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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode11 塔の迷宮・前編

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あなたの相棒

~前回のあらすじ~

ウィンディアの操作状態が解けなかった。

「コーマさん、大丈夫ですかっ!?」


 クリスが駆け寄ってきた。


「大丈夫じゃない。失敗した……ウィンディアの操作状態が解除されたのは一瞬だけ。すぐに元に戻った」


 地面に手を突きながらも、俺は奥歯を噛みしめた。

 どこだ? いったい、ディーネはどこにいる?


「コーマ、もう一度エリクシールをかけて」

「だが――」

「どうやってるのか知らないけど、離れた場所から操り直しているんだとすれば、恐らく操り直すその瞬間にどこかから魔法の糸が伸びてくるはず。それを私が見破るわ」

「……わかった。ルシル、お前を信じてる!」


 俺はアイテムバッグからエリクシールの瓶をもう一本取り出す。

 そして、俺はもう一つ、大切なアイテムを取り出して、クリスに渡した。


……………………………………………………

暗視黒眼鏡【魔道具】 レア:★★★


暗い場所も良く見えるサングラス。

太陽のない場所で使うサングラス。

……………………………………………………


「え? コーマさん、夜でもないのになんでこんなものを?」

「普通にサングラスとして使うんだよ! 早くかけろ!」


 俺の命令でクリスが慌てて暗視黒眼鏡をかけた、次の瞬間、湖面が輝く。

 だが、暗視黒眼鏡のおかげで、眩い光を遮断したため、分身が生まれる瞬間もしっかりと見える。


「クリス、どれが今現れた偽者かわかるな? お前には偽者を任せた」

「わかりました!」


 ウィンディアの分身が、今度は一人当たり七本の剣が現れ、その数は二百本を超える。

 本気を出してきたってところか。


 再度、クリスの蛇紋剣による剣が伸びていき、分身達が作り出した剣を弾いては、分身達を消滅させていく。

 だが、手数が足りない。

 ウィンディアの奴、クリスに狙いを定めやがった。

 一本の水の剣がクリスの蛇紋剣の攻撃を縫うようにクリスに進んできた。


 くそっ、先にクリスを守らないといけない。

 そう思った時――


「大丈夫です!」


 クリスが左手をアイテムバッグに入れ、そこからもう一本の剣――プラチナソードを取り出し、飛んできた水の剣を弾き飛ばした。


「おいおい、二刀流って、お前は一体いつの間に宮本武蔵になったんだ?」

「コーマさんと共に行動すると決めたときから、いろいろと練習をしてきたんですよ、これでも――」


 そして、クリスは笑って言った。

 だが、次に彼女が見せたその眼差しは、とても寂しそうな、そして嬉しそうな微笑みを含め――


「私はもう――あなたの足手纏いは嫌です。だから、行動で見せます」


 次の瞬間、本当に俺が瞬きをする間に、クリスめがけて来ていた水の剣が、まるで刻み葱のように輪切りになっていた。


「秘技――瞬剣」


 ――おいおい、全く見えなかったぞ。 

 なんて速い剣なんだ――と思ったら、クリスは少しよろめいた。


「この技はMPを使うんで、あんまり連続で使えないんですけどね」


 クリスはそう言いながら、プラチナソードを一度しまい、マナポーションを飲んだ。

 その間も右手では炎の剣を操り、敵の攻撃をしのいでいる。


 全く、頼もしくなったよ――お前は。


 俺はそう思いながらも、後顧の憂いがなくなったことに安堵した。

 今度は俺にも水の剣が迫りくる。

 だが、


「こっちも剣では負けてないんだよっ!」


 エクスカリバーをアイテムバッグから出し、水の剣を弾き飛ばしていく。

 二刀流なんて器用な真似は今の俺にはできそうにない。

 でも、俺には俺の戦い方がある。


 アイテムバッグから取り出した万能粘土が、一瞬のうちに巨大な壁になる。

 目の前の壁に、水の剣が突き刺さり、俺の鼻先にまで迫ってきた。


「おぉ、怖っ」


 と言いながらも俺はその壁の上に飛び乗り、一気に前に跳んで本物のウィンディアと距離を詰めた。

 再度剣が現れるが――


氷縛アイスバインド!』


 湖から伸びた氷の縄が、現れた水の剣にからみつき、動けなくなった。


「ナイスだ、ルシル!」

「いきなさい、コーマ!」


 俺はアイテムバッグからエリクシールの瓶を取り出して投げ――俺のエクスカリバーがその小瓶をふたつに斬った。

 ウィンディアを診察する。


【HP120/120 MP39800000/821】


 消費したMPまで回復させ、状態異常がなくなる。

 だが、俺は遠のいた。同じ轍は踏まない。


 そして――


【HP120/120 MP39800000/821 操作】


 再度操作状態になった。


「どうだ! ルシル!」


 俺が叫ぶが、ルシルは何も言わない。

 いったい、どうしたっていうんだ?


「ごめん、コーマ……見えなかった」

「そうか」

「ごめんなさい、偉そうに言っておいて」


 ルシルの声がいつにもなく落ち込んだものになる。


「なるほどな――ナイスだ、ルシル」

「え?」

「言っただろ、俺はお前を信じるって」


 どこから操作されているのか全く見えない。

 それがルシルのミスではないと信じるのなら、答えは簡単だ。

 可能性のひとつってことで考えてはいたが。


「ディーネ――ウィンディアの体の中にいるのか?」


 俺が尋ねると、ウィンディアの口が大きく歪んだ。

 とても嬉しそうな笑みを浮かべて。

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