうが、その姿を見る余裕はない。


「ふたりはウィンディアをつれて安全な場所に行ってくれ! 頼む!」


 俺はそう叫びながらも、自分の体の調子を確かめる。第二段階であるが、エントと戦った時よりも調子がいい。


 俺も成長しているってことか。

 それでも、目の前の敵に勝てるだろうか?


《殺せ殺せアルモニーを殺せ》


 待て、今なんといった?


 アルモニーを殺せ?

 なんで怨嗟の声がその名を告げる?


 はじめてだ。

 怨嗟の声――破壊衝動が人の名を告げるのは。

 そして、その名前とともに強い力が俺の中に流れ込むのを感じた。


【雷神の杖のスキルを吸収しますか?】


 叡智によるシステムメッセージがそんなことを告げた。

 これは――破壊衝動を完全に抑制したときに流れたスキル吸収の力によるものだ。


 もしかして――破壊衝動が俺にアルモニーを倒させるために力を渡そうとしているのか?

 そんなバカなことが……いや、でもこれは受けておかないといけない。


 YESだ!


【雷神化スキルレベル10を覚えました】

【雷耐性スキルが雷無効スキルになりました】

【雷魔法のレベルが10まで上がりました】


 雷神化?

 それが何かわからない。

 が、雷魔法が増えているのはわかる。


 俺はアイテムバッグから72財宝唯一の使い捨てアイテムと化した一本の杖――ユグドラシルの杖を取り出した。


「さて、第一ラウンドだ! 文字通りその化けの皮を剥いでやるよ! ディーネ!」

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