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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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六つ目の宝玉

~前回のあらすじ~

ディーネの居場所が、ウィンディアの中だとわかった。

 ウィンディアの中にディーネがいる。

 それは十中八九間違いない。

 だが――


「それをわかったところでどうなさるのでしょうか? 私の中に水の精霊――ディーネが本当にいたとして。手を口の中に入れてみますか?」


 とウィンディアは口を小さく開けて、


「それとも、輪切りにでもしてみますか」


 と今度は白い手を伸ばした後、曲げて自分のお腹のかっさばくポーズを見せた。


「できませんよね? あなたの戦い方を見ていたらわかります。あなたは甘すぎます」


 再度、ウィンディアが手をかざすと、湖面に張っていた氷が割れ、そこから再び大量の剣が現れた。

 分身と違い、MPの消費は少ない。


 たしかに、このままだとジリ貧だ。


 何かないか? ウィンディアからディーネを引きずり出す方法が。


「コーマさん、前にフリーマーケットで売っていた薬があるんですが、あれが有効なのではないでしょうか?」


 突然、クリスが何かに閃いたように言う。


「どんな薬だ?」


 クリスはバカだが、時々常人には考えもつかないアイデアを出すことがある。

 ここは藁にも縋る気持ちでクリスの考えを聞いた。


「はい、腹下しの薬を飲ませれば、全部出ていくんじゃないでしょうか?」

「……よし、黙っていようか」


 やっぱりクリスに期待した俺が悪かった。

 んなもんが効果あるわけないだろ。


 まったく――でも毒は有効かもしれない。

 ただ、普通の毒だと無駄だ。下手したらウィンディアを傷つけるだけかもしれない。


 ルシル料理ならもしかしたら――とも思ったが、俺がとっておいたルシル料理はグルースに食わせてしまった。

 そして、今、ルシルにあらたな料理を作らせようものなら、間違いなくその料理は俺を襲う。

 ルシルが料理を食べてほしいのは俺なのだから。


 ……自惚れじゃない、ただの不幸だ。


「コーマさん、剣が来ます!」


 黙ってろと言ったのにクリスが叫んだ。


「ルシル、俺の後ろから離れるなよ!」

「わかったわ」


 俺のエクスカリバーが、クリスの炎の剣とプラチナソードが、水の剣を弾き飛ばしていく。

 それでも、活路が見いだせない。

 何か――何かいい方法がないか。


 肩越しにルシルを見る。彼女はじっとこっちを見ていた。風の宝玉を抱いて。

 俺に完全に任せているようだ。

 そうだよな、考えるのはいつだって俺の役目だ。


「くそっ、邪魔だぁぁぁぁっ!」


 俺が剣を思いっきり振るい、何本もの水の剣を斬ってただの水の塊へと変える。

 だが、そうしている間にも次々に水の剣は出現している。


「…………っ!」


 俺は再度ルシルを見た。

 相変わらず、ルシルは風の宝玉を抱いているが――なぜ、風の宝玉がここにある?

 決まっている、アクアマリンの偽物が持っていたんだ。

 なら、何故アクアマリンの偽物は風の宝玉を持っていたんだ?

 水の宝玉の代わりに持たせていた?

 そんなわけない。水の宝玉の代わりに風の宝玉を持っているところを誰かに見られたらそれこそ大問題だ。

 色が違うのだから、一目見たらそれが水の宝玉ではないことくらいわかるだろ。


 恐れているのだ。

 ウィンディアは――いや、ディーネは風の精霊を。


 となれば――


 俺の中にひとつの勝機が見出された。


「クリス! 少しの間ルシルを守ってやってくれ!」

「わかりました! サランさん!」


 クリスの炎の剣から、炎の帯が鞭のように伸びた。


『凄いことになってるね』


 サランの声とともに、炎の剣から伸びた鞭が、なんと七本に増え、次々と水の剣を打ち砕いていく。


「これは――炎の精霊サラン……炎の神子の資質があるようですね。時が時なら、歴代最強の炎の神子になれたかもしれないほどの力を感じます」


 ウィンディアの言葉にはまだ余裕がある。

 だが――


「その軽口を俺が黙らせてやるよ」


 俺が拳を握った。

 ウィンディアの前に水の盾が現れるが、俺はその水の盾を拳で砕き、ウィンディアの口の中に俺の拳を押し込んだ。


「コーマさん! 手を押し込んで無理やり水の精霊を引きずり出すんですか?」


 クリスが叫ぶが、


「そんなわけないだろう!」


 と俺は拳を出し、唾液塗れの手を拭いた。


「な――これは?」

「どうだ? 旨いか? 旨いに決まってるよな」

「……これは……一体、何の真似を――」

「ただご馳走しただけさ。安心しろ、毒じゃねぇよ――ただ」


 俺は後ろを一瞥した。

 ルシルの持っていた風の宝玉が輝き――


『ふわぁぁぁ、よく寝たわい。それにしても好き勝手やってくれたの、ディーネ嬢ちゃん』


 まるで妖精族の長老のような、白髭を蓄えた小さな爺さんが現れた。

 こいつが、風の精霊ルフラか。

 もっと可愛い精霊だと思っていたが。


 そして――


「……ぐっ……ぐっ……」


 ウィンディアが苦しみ出した。


『はやく、ウィンディア嬢ちゃんの体から出ていくんじゃ!』

「くわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ルフラの声に呼応するようにウィンディアが叫び、なにか液体のようなものとともに青色の玉がウィンディアから口から出た。


……………………………………………………

水の宝玉【魔道具】 レア:72財宝


水の精霊の力を宿す宝玉。青く輝く。

6つの宝玉を集めたとき、偉大な力が授かると言われている。

…………………………………………………… 


 六つ目の宝玉が、ついにその姿を現した。

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